【サマリー】
2014年公開のカナダ・スペイン合作映画、監督はドゥニ・ヴィルヌーヴ(メッセージ)、主演はジェイク・ギレンホールである。原作はポルトガルのノーベル賞作家ジョゼ・サラマーゴの同名小説である。時間があれば原作をじっくり読んでみたい。
映画を観た100人が共感すれば凄い映画であるが、100人全員が違う解釈をする映画も、またすばらしいと思う。
映画は画面全体がセピア色で重苦しい雰囲気を持っている。続けて2回観たが、色々な解釈の出来る映画である。
監督からのヒントとして、「浮気をしている既婚男性の話で、彼が浮気相手から妊娠している妻のもとに戻るまでを潜在意識の視点から描いた作品」とのことである。
当初、ドッペルゲンガーか双子の物語かと思ったが違うようである。
【ストーリー】
ストーリーを少し紹介すると、大学の歴史の講師をしているアダム(ジェイク・ギレンホール)は、友人から紹介された映画に自分とそっくりな役者が写っているのを発見する。
その男はアンソニーと言う、アダムは彼を執拗に追いかける。そしてどうしても会って話をしたい欲求に駆られる。
アダムは彼に接触する。そして自分と瓜二つの男の存在に驚愕する、しかも体のキズまでも一致する。
アダムが接触したアンソニーはコピーなのかオリジナルなのか、はたまた何なのか映画を観て色々と解釈してほしい。
【レビュー】
アダムは大学の講師で一応独身であり、彼女メアリー(メラニー・ロラン)もいる・・・・・・・・理想の生活である。
しかし、アンソニーは身重の妻ヘレン(サラ・ガドン)をかかえている既婚者である。蜘蛛の糸に縛られたようで、自由がきかない・・・・・・現実の生活である。
アダムの視点で物語は進んで行くが、果たしてアダムは存在するのか、アンソニーの妄想世界の架空の人物か?あるいは、アンソニーがアダムになりきっているのか映画では良く分からない。
アンソニーはアダムの彼女メアリーを尾行する、まるでストーカーのようにそしてアダムと入れ替わりセックスをする。
しかしメアリーはアンソニーの指輪の跡から彼が既婚者であること、またアダムではないことを見破る。
しかしこの場面も、現実ではなく妄想なのか・・・・・・。
アンソニーは車でメアリーを送る途中、車の中で大ゲンカする。そして車は道路の壁に激突する。・・・・・これも妄想か?この出来事によって、アンソニー(アダム)は吹っ切れ、身重の妻のところに戻る。
アンソニー(アダム)はしかし、いかがわしい秘密クラブのカギが送られてきているのを思い出す。(物語の冒頭にこの秘密クラブの出来事が出てくる。)
そしてまた浮気の虫が騒ぎ始める。
この映画には不気味で巨大な蜘蛛が色々出てくる。
冒頭の秘密クラブにもお腹の大きな蜘蛛が出てくる。・・・身重の妻の化身か?
逆さになった通路を裸の女性がアンソニー(アダム)に向かって歩いてくる・・・・顔が見えた途端・・・頭が不気味な蜘蛛になっている・・・彼は夢から飛び起きる。
ビルを覆うように巨大なタカアシ蜘蛛が現れる・・・・・何を意味するのか?
結末は巨大な蜘蛛が部屋から現れる・・・・・ヘレンの化身か・・・・・?
アンソニー(アダム)の潜在意識は身重の妻をただの腹の大きな蜘蛛としてしか認識していないのか・・・・これではあまりにも寂しい。
そして蜘蛛はこの男を縛り付け自由を奪っているのか、何とも不思議な結末である。
今後、蜘蛛を踏みつぶさないよう気を付けましょうね!もう一回観ようかな・・・・・・。
辰々
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