SF

映画「アナイアレイション-全滅領域-」感想・評価:意味不明なストーリー展開に一般受けは難しいのか

サマリー


★★★☆☆(お薦め)

2018年ネットフリックス公開のアメリカ・イギリス合作のSF映画
監督・脚本 アレックス・ガーランド(28日後、サンシャイン2057、エクス・マキナアナイアレイション-全滅領域-
原作 ジェフ・ヴァンダミア「全滅領域」
出演 ●ナタリー・ポートマン(ブラック・スワン、アナイアレイション-全滅領域-アベンジャーズ/エンドゲーム
●ジェニファー・ジェイソン・リー(ヘイトフル・エイト)
●ジーナ・ロドリゲス(バーニング・オーシャン
●テッサ・トンプソン(ウエストワールドアベンジャーズ/エンドゲーム
●オスカー・アイザック(インサイド・ルーウィン・デイヴィス名もなき男の歌スター・ウォーズ/フォースの覚醒 、X-MEN アポカリプス、アナイアレーション-全滅領域-エクス・マキナ

ナタリー・ポートマン主演!『アナイアレイション-全滅領域-』ブルーレイ&DVDリリース!

 

アナイアレイションとは全滅、絶滅と言う意味だ。地球上に隕石のようなものが落下しそこから「シマー(光)」と呼ばれる謎の空間エリアXが広がって行く。「シマー」は街を飲み込み少しずつ拡大してゆくが止める手立てがない。「シマー」は多次元世界、宇宙からの侵略、超自然現象なのか・・・何もわかっていない。

「シマー」に調査用のドローンや軍隊を派遣したが唯一戻ってきたのはケイン軍曹(オスカー・アイザック)だけだった。ところが彼は血を吐いて危篤状態におちいる。ケインの妻レナ(ナタリー・ポートマン)は調査隊に志願する。

僕はこういうタイプのSFが好きだが一般受けは難しいかも知れない。なんせ意味不明だからだ。この映画を観ていてアンドレイ・タルコフスキーの名作「ストーカー」を思い出した。地球上に忽然と現れた「ゾーン」。この「ゾーン」の奥には願いをかなえる「部屋」があると言う。

「ストーカー」

この「部屋」まで案内する案内人を「ストーカー(密猟者)」と呼ぶ。彼は二人の客を「部屋」まで案内しようとするのだが・・・。

「ストーカー」

ナタリー・ポートマンやオスカー・アイザックなど有名俳優が出ている。生物学や心理学、哲学的な要素を含んでいるのでじっくり見ながら「シマー(光)」とは何なのかを考えてみよう。また、この物語は三部作(「全滅領域」「監視機構」「世界受容」)だ、次の「監視機構」もひょっとしたら映画化されるかも。

話しのスジを少し紹介すると。レナは部屋に監禁されロマックス(ベネディクト・ウォン)に尋問を受けている。「シマー」の中に4か月いたと言われるが携帯食料は2週間分だ。彼女は記憶をたどりながら自分の体験を話して行く。

レナは生物学者だ。彼女と心理学者のヴェントレス博士(ジェニファー・ジェイソン・リー)、物理学者ジョシー(テッサ・トンプソン)、地形学者キャシー(ツヴァ・ノヴォトニー)、救急隊員アニャ(ジーナ・ロドリゲス)は女性だけのチームを組んで「シマー」の中に入って行く。

何故、軍隊は壊滅したのか、何ものかに殺されたのかそれとも殺し合いをしたのか。5人の女性だけのチームは「シマー」の中を歩いてゆくがもう何日ここにいるのか、もうろうとする意識の中で思い出せない。ここではコンパスも、通信手段も座標も無い・・・。

突然、小屋の中でジョシーが何かに襲われる。それを機関銃で撃ち殺し調べてみると、サメの歯をもった巨大ワニだった。この世界では異種間のDNAの融合が有り得るのか。植物においても一つのツルから色々な種類の花が咲いている。

先に進むと軍隊が駐屯した基地があり。そこにメモリーカードが置いてあった。それをビデオカメラで再生してみると恐ろしい映像が写っていた。そこにはケインが仲間の兵士の腹を裂いていた。腹の中には何かが動き回っていた。

とても信じられない、さらに基地を調べてみるとプールの壁に張り付くように人間と菌糸らしきものの複合体があった。先ほどのビデオの結末かも知れない。

夜になってクマのような猛獣にキャシーが襲われ連れ去られてしまう。もう時間が無い、隊長のヴェントレスはこの現象の発生地点、灯台に向かうと出かけてしまう。みなも後を追うしかない、果たして彼女らを何が待っているのか・・・。

その後のストーリーとネタバレ

灯台に向かう途中にキャシーの遺体があった。さらに進むと昔、村だったところに出る。そこには人間の姿をした植物が立っていた。この有り得ない現象はこの空間でDNAがゆがめられるプリズム現象であると推論する。レナは自分の血液をこっそりと顕微鏡で見る。細胞が激しく分裂しているのを見て愕然とする。

