ミステリー小説

ミステリー小説「僕の守護霊体験記」あなたを災いから救ってくれる背後霊とは

ストーリー


あなたは守護霊の存在を感じたことはあるか。僕はある。自分の歩いてきた人生を振り返ると「守護霊」や「背後霊」を抜きにしては考えられないことが多々ある。自分が今だに現世で生きていることを考えると先祖代々伝わる「ある神様」が僕を守ってくれているのかもしれない。

僕は小学生のころからの友人A君からこんな話を聞いた。彼は小学5年生の頃からウスウス感じるものがあったと自分の秘密を打ち明ける。

A君は小柄で大人しい男の子だ。優しすぎる性格からいじめっ子の標的になりやすい。彼は自分をいじめた子供たちが次々とケガをするのを不思議だと思っていた。

当然のこと最初は偶然だと思っていた。3人のいじめっ子は、木から落ちて腕をねんざ、自転車に接触して打撲と擦り傷、3人目は川でおぼれかけた・・・と災いが降りかかる。

中学・高校生になるとこの現象がエスカレートする。彼をいじめた学生が次々と不慮の事故に襲われる。運動中に転んで骨折、車に跳ねられ重傷、落下物によってひどい頭部打撲・・・。

あまりにもこんなことが続くのでお婆ちゃんに話してみた。お婆ちゃんはA君の顔を覗き込んで「誰にも話してはいけないよ」と前置きをして次のことを教えてくれた。

A君の家系は代々、強力な「背後霊」を受け継いで生まれて来る。そしてそれは隔世遺伝のように一世代おいて子孫に伝わる。おばあちゃんもそうだった。ところが彼女の3人の子供にはこの強力な「背後霊」は見られなかった。そしてお婆ちゃんの初孫のA君にこの能力が伝わったようだ。

お前の(A君)の「背後霊」はお前を必ず守ってくれる。だけどその能力はどんどん強くなる。そして関わる人たちにひどい災いをもたらす。だから、心を広く、ゆったりとして生活しなさい。敵を作ってはダメだよ。と諭された。

そんなA君も社会人になって、ある大会社に就職した。そんな頃に、僕は町で彼と偶然に出会った。久しぶりに会った彼に懐かしさを感じる。食事を共にしてとりとめのない話をした。

ところが彼の顔は一瞬曇る。大人になった彼はこんな話をしてくれた。大手企業と言えども、学閥や派閥などがあったりして人間関係に苦しむことが多い。それに仕事上で意見が対立し、ケンカになったこともあったそうだ。

気に入らない上司や先輩から無理難題を押し付けられ苦しむことも一度や二度ではなかった。そんなことが何年か続いてふと振り返ると。彼とかかわった多くの人たちが次々に脱落していた(後でわかった人もいた)。

ガンや心臓病、糖尿病などによる長期療養や死亡、仕事中の不慮の事故、業績低迷、不祥事などによる左遷、さらに自殺など・・・。A君にとってもはやこれは偶然ではないと確信した。

A君を守るために「背後霊」(「守護霊」どちらでも呼び方はいいと思う)が彼に精神的・肉体的に苦痛を与える者を排除しようとしたのだ。そう確信し、ある有名な霊媒師を訪ねた。

その霊媒師は「A君の背中に白髪の小さなお婆さんがいる」と話してくれた。人間は誰しも「背後霊」を持って生まれて来る。ただそれが「強い」か「弱いか」の違いだけだ。

「背後霊」は悪い物ではなさそうだが、少し険しい顔をしている・・・と言う。そして今後、A君への影響力が増してくる。過去にこんな症例を1度だけ経験している。その憑き物が本人に影響を与え、本人の性格まで捻じ曲げてしまったとのことだ。しかし、その人が最終的にどうなったか教えてくれなかった。

A君はこの話をお婆ちゃんに話した。お婆ちゃんはこっそりと霊媒師に会いに行ったそうだ。そして暫く後にそのお婆ちゃんは亡くなる。

A君はこう解釈している。彼の家系は一世代おいて強力な「背後霊」を受け継ぐ。しかし、それは必ず「女の子」であって、「男の子」にとりつくことはめったにない。「女の子」は将来結婚して子供を産むから、「背後霊」の霊力も分散されるのだろう。ところが、男ではそううまく行かない。

A君は最後にこう付け加えた。おばあちゃんが亡くなる時に、僕の「背後霊」の霊力の一部をあの世に持って行ってくれた・・・これは推測だがそう思う。だからいまだに僕はこうしていられると・・・。

以上がA君の話だが実は僕にも不思議な体験がある。僕は長い人生で2度ほど死にかけたが、そのうちの一回は「背後霊」のようなものが助けてくれたと思っている。

僕は大腸の病気で腸管が破裂し、大量の下血によって意識を失った。たまたま、倒れたところが病院の前で助かった。後で聞いたところ、実に体全体の血液の6割ほどが流れ出てしまっていたそうだ。

倒れる寸前は痛みを全く感じず安らかな闇を感じた。ところが気が付いた時、体中が針でつつかれたように「ヒリヒリ」した。「生きることは痛みを感じることなのだ」と実感した。

また、A君と同じように、僕をいじめた者に何故か不幸が訪れていることも後で知った。これらは偶然かもしれない、でも、それだけでは説明できないこともあるんだと思っている。

TATSUTATSU

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