はじめに
Netflix(ネットフリックス)はアメリカのオンラインDVDレンタル及び定額制動画配信サービスの会社だ。オリジナル作品も多く、2018年の売り上げは約1.6兆円、契約者数1.3億人にもなる。
有名俳優を惜しげもなく使って、予想も出来ないドラマをたくさん僕らに見せてくれる。これはNetflix(ネットフリックス)ならではだ。
映画の展開が果たして予想できるかが僕らとの頭脳戦だ。予想できてしまえば僕らの勝ちだが一杯食わされることが多い。この魅力あるサイバー空間を共有してはどうか。
僕は800円/月のコースで視聴している。映画の種類が多く、このサービスはお得だと思う。ここでは僕が見た映画を出来るだけ紹介してゆくから参考にしてね。
番号を振っているけど順位ではない。映画の評価は以下を参考のこと。まあ、僕が独断で評価しているから当たってないこともある・・・その時はカンベンだ。では始めるよ。
★☆☆☆☆ 暇だったら
★★☆☆☆ そこそこ面白い
★★★☆☆ お薦め
★★★★☆ 見るべき名作
★★★★★ 十年に一度の傑作
1.タイタン
★★★☆☆(お薦め)
2018年公開アメリカ・イギリス・スペイン合作SFホラー
監督 レナート・ルフ
出演 ●サム・ワーシントン(ターミネーター4、アバター、タイタンの闘い、ハクソー・リッジ)
●テイラー・シリング(オレンジ・イズ・ニュー・ブラック)
●トム・ウィルキンソン(恋に落ちたシェイクスピア、グランド・ブダペスト・ホテル)
タイタンは土星の第6衛星で、衛星として最大だ。地球の月と比較して半径は約1.5倍、質量は1.8倍だ。太陽系の衛星の中で唯一濃い大気を持っている。大気の主成分は窒素(97%)あとはメタン(2.7%)そして微量の水素だ。表面温度は-179.5℃と極端に低い。
とても人類の住める環境ではないがSF映画には移住先としてよく出てくる。ところが50億年後には太陽が赤色巨星に変化し、タイタン表面に液体の水が安定して存在することが可能となる。そうなれば人類が移住することも可能かもしれない。しかし、それまで人類は生き永らえることが出来るのか?
このドラマは地球が滅亡しつつある近未来が舞台になっている。地球の資源は枯渇し、10年後には人類の半数が餓死する。そして地球には人類が住めなくなる。政府はタイタンへの移住プロジェクトを推進する。
人間の遺伝子をいじって「改造人間」を作る、つまり強制的進化だ。リック(サム・ワーシントン)はこのプロジェクトに志願する。妻のアビゲイル(テイラー・シリング)と息子のルーカスはそれを見守る。
ところがこのプロジェクトは過酷なもので次々と志願者が死亡してゆく。最後に残ったのはリックとタリー(ナタリー・エマニュエル)だ。彼らのDNAの中にはコウモリなどの動物のDNAが秘密裏に挿入される。彼らが超人的な能力を発揮するとともに、外形も変化してゆく。果たして彼らは生き残ることが出来るのか・・・。
比較的面白いのでお薦めだ。主演のサム・ワーシントンとテイラー・シリングの演技に支えられている。ストーリーとしてはやや突飛だが衛星を住みやすい場所に作り替えるよりも人間を改造して適応させる方が現実的なような気がする。あなたはこんな危険な生体実験に志願したいと思うか、僕はごめんだね。
2.キング
★★★★☆(見るべき名作)
2019年公開のアメリカ・オーストラリア合作・歴史映画
監督・脚本 デヴィッド・ミショッド(アニマル・キングダム、キング)
出演●ティモシー・シャラメ(インターステラー、君の名前で僕を呼んで、キング)
●ジョエル・エドガートン(エクソダス:神と王、レッド・スパロー、イット・カムズ・アット・ナイト、キング)
●ロバート・パティンソン(トワイライト、キング)
久しぶりに骨太の映画を見た、お薦め作品だ。ウィリアム・シェイクスピアの戯曲「ヘンリー四世 第一部、第二部」「ヘンリー五世」が原作になっている。イングランドの若き王ヘンリー五世の物語だ。
若くして王になった男の厳しさが伝わってくる。宮廷内の権力争いが渦巻く中で、誰が敵で誰が味方か分からない。敵は国内ばかりではなく海を渡ったフランスにもいる。そんな中で部下と民を率い国をまとめてゆく。
ハル王子(ティモシー・シャラメ)はヘンリー四世の長男にも関わらず、父との確執から放蕩息子としてふるまっていた。ところが父が亡くなりヘンリー五世として王位を継承することになる。彼の周りには心を許す者は誰もいない。
「ヘンリー五世」
彼は酒場でくすぶっていたフォルスタッフ(ジョエル・エドガートン)を参謀として呼び寄せる。そして自分の周りを固めてゆく。フランスから暗殺者が送り込まれてくるとの情報を得たハル王子はフランスを攻める決心をする。
彼は船でフランスに渡り、北部の城を落とす。そしてアジャンクールの闘いへと向かう。果たしてドーファン(ロバート・パティンソン)率いるフランス軍を攻略できるのか?