その夜おかしくなったアニャに3人が椅子に縛り付けられる。そして彼女は3人に隠していることは無いかと詰め寄る。その時、キャシーの助けを呼ぶ声が聞こえる。アニャは急いでその声の方に向かうがそれはクマに似た肉食獣だった。彼女はそいつに殺される。そのクマに似た生き物はキャシーの助けを呼ぶ声を口から発していた。

クマに似た生き物はレナを襲おうとするがジョシーに撃ち殺される。ヴェントレスはもう時間が無いと真夜中出発してゆく。次の朝ジョシーはここに留まろうとする。腕から葉が生えていた、彼女は何処かに行ってしまう。一人残されたレナはヴェントレスを追う。

海岸沿いを歩いて灯台に向かう。灯台の中には座った黒焦げの遺体があった。近くにビデオカメラがセットされており電源を入れてみるとモニターに信じられないものが録画されていた。ケインが写っていたのだ、しかももう一人のケインらしきものもいた。

自分はケインと言う人間らしいが今はよく分からないと言う。そしてもう一人のケイン向かって「ここを出たらレナに会え」と白リン弾で自爆する。それを見たレナは震えて涙を流す。

近くに穴があり、中に入って行くと巨大な洞窟になっており、ヴェントレスがいた。「最終段階に入った」「何かは私の体の中にいる」「それらに全てが飲み込まれる、全滅よ」と口から光を吐き出す。

光は集合し球体となる。そしてレナの血液を採り込み、彼女の複製をつくる。レナは複製に向かって発砲するが弾はすべてはじかれる。生まれたばかりの複製はレナの仕草を真似始める。

その複製はレナの顔と体に成長してゆく。レナは白リン弾のピンを抜き複製に握らせる。複製は光りを放ち燃えてゆく。そして灯台も燃え始める。さらに穴の中洞窟も燃えてゆく。それに伴って「シマー」が壊れてゆく。

ロマックスはレナに聞く「その生物はエイリアンなのか?形は?体は炭素系か?」。レナは「分からない」と答える。「そのものの目的は?」と聞く。レナは「目的は無い」と答える。彼らは環境を破壊したのではない「新しく創造したのだ」と答えるのみだ。

危篤状態のケインは「シマー」が消えると同時に血圧が安定し脈も正常になって目を覚ましたらしい。レナは夫ケインに逢いにゆく。「あなたはケインじゃない」との問いかけに対し「その通りかもしれない」と答える。そして彼は抱きしめてくれた。

ケインの瞳の色もレナの瞳の色も一瞬、金色に輝く。

レビュー

結局、レナがロマックスに話した中身は真実なのかそれとも彼女のでっちあげなのか分からない。「シマー」は何故消え去ったのか?そして、「シマー」が消え去ると同時にケインが目覚めたのは偶然なのか?

レナの体は「シマー」に乗っ取られているのか?原作を読んでないので分からない事ばかりだ。この物語が三部作であることを考えると既にレナも「シマー」に乗っ取られていると考えた方が自然だ。

この物語の中に花が咲いた小枝を角にした鹿らしいものが出て来る。植物と動物の融合だ。こんな動物は今後、ひよっとしたら作り出せるかもしれない。

とにかく、不思議なドラマだ。もう少し分かり易くしたらもっとヒットしていたように思う。最後に「シマー」とケインは敵対関係にあったように思う。何故なら「シマー」はケインを殺そうとしていたようにみえるからだ。

「シマー」が消えてケインは生き残る。たぶん本物のケインの意識を持っていたことが原因なのか。また、レナも自分の意志を持ちながら「シマー」に取り込まれている。二人とも「シマー」との複合体なのか?

TATSUTATSU

ミステリー小説「僕の並行世界への旅」この世には入ってはならない場所がある

Netflix(ネットフリックス)オリジナル作品・配信映画お薦め

映画「居眠り磐音」感想・評価:迫力不足、テレビドラマの総集編のような出来では寂しい前のページ

映画「蜘蛛の巣を払う女」感想・評価:スピーディなテンポで一気に見させる極上のハッカー・アクションドラマ次のページ

関連記事

  1. SF

    映画「エクス・マキナ」感想・評価‐AIは単なる検索エンジン情報の集合体か

    サマリー2016年日本公開のイギリス サスペンスロ…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

人気記事

アーカイブ

最近の記事

2024年3月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031
  1. ミステリー小説

    ミステリー小説「真夜中の鏡の怪」鏡に映っているのは自分かそれとも悪霊か
  2. サスペンス

    映画「空海-KU-KAI-美しき王妃の謎」感想・評価:楊貴妃の死の真相は何だった…
  3. SF

    映画「ガタカ」感想・評価:人間の能力は遺伝そのものか、それとも努力によるものなの…
  4. 海外ドラマ

    TVドラマ「HANNIBAL/ハンニバル1-3」感想・評価‐レクターが本性を出し…
  5. ヒューマンドラマ

    映画「ハドソン川の奇跡」感想・評価:コンピューターより人間の直観力の正しさを証明…
PAGE TOP