ミステリー小説

ミステリー小説「僕のドッペルゲンガー体験」自分の分身と偶然出会えば死ぬ

ストーリー

「僕の実体験や知人から聞いた話をミステリー小説としてまとめた(フィクションもあるよ)。寝る前の数分間、僕に付き合ってほしい。読んでいただければ、深い眠りが提供できるかもしれない。でも、目がさえた時はごめんなさいね。」


ドッペルゲンガーとは「自分自身の姿を自分で見る、あるいは第三者が目撃する超常現象である。」魂と肉体が分離してくる「離魂病」とも呼ばれ、体が疲れてきたり、死期が近づくにしたがって見る回数が多くなる。

有名どころとしては、アメリカの大統領リンカーン、日本の小説家 芥川龍之介、ロシアのエカテリーナ2世などが自分自身を見たとの記録がある。

僕は昔、成田空港に勤めていたことがある。会社に行くと女性社員から「Tさん昨日テレビに出ていたよ」と言われる。空港はよくニュースの被写体になる。例えば、帰省の混雑具合とか、訪日客が増えているとか、最近の例としては「ワールドカップの日本選手の帰国」などなどだ。

仕事で空港のコンコースを歩いている時、たまたま報道陣が撮影したフィルムにのってしまう。そして、ニュースで流される。本人は知らないんだが、多くの人が見ているから気を付けなければいけない。同僚の女性といちゃついているところなんか見られたら大変だ。

しかし、僕は昨日 休みで家にいて外出していない。空港にはいないのだ。僕に似た誰かと見間違えたと思うしかない。世の中には似ている人が7人くらいはいるのだから。

ところが、しばらくして東京の銀座でも遭遇している。先輩が銀座を歩いている僕を見かけ何回も声をかけたそうだ。ところがそれを無視して雑踏に消えていったと怒っていた。先輩から、挨拶ぐらいしろときつく言われた。

しかし、これもおかしい、僕はその時間帯、仕事で空港にいたのだ。そんなところを歩いているわけがない。これも自分に似た人の見間違いと言わざるを得ない。

こんな出来事はすぐに忘れることにしていたが、2度あることは3度あるとの言葉通り今度は僕が遭遇している。有楽町を仕事帰りに歩いていた時、通りの反対側をこちらに向かってくる自分をみかけたのだ。びっくりして言葉が出ない・・・世の中には自分に似た人がいるもんだと。僕はこっそり彼の後をつけてみた。ところがビルの角を曲がったところで見失ってしまう。

建物に入ったのか、地下通路に降りて行ったのか見当がつかない。ひょっとしたら僕に似ている人ではなくドッペルゲンガーかもしれない。この現象に遭遇したら「死ぬ」と言われているのではないか。そういえば最近体調が悪い・・・疲れ気味だ。

僕は気分転換に繁華街を歩いてみた。新鮮な街並みが目に入ってくる、ふとショーウィンドウを見る。鏡に映った自分を見て愕然とした。そこには個性のない典型的なサラリーマンがいた。

髪を七三に分け、眼鏡をしている。白いワイシャツと黒っぽいネクタイ、ドブ鼠色の上下のスーツに、黒い靴・・・石を投げればぶち当たるどこにでもいる社畜だ。こんなに個性がなく群衆に溶け込んでしまう自分に長い間気付いていなかった。

それ以来僕はカラーシャツに赤いネクタイ、派手ではないが目立つジャケット、茶色の靴を履くことにした。髪もやや長めだ。

それが功を奏したのか、以降ドッペルゲンガーを見ていない。あれは果たして幻なのか、目の錯覚なのか、死神なのか、天使なのか自分には分からない。

 

TATSUTATSU

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