ミステリー小説

ミステリー小説「超能力者の存在」彼らは必ずいて人里離れた場所で暮らしている

ストーリー


 

動画をどうぞ。

映画『超能力者』予告編

 

「超能力者」は必ずいると思うよね。今から50年くらい前だ。その頃僕は学生で、よく一人で貧乏旅行をしていた。背中に大きなショルダーバックを担いで日本国中を歩いた。

特に東北地方は緑豊かで空気と水が美味しい、何度でも出かけた。関東から出発して太平洋側を北上して青森でUターンする。そして日本海側を回って帰ってくる。青森では駅に泊まった。寝袋に入っていると騒がしくなって起きると朝だ。駅はラッシュアワーだった・・・なんてことがしばしばあった。

その後、海外旅行にも挑戦するようになった。最初はタイだ。タイは食べ物が美味しいし、物価が物凄く安い。現地の人々も優しく迎えてくれる。そんな中、僕は現地で同年代のF君と知り合った。

F君は僕より1週間ほど早くここに来ていた。お互い日本人のバックパッカーということで気が合った。彼はそんな不慣れな僕を案内してくれた。

僕はバンコクから、カンチャナプリを通って、アユタヤ、チェンマイへの旅を考えていた。F君も同行してくれる。同じルートを進むが彼はその後、さらに北方のラオスとの国境沿いの奥地へと進む予定だという。

バンコクの安ホテルに荷物を置いて観光だ。僕はゾウに乗りたかった。ゾウは僕を載せたまま森を進む、ゾウ使いが案内してくれる。少し蒸し暑いが景色は最高でここに来てよかったと思った。ゾウにお礼のスイカを上げて次に向かう。

水上マーケット、多くの寺院、食堂街、土産物屋・・・・毎日が飽きない。疲れたらタイ式マッサージでリラックスする。そしてホテルでぐっすりだ。

その晩、忘れもしない事件が起こったのを今でも覚えている。真夜中にホテルで目が覚めた。同室のF君がまだ起きている。テーブルの上で何かゲームのようなことをしている。よく見るとテーブルの上には幾つかのビー玉があって、それらがクルクルとシンクロしながら回っている。

何かのマジックなんだろーか、でも彼はビー玉に手をかざしているだけで触っていない。その光景を眺めていると、F君も気づいたようだ。君もやってみるかいと声をかけてきた。

彼は「自分は不思議な能力を持っている。」という。そしてこの能力はお爺さん譲りだ・・・両親も知らない。彼は続ける「お爺さんはタイ人と日本人のハーフだ。もうすでに亡くなっているが、亡くなる前に、タイのある場所にゆけと教えてくれた。そこには同じ能力を持ってる人々がひっそり暮らしている」とのことだ。

彼の持っている能力は、鍛えれば強くなるそうだが、誰にも見せてはいけないと言われている。その他にも色々な能力があるらしい、しかし、これらの能力を持て余しているようにも思えた。

彼は自分の体が一般人とどこが異なるのか、調べた。血液中のヘモグロビン値がやや高いのと、脳の一部が活発に活動しているくらいで、特に変わっている点はなかったそうだ。

後で振り返ってみると、彼には「相手の気持ちを察知する能力」や「予知能力」も持っていたような気がする。彼は僕の気持ちを先読んで、観光案内をしてくれている。僕が次に行きたい場所を察知しているとしか考えられない。

観光船による湾内クルーズでは、わざわざ時間を少しずらして、乗る予定の船を変更した。僕らの乗る予定だった船は、湾内で立ち往生したと後で聞いた・・・エンジンのトラブルだった。とても偶然とは思えない。

彼との旅行はたかだか一週間程度だったが、後で思い返すと、不可解なことが色々とあった。でも楽しい旅行だった。彼も僕といる時が楽しかったらしい。もっと一緒にいてくれと言われた。でも、お金は尽きたし、帰国してやることがあった。

F君は何故、こんなに僕によくしてくれるのか、僕と一緒にいたかったのか・・・僕には分かる。僕は何のために日本中や世界中を旅するのか。

世界中を探して回ったが、自分と同じ能力を持った人間は、後にも先にもF君だけだった。あの時何故、連絡先を交換しておかなかったか今でも悔やんでいる。

「サイキック」としてマスコミに出る連中は偽物だと思っている。人間社会ではとてもこれらの能力を持ったまま生きて行くのはつらい。F君の未来は僕でも見えなかった。今頃どうしているのか・・・死ぬまでに会いたいと思っている。

 

TATSUTATSU

 

超能力者になれば世の中がこんな風に見える映画ベスト19:あなたの隣にエスパーがいる

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