ミステリー小説

ミステリー小説「魔女に憑りつかれた男」女神にもなれる彼女の正体とは

ストーリー


日々、暮らしにくくなっている昨今、何によりどころを求めればよいのか。何もしなければ時間だけが過ぎてゆく。かといