ミステリー小説

ミステリー小説「ウインドーマンの恐怖」あなたは常に見られているそして狙われている

ストーリー


日々、暮らしにくくなっている昨今、何によりどころを求めればよいのか。何もしなければ時間だけが過ぎてゆく。かといって、自分にノルマを与えすぎるとメンタルに来てしまう。そんな時の箸休めに「寝る前の5分間で読むチョイ恐ミステリー」でものぞいてみて。

 

都心のビルの谷間を歩いている時、ふと「誰かに見られている」と感じたことは無いか。背中に異様な視線を感じ、振り向いても誰もいない。ビルの窓群を下から見上げるが多くの窓には誰ものぞく人はいない。

しかし、ビル街を歩くときには少なからず第六感が警告を発する。体を負圧が襲い鳥肌が立つ。これを繰り返すがその正体はつかめない。多くのサラリーマンが僕の横を素通りしてゆく。自分だけが空気中を歩いているような感覚だ。

ある日、路上に止まっていた車のフロントガラスにビルの窓から僕を見つめる何かが写っているのに気づく。ほんの一瞬の出来事だ。虚像に対して、何者かの対応は少し遅れる。これが僕とウインドーマン(或いはウインドーパースン)との初めての遭遇だ。

この日以来、手鏡を持ってここを歩くことにしている。鳥膚が立つ瞬間に鏡で後ろのビル群を見る。何回かに一回はウインドーマンが窓に現れ瞬時に消える。

この現象を色々と調べてみた。そうすると例は少ないが僕と同じような経験をした人を見つけることが出来た。その人はウインドーマンがガラス平面に捕われた魂と考えているようだ。そして、我々を常に狙ってガラス窓の中に引きづりこもうとしている。

ある人は魂の交換ではないかと主張する。彼は友人と有楽町や銀座界隈を歩いていた。突然友人が立ったまま意識を失った。数秒から数分間、彼は自分が誰だか分からない。僕のことも当然分からない。

意識が戻った時、彼は友人ではなくなっていた。彼の体に起きた異変はその後も続き、性格が全く変わってしまった。現在は彼との連絡は途絶えている。あの時、ガラス窓に黒い人影を見た。そしてそれが友人に覆いかぶさった。

これらは都市伝説と片づけられれば・・・そうかもしれない。しかし、現在都心にはおびただしいほどの監視カメラが取り付けられている。カメラによって僕らのプライバシーは全くなくなってしまった。

町を歩くとき、監視カメラが僕らを追う。毎日の行動パターンを記録し、おかしな動きをすれば監視室に緊急アラームが鳴り響くかもしれない。監視カメラは人工知能によって管理される。巨大なあの国と同じだ。

監視カメラ映像と個人情報(例えばマイナンバーカード、運転免許証など)がリンクされれば僕らは特定されて逃げることが出来ない。人工知能は全ての国民を監視し、まるで地面を這う「アリ」のように管理してしまう。

これがウインドーマンの正体かも知れない。つまり、「いつでも見ているぞ」と脅している。神経が特に敏感な人は監視による視線を第6感として感じる。システムから独立した人工知能はやがて僕ら人間を特殊な方法で管理しようとする。・・・こんな近未来は必ずやってくる。

鏡やガラス窓には怪奇現象が良く起こる。昔から真夜中に鏡を見てはいけないと言われる。鏡にうつった自分の背中に何かが取り憑いているように見えることがある。さらに部屋を暗くすると窓に人影が見えることもある。

これらはあなたを襲い、時に金縛り状態に追い込む。僕は一度だけ金縛りにあったことがある・・・眠りから目覚めようとしたその瞬間だ。体が動かない。そして何かが自分の周りを徘徊する。怖くて目が開けられない。じっとそれが自分から通り過ぎるまで冷汗をかきながら待つ。何かが通り過ぎたとたん体が動くようになる。

僕らの祖先が小さなサルだった時代。空から襲ってくる猛禽類、地上から木に登ってくる肉食獣・・・これらをいち早く感知し素早く逃げる。この感知能力が遺伝子に組み込まれている。

そして背後から襲ってくる何ものかを感知する能力。これがウインドーマンの正体かもしれない。あなたがビルの谷間を歩く時、神経を背後に集中してみてほしい。きっと何かを感じるはずだ。

しかし、この仮説が間違っておりウインドーマンが本当に実在した場合。あなたは窓に近づいてはいけない。これは僕からの警告と考えてほしい。窓に映る人影の恐怖、一日も早くこれから解放されたいと祈っている。

TATSUTATSU

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