ヘンリー五世は1413年に即位し1422年34歳の若さで病死する。この映画は史実に基づいて製作されている。中世の鎧と兜をまとった戦士の闘いが実にリアルだ。これを見るだけでも面白い。無常観漂うドラマだが人間はいつかは死ぬ、輝いて死ぬか老いぼれて死ぬか決断するのは自分自身だ。
3.ディアボリカル
★★☆☆☆ そこそこ面白い
2015年公開のアメリカ製作異次元ホラー映画
監督 アリステア・ルグラン
主演 ●アリ・ラーター
●アルジュン・グプタ
「ディアボリカル」とは「悪魔のような」とか「物凄く怖い」と言う意味だ。家の中に幽霊やら亡霊やらが出てくるありきたりのホラーかと思ったがどんでん返しが待っている。
光とともに現れる幽霊は光とともに消えてゆく。そしてまた、同じように表れる。何の目的で現れるのか、そして家族との関係は・・・。
シングルマザーのマディソン(アリ・ラーター)は息子のジェイコブと娘のヘイリーと一軒家に住んでいる。しかし、財政難で家から立ち退きを不動産会社から要求されている。
そんな中、真夜中に光とともに顔がのっぺりした亡霊が家族の前に現れる。そしてこの亡霊は定期的に現れ、家族に危害を加えようとする。マディソンの恋人ニコライ(アルジュン・グプタ)は家族を助けようと奮闘するのだが・・・。
4.アナイアレイション-絶滅領域-
★★★☆☆(お薦め)
2018年ネットフリックス公開のアメリカ・イギリス合作のSF映画
監督・脚本 アレックス・ガーランド(28日後、サンシャイン2057、エクス・マキナ、アナイアレイション-全滅領域-)
原作 ジェフ・ヴァンダミア「全滅領域」
出演 ●ナタリー・ポートマン(ブラック・スワン、アナイアレイション-全滅領域-、アベンジャーズ/エンドゲーム)
●ジェニファー・ジェイソン・リー(ヘイトフル・エイト)
●ジーナ・ロドリゲス(バーニング・オーシャン)
●テッサ・トンプソン(ウエストワールド、アベンジャーズ/エンドゲーム)
●オスカー・アイザック(インサイド・ルーウィン・デイヴィス名もなき男の歌、スター・ウォーズ/フォースの覚醒 、X-MEN アポカリプス、アナイアレーション-全滅領域-、エクス・マキナ)
アナイアレイションとは全滅、絶滅と言う意味だ。地球上に隕石のようなものが落下しそこから「シマー(光)」と呼ばれる謎の空間エリアXが広がって行く。「シマー」は街を飲み込み少しずつ拡大してゆくが止める手立てがない。「シマー」は多次元世界、宇宙からの侵略、超自然現象なのか・・・何もわかっていない。
「シマー」に調査用のドローンや軍隊を派遣したが唯一戻ってきたのはケイン軍曹(オスカー・アイザック)だけだった。ところが彼は血を吐いて危篤状態におちいる。ケインの妻レナ(ナタリー・ポートマン)は調査隊に志願する。
僕はこういうタイプのSFが好きだが一般受けは難しいかも知れない。なんせ意味不明だからだ。この映画を観ていてアンドレイ・タルコフスキーの名作「ストーカー」を思い出した。地球上に忽然と現れた「ゾーン」。この「ゾーン」の奥には願いをかなえる「部屋」があると言う。
「ストーカー」
この「部屋」まで案内する案内人を「ストーカー(密猟者)」と呼ぶ。彼は二人の客を「部屋」まで案内しようとするのだが・・・。
「ストーカー」
ナタリー・ポートマンやオスカー・アイザックなど有名俳優が出ている。生物学や心理学、哲学的な要素を含んでいるのでじっくり見ながら「シマー(光)」とは何なのかを考えてみよう。また、この物語は三部作(「全滅領域」「監視機構」「世界受容」)だ、次の「監視機構」もひょっとしたら映画化されるかも。詳細は「アナイアレイション-全滅領域-」を参考にしてね。
5.マインドハンター
★★★☆☆(お薦め)
2017年ネットフリックスで放映されたアメリカ犯罪スリラー
製作 ジョー・ペンホール
監督 デビット・フィンチャー(エイリアン3、セブン、ファイトクラブ、ソーシャルネットワーク、ドラゴン・タトゥーの女、ゴーン・ガール)他
原作 ジョン・E・ダグラスとマーク・オルシェカー「マインドハンター:FBIのエリート連続犯罪ユニットの内部」
出演 ●ジョナサン・グロフ
●ホルト・マッカラニー
●ハンナ・グロス
●アンナ・トーヴ
シーズン2
企業のトップには少なからずサイコパス(反社会的人格、或いは良心の欠如、感情が薄っぺらい人達)がいると言われる。人間が人間を査定する世界ではサイコパスの方が能力を発揮するかもしれない。僕は感情が邪魔して人間を査定することなど出来ない。会社のトップに立つ人などはそれを冷淡にやらなければならない。
アメリカではサイコパスは人口の数%いると言われている。日本ではそれより少なく1%程度らしい。つまり人口10万人の都市には彼らが1000人もいると言うことだ。
「猟奇的なシリアルキラー、エド・ゲイン」
しかし、彼らが全員シリアルキラー(連続殺人鬼)になるかと言うとそういうわけでもない。その中のほんの一握りが異常犯罪を起こす(一説にはアメリカ全体で100人足らず)。猟奇的なシリアルキラー、エド・ゲインが有名だ。彼が直接殺害したのは2人らしいが、墓場から女性の死体を掘り起こして、その死体でランプシェードやブレスレット、ベルト、胴着などを作っている。
「巨体・高IQのシリアルキラー、エド・ケンパー」
また、このドラマに出てくるエド・ケンパーは2mを超す巨体とIQ145を誇る頭脳を持っている。彼は1972年~1973年にかけてカルフォルニア州で少女など10人を殺害している。これらの殺人についてはあまりにも無残で書くに堪えない。
誰しも彼らの心の中の「闇」をのぞいてみたいと思う。表面的には彼らは異常人には見えない。しかし、彼らの仮面の下には「狂気」が潜んでいる。「普通」と「狂気」はどんなスイッチで切り替わるのか。そして、シリアルキラーの種類「秩序型」「無秩序型」「混合型」とは。何故「混合型」が一番ヤバくて捕まりにくいのか。
一見地味なドラマのように見えるが実在のシリアルキラーが登場し、彼らの恐ろしさを見せつけられる。派手な演技やアクション、凄惨な殺人現場などの描写が無いにも関わらず、この地味でオーソドックスなタッチが返ってちびりそうな恐怖を誘う。
「フェチズム猟奇殺人者ジェリー・ブルードス」
詳細は「マインドハンター」を見てね。
6.攻殻機動隊SAC_2045
★★★☆☆(お薦め)
2020年ネットフリックス公開のSFアニメ攻殻機動隊3DCG
原作 士郎正宗
監督 神山健治(攻殻機動隊S.A.C.、Individual Eleven、Solid State Society、笑い男事件、東のエデン、009RE:CYBORG、CYBORG009 CALL OF JUSTICE、攻殻機動隊SAC_2045)
荒牧伸志(APPLESEED、攻殻機動隊SAC_2045)
声の出演 ●草薙素子(田中敦子)
●荒巻大輔(阪脩)
●バトー(大塚明夫)
●トグサ(山寺宏一)
●イシカワ(仲野裕)
●サイトー(大川透)
●パズ(小野塚貴志)
●ボーマ(山口太郎)
久しぶりの攻殻でなつかしさを感じた。攻殻ファンにとっては待ち焦がれていたに違いない。今回の作品は同じ神山監督の2016年「CYBORG009 CALL OF JUSTICE」を彷彿とさせる。ここでは最強の敵「ブレスド」のエンペラーとジョーの闘いでクライマックスを迎える。
「ブレスド」のエンペラー
今回、攻殻機動隊が戦うのはポスト・ヒューマンと呼ばれる超能力者たちだ。設定がよく似ているのはご愛敬か?3DCGアニメは少々ぎこちないがそれでも見ごたえはある。
バラバラになっていた攻殻機動隊のメンバーが荒巻大輔を中心に再結成される。新生公安9課の誕生だ。「攻殻機動隊SAC」のテイストを残しながらAPPLESEEDの荒牧伸志の融合がうまくかみ合っている。
ネットフリックスでの公開だから内容がアメリカナイズされているのはしょうがない。しかし、このアニメは海外でもすこぶる評判がいい。世界経済が死滅した混沌とした世界観。その中でAIがより高度に発展し、世界各地で小規模な「サスティナブル・ウォー(持続可能な戦争)」が頻発する。
日本はアメリカの属国か?総理大臣はアメリカ人になっている。こんな中でも日本の警察は一目置かれている。電脳戦が見ものだがカーチェイスやタチコマを使ったアクションもいつもの通りだ。
話のスジを少し紹介すると。2042年世界はGreat4(米帝、中国、ロシア、ヨーロッパ連合)によって牛耳られていた。お互いが損の無いように「サスティナブル・ウォー(持続可能な戦争)」を展開し「産業としての戦争」を行うことによって利益を上げられるようになっていた。
ところが、2年後このたくらみは失敗し2044年に全世界が同時デフォルトする。金融機関は取引を停止、紙幣は紙くずになり、仮想通貨や電子マネーはネットから消えた。世界には暴動やテロ、独立運動や内戦が頻発する。
そして2045年の現在、少佐(草薙素子)を中心とする元公安9課のメンバーは「ゴースト」と名乗り民間傭兵会社から委託を受けレイディスト達(悪事を働く暴力団)の掃討作戦を展開していた。場所はアメリカのパーム・スプリングスだ。
少佐たちはレイディストの鎮圧に失敗し、そこに現れたジョン・スミスと彼の率いるアメリカ軍特殊部隊に拘束される。そしてスミスの依頼を受けざるを得なくなる。その依頼とはマイクロマシンの販売で大もうけした実業家の捕獲だった。しかもこの生きたままの捕獲を成功させるため何度も予行演習をやらされた。
ある夜、作戦が決行された。ところが実業家は少佐たちの攻撃を難なくかわしてしまう。この男は少佐たちが束になってもかなう相手ではなかった。少佐は「奴は人間ではない」、つまり超能力を持った「ポスト・ヒューマン」だったのだ。詳細は「攻殻機動隊SAC_2045」を見てね。
7.バード・ボックス
★★★☆☆(お薦め)
2018年ネットフリックス公開のアメリカ製作SFパニックドラマ
監督 スサンネ・ビア(未来を生きる君たちへ)
原作 ジョシュ・マラーマン「バード・ボックス」
出演●サンドラ・ブロック(スピード、しあわせの隠れ場所、バード・ボックス)
●トレヴァンテ・ローズ(ムーンライト、ザ・プレデター、バード・ボックス)
●ジョン・マルコヴィッチ(ザ・シークレット・サービス、マルコヴィッチの穴、バーニング・オーシャン)
犬は臭覚の動物だが人間は視覚の生き物だ。果たして目を塞いでいて映画が作れるのだろうかと思ったが、これが意外に面白い。少し前に流行った「クワイエット・プレイス」を思い出した。この映画は「音を出したら即死」と言うコンセプトで恐怖を盛り上げている。
「バード・ボックス」とは「鳥を入れる箱」のことだが、この鳥のざわめきが一つのヒントだ。得体の知れない何かが人類を突然襲ってくる。目を開けて外の景色を眺めただけで死の恐怖が自分を襲ってくる。心の中の悪魔が目の前に現れその恐怖から人々は先を争って自殺する。
街は大パニックだ。妊娠中のマロリー(サンドラ・ブロック)は近くの家に逃げ込む。家の中には数人の人々が避難していた。窓にはブラインドを下ろし、外からの光が入らないように紙やテープで目張りし密かに肩を寄せ合っていた。
そのうち食料が底をついてくる。仕方なくガレージの車の窓にペンキを塗ったり、紙を張ったりと外の景色を遮断、ナビを頼りに車を慎重に運転し近くのスーパーに行く。そんな中、一人の男を家に招き入れたために悲劇が起こる。
マロリーはその家で出産し男の子を生む。もう一人の妊婦オリンピア(ダニエル・マクドナルド)は女の子を・・・。その時、招き入れた男が次々と避難民を殺害してゆく。心を病んだ(精神病)人々は自殺ではなく他人を殺し始めるのだ。
このアクシデントをトム(トレヴァンテ・ローズ)が気付き、そいつを撃ち殺す。惨劇の後、生き残ったのはトム、マロリーと二人の赤子だけだった。それから5年の月日が流れる。マロリーとトムそして5歳になる子供たちは、森の家の中で細々と暮らしていた。
無線機からリックと言う男と連絡が取れる。川をボートで下って鳥たちがさえずる場所に来いと言う・・・信用していいのか?ところが心を病んだ者たちがこの場所をも襲ってくる。奴らは家の中に入ってくるが目隠しは取れない。しかも外には何かが自分たちを狙っている。それらが近づくと飼っていた鳥たちが騒ぎ始める。果たして家族の運命は・・・。
このドラマはサンドラ・ブロックの演技に支えられている。彼女の演技が素晴らしい。世界中で大ヒット、一週間で4500万人以上が視聴しているのも頷ける。さあ、あなたもこの不思議なドラマを見てはどうか・・・。
8.イン・ザ・トール・グラス-狂気の迷路-
★★★☆☆(お薦め)
2019年公開のアメリカ・カナダ合作異常現象ホラー
監督・脚本 ヴィンチェンゾ・ナタリ(キューブ、カンパニー・マン、スプライス、イン・ザ・トール・グラス)
原作 スティーヴン・キング、ジョー・ヒル「イン・ザ・トール・グラス」
出演 ●パトリック・ウィルソン(インシデアス、インシディアス第2章、パッセンジャーズ、プロメテウス、死霊館エンフィールド事件、死霊館のシスター、アクアマン、イン・ザ・トール・グラス)
●ライズラ・デ・オリヴェイラ(イン・ザ・トール・グラス)
●ハリソン・ギルバートソン(アップグレード、イン・ザ・トール・グラス)
道路わきの何気ない「背の高い草むら」。車を止めてその中に入ってしまうと二度と道路に出てこられない。草むらの中を迷路のように進むが声はすれども出会うことが出来ない「草は生き物のように動いている」。目印を作っても無くなっている。
ただ、唯一「死体は動かない」つまり、死体になるまで草むらを彷徨い続けるのだ。草むらの中心には得体の知れない「木」とも「岩」ともつかない物体がある。これに触れたら最後、もう二度と道路へは出られない。その物体の地下にはおびただしい人間の魂がうごめいている。そして時間の経過とともに入り込んだ人間はワナにはまったように狂ってゆく。
ベッキー(ライズラ・デ・オリヴェイラ)と彼の兄、カル(エイヴリー・ホワイテッド)は休憩のため道路わきに車を止める。ところが道路際のヤブの中から少年が助けを呼ぶ声が聞こえてくる。彼らは車から降りて、草むらにの中に軽い気持ちで入り込むが・・・これが悲劇の始まりだった。
何とも不思議なドラマだ。スティーヴン・キングと彼の息子ジョー・ヒルの合作短編の映画化だが好き嫌いの分かれる映画だ。暇つぶしに見るのがお薦めだ、うとうとしながら見るのも最高かもしれない。
9.流転の地球
★★★☆☆(お薦め)
2019年公開の中国製作SF宇宙ドラマ
監督・脚本 フラント・グオ
原作 劉慈欣「流浪地球」
出演 ●ジャッキー・ウー
●チュ・チューシャオ
●チャオ・ジンマイ
中国を中心に世界中で大ヒット、700億円以上稼いでいる。中国人に受けそうな派手な映画だ。しかも「地球を救うのは中国だ」と訴えかけている。昨今の世界情勢を反映しているのか、中国人に協力するのはロシア、フランスがメイン、アメリカや日本の影は薄い。
地球と惑星(ゴラス)の衝突を回避させるため長い時間かけて地球を移動させる映画「妖星ゴラス」を思い出す。今回はこれをさらに発展させて地球ごと全人類を乗せて2500年の旅に向かう奇想天外のドラマだ。
皆さんご存じのように太陽の年齢は46億歳といわれ寿命は100億歳らしい。太陽系全質量の99.9%が太陽だ。それを考えると地球なんて「チリ」「砂粒」と言って良いのかもしれない。地球の自転を止めて、一万基のエンジンを取り付け地球を動かすことが出来そうな気がする。
50億年後には太陽が老化する。そうすると膨張し赤色巨星になって地球を飲み込む。世界の国々は団結して「地球連合政府」を作る。地球に一万基のエンジンを取り付けこれを噴射させ4.2光年離れた恒星軌道に乗せる「流転の地球」計画を立てる。
30年かかって巨大な宇宙ステーションを作り、これに地球をナビゲートさせる。地球は太陽から離れるにしたがって凍り付く、人々は地下に住まなければならない。木星の近くを通過しようとしたところ、これに地球が吸い寄せられ衝突が避けられない状況になってゆく。
これを何とか断ち切るために人々が協力し、困難を乗り切る様が壮大に描かれる。果たして人類は目標に向けて旅を続けることが出来るのか・・・。科学的根拠を全く無視したストーリーが微笑ましい。でも夢を見ることは重要だね。
10.TVドラマ ミスト
★☆☆☆☆ 暇だったら
2017年公開のアメリカ製作SFパニックドラマ
原作・製作 クリスチャン・トープ
出演 ●モーガン・スペクター
●アリッサ・サザーランド
●ガス・バーニー
ご存じフランク・ダラボン監督の名作「ミスト」のテレビドラマ化だ。楽しみにしてみてみたがこれがあまりにつまらない。第一シーズン10話だが残念ながら5話で見るのを断念した。世界的にも不評で第一シーズンで取りやめになったらしい。
フランク・ダラボン監督の名作「ミスト」
このTV版は感情移入を拒む個性的すぎるキャストたち、ちぐはぐなストーリー・・・・このへんは我慢しよう。ところが肝心な異形モンスターが出てこない。持ったいぶっているのか、霧は街を包むがその中から何にも出てこない。
従って、ショッピングモールや教会に避難した人々の個人エピソードばかりが流される。SFドラマと言うより、悲劇的な人間群像ドラマと言える。しかし、こんなもの誰も見たくない。従って、超暇な人にしかお薦めできない。
山の上から霧が流れてきて街を覆う。ところがこの霧の中では異常な現象が起こって人々が殺される。さらに、精神に異常をきたし自殺するものもいる。街の人々は、それぞれ建物の中へと避難する。ここから出れば霧に包まれ何が起こるか予測不能だ。
立てこもる人々の間には仲間割れや葛藤が起こる。食料も無くなる。このままではどうなるのか・・・。
11.アイ・アム・マザー
★★★☆☆(お薦め)
2019年日本公開のオーストラリア・アメリカ合作のAIロボットドラマ
監督 グラント・スピュートリ(アイ・アム・マザー)
出演 ●ヒラリー・スワンク(インソムニア、ザ・コア、ミリオンダラー・ベイビー、リーピング、アイ・アム・マザー)
●ローズ・バーン(インシデアスシリーズ、X-MEN:アポカリプス)
●クララ・ルガアード(アイ・アム・マザー)
けっこう中身の深いSFドラマだ。一体のAIロボット・マザー(声:ローズ・バーン)、娘(クララ・ルガアード)、女性(ヒラリー・スワンク)の3人しか出てこない。それでいて、ミステリー、ホラー、大どん伝返しと最後までハラハラする。お薦めだ。
人類が死滅してしまった遠い未来、人類を再生させる全自動システムが起動する。冷凍保存された人間の胎児(胎芽)を人工子宮にセットし子供が生まれる。ここは再増殖施設と呼ばれる。
生まれた赤子はAIロボットに育てられる。娘はロボットをマザーと呼び、ロボットは娘と呼ぶ。名前はない。マザーは娘を育て教育をほどこす。ところがこの娘は最初の娘ではない。この研究施設が起動してから38年も経っている。娘の年齢は16~18歳くらいだ。
つまり、AIロボット・マザーは何人かの娘を育てているのだ、しかし今いる娘は一人だけだ。後はどうなったのか・・・無機質のマザーの顔が怖い。他の娘は追放されたのかそれとも殺されたのか。
AIロボットは人類が二度と過ちを犯さないように、人間を選別している。規格に会った人間しか育てないのか?人間の命を重んじるような良い人間を育てるのが目的だ。
研究施設の中にネズミが紛れ込む。娘は外の世界は汚染され、出てはならないとマザーから言われている。しかし、それは信じていいのか・・・外部には生き物はいる。ネズミはマザーに見つかり焼却されてしまう。焼却炉の灰を調べていると子供の歯が見つかる。それを見た娘は血の気が引く、マザーが信じられなくなる。
娘はマザーのテストに最高点で合格し、お祝いに弟を作ることになる。弟は24時間で生まれる。しばらくして、施設の外から女が現れ、中に入れとほしいと懇願する。女は腹を撃たれているようだ。詳細は「アイ・アム・マザー」を見てね。
12.スペクトル
★★★☆☆(お薦め)
2016年公開のネットフリックス・オリジナルSF戦争映画
監督 ニック・マチュー
出演 ●ジェームズ・バッジ・デール(アイアンマン3、ワールド・ウォーZ、オンリー・ザ・ブレイブ、スペクトル)
●エミリー・モーティマー(ヒューゴの不思議な発明、ピンクパンサー、スペクトル)
●ブルース・グリーンウッド(スペクトル、ペンタゴン・ペーパーズ、ドクター・スリープ)
https://youtu.be/EUXqtvHg2BQ
アメリカ最強の陸軍特殊部隊が幽霊のような敵との戦いを描いた戦争映画だ。SFだが、未知の敵との戦いが実に面白い。主役は武器開発のスペシャリスト・クライン博士(ジェームズ・バッジ・デール)と女性CIA職員フラン(エミリー・モーティマー)の活躍を描く。
特殊部隊は二人の護衛に回る。けっこう掘り出し物で面白い。得体の知れない敵と最強の軍隊が戦う戦争映画の好きな人にはお勧めだ。変わった武器がいっぱい出てきて、こんな武器、即席で作れるのかと思ってしまうがそこは映画だ。オスプレイも出てくるよ。
東欧のモルドバが舞台になっている。市民と反乱軍との戦いの中にアメリカの陸軍特殊部隊が介入してくる。ところが特殊部隊が次々と倒される。彼らのゴーグルには幽霊のような敵が映っていた。
この敵には実弾や手りゅう弾は全く効果なくすり抜けてしまう。この敵は現地で「アラタレ」と呼ばれる。この幽霊のような物体が何なのかクライン博士が派遣される。この物体は博士が開発した高感度カメラには映る。しかし、倒す方法が見つからない。
多くの犠牲を払って分かったことは、陶器はすり抜けない、鉄くずが彼らの行動を妨げることだけだ。しかしどのような方法で奴らを倒せばいいか、そして奴らはいったい何なのか。果たして博士たちの運命は・・・。
13.月影の下で
★★★☆☆(お薦め)
2019年公開のアメリカ製作ネットフリックス・オリジナルSFサスペンス
監督・製作 ジム・ミックル
出演 ●ボイド・ホルブルック(誘拐のおきて、LOGAN/ローガン、ザ・プレデター)
●クレオパトラ・コールマン(月影の下で)
●マイケル・C・ホール(デクスター、月影の下で)
●ボキーム・ウッドバイン(月影の下で)
予想できない展開でなかなか面白い。SFスリラーをうまく犯人捜しの警察モノと組み合わせ、視聴者を翻弄する。そして最後まで見せてしまう。ボイド・ホルブルックの演技が実に様になっている。妻を亡くし娘を育てながら犯人捜しにのめりこみ、どんどん落ちぶれてゆく。果たして結末には何が待っているのか。
話のスジを少し紹介すると。1988年のフィラデルフィア、何のつながりもない3人の男女が同時に血を流して死んでゆく。唯一の共通点は首の後ろに3つの穴が開いていたことだ。
警察官のトーマス・ロックハート(ボイド・ホルブルック)は相棒のマドックス(ボキーム・ウッドバイン)と犯人を捕まえ功績を上げようと血眼になる。トーマスの上司ホルト(マイケル・C・ホール)は妻の兄だが、当初一般的な殺人事件と考えていた。
しかし、トーマスの殺された3人は何らかの理由で繋がっているとの説を受け入れ始めていた。また、殺人事件が起こる、その時被害者はまだ生きていて「犯人は20代くらいの黒人女性」だと言ったとたん血を流して死んでしまう。
警察官を動員してその女を追う、トーマスとマドックスは地下鉄に女を追い込むがマドックスは足を骨折させられ、トーマスも彼女に難なく手錠で椅子につながれてしまう。ところがその女はトーマスを知っていた、そして彼の妻が今日、出産することも・・・トーマスは狐につままれたようだった。
彼は、女が隙を見せた一瞬、線路につき押しそこに電車が入ってくる。殺人犯の女は亡くなる。その夜、妻が女の子を産み、その後死んでしまう。トーマスも義兄のホルトも落ち込む。
9年後の1997年、不思議なことに首の後ろに3つの穴が開いた殺人事件が起こる。トーマスは模倣犯だと疑うが捜査の過程で昔死んだはずの女に出会う。死んだはずなのに何故・・・。さらにその9年後2006年にも同様の殺人事件が起こる。9年ごとに何故、しかも死んだはずの女が・・・。
14.TAU/タウ
★★☆☆☆ そこそこ面白い
2018年公開のアメリカ製作SFロボット・スリラー
監督 フェデリコ・ダレッサンドロ(TAU/タウ)
出演 ●マイカ・モンロー(イット・フォローズ、TAU/タウ)
●エド・スクライン(アリータ:バトル・エンジェル、TAU/タウ)
●ゲイリー・オールドマン(ハンターキラー潜航せよ、ドラキュラ、レオン、裏切りのサーカス、ウィンストン・チャーチル、TAU/タウ)
人間とAIロボットとの駆け引きが描かれる。冷酷な研究者アレックス(エド・スクライン)は人間を秘密裏に拘束し、脳にセンサーを埋め込む。そして脳機能の生体データーを採取し、AIに応用しようと企んでいた。
実験用に捕らえられた3人は逃げようとして殺される。ただ一人生き残ったジュリア(マイカ・モンロー)はスマートハウスを管理しているAIロボットTAU(声:ゲイリー・オールドマン)を味方にしようと、あれこれと作戦を練る。
この堅牢なスマートハウスから脱出するにはTAUをだますしかない。TAUに色々な質問や欲求をぶつけて混乱させるように仕向けるが果たして彼女の作戦は成功するのか・・・。
15.すべての終わり
★★☆☆☆ そこそこ面白い
2018年公開のアメリカ製作SF地球滅亡ドラマ
監督 デヴィッド・M・ローゼンタール(すべての終わり)
出演 ●テオ・ジェームズ(ダイバージェント、すべての終わり)
●フォレスト・ウィテカー(プラトーン、大統領の執事の涙、ケープタウン、96時間/レクイエム、ローグ・ワン、メッセージ、すべての終わり)
●カテリーナ・グレアム(すべての終わり)
●ニコール・アリ・パーカー(すべての終わり)
地球滅亡映画だがやや尻切れトンボ系だ。地球の滅亡が起これば我々一般人は右往左往するしかない。一か所に留まるのか、それとも安全情報を頼りに避難するのか・・・それが生死を分ける。そこそこ面白いドラマだ。
ウィル(テオ・ジェームズ)はサム(カテリーナ・グレアム)との結婚の承諾を得るため彼女の両親を訪ねる。彼はシアトルからシカゴに飛行機で飛び、彼女の父親トム(フォレスト・ウィテカー)と母親ポーラ(ニコール・アリ・パーカー)に会う。
トムはウィルのことを快く思っていなかった。次の朝、彼はシアトルに戻ろうとするが彼女から架かってきた電話は異常音とともに切れてしまう。飛行機もほとんどすべて欠航だ。ウィルはトムの処に戻り、車でサムの救出に向かう。
トムは退役軍人だ。二人は交代しながら高速道路を急ぐが交通止めや暴漢の待ち伏せにあったりと苦戦する。時々、大地震が発生する。電力・通信も不安定だ、空には戦闘機が飛び交う。果たして、この大惨事の原因は何なのか・・・巨大な世界的地殻変動か、核戦争か、小惑星の衝突か・・・何も分からない。
2人は命を懸けてシアトルに向かおうとするのだがその先にはいったい何が待っているのか、彼女は生存しているのか?
16.アポストル復讐の掟
★★★☆☆(お薦め)
2018年日本公開のアメリカ・イギリス合作カルト教団ホラー
監督・脚本・製作 ギャレス・エヴァンス(アポストル復讐の掟)
出演 ●ダン・スティーヴンス(ザ・ゲスト、誘拐のおきて、美女と野獣、リディバイダー、ダウントン・アビー、レギオン、アポストル復讐の掟)
●マイケル・シーン(パッセンジャー、アポストル復讐の掟)
●ルーシー・ボイントン(シング・ストリート未来へのうた、ボヘミアン・ラプソディ、アポストル復讐の掟)
アポストル(Apostle)とはキリストが遣わした使徒のことだ。使徒とは誰のことか主人公のことなのか、しかも何故、神はトーマスをカルト教団の中に送り込んだのか?アリ・アスター監督の変態映画「ミッドサマー」を彷彿とさせるような血なまぐさいドラマだ。
この映画のスジを少し紹介すると。1905年トーマス・リチャードソン(ダン・スティーヴンス)は妹ジェニファー(エレン・リス)がカルト教団に誘拐されたことを知る。彼は信者だと自分を偽り、絶海の孤島に単身乗り込む。
表向きは女神を崇拝する自給自足のユートピアだとされてきたが実際、村に入ると何かがおかしい。教団の指導者マルコム・ハウ(マイケル・シーン)は暴力と恐怖で村を支配していた。
そんな彼の心のよりどころは妹のジェニファーだけだ。何としてでも妹を助けようと夜になると村の中を探し回る。ところが彼はその後身の毛もよだつ恐ろしい体験をすることになる。
その体験とは、そして村の守り神である女神の正体とは・・・・。詳細は「アポストル復讐の掟」を見てね。
17.Death Note/デスノート
★★★☆☆(お薦め)
2017年公開のアメリカ製作日本漫画ハリウッド実写版
監督 アダム・ウィンガード(ザ・ゲスト、Death Note/デスノート、ゴジラVSコング)
原作 大場つぐみ、小畑健「DEATH NOTE」
出演 ●ナット・ウルフ(きっと、星のせいじゃない。、Death Note/デスノート)
●マーガレット・クアリー(Death Note/デスノート、ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド)
●キース・スタンフィールド(スノーデン、ゲット・アウト、Death Note/デスノート、蜘蛛の巣を払う女)
「作成中」
TATSUTATSU
この記事へのコメントはありません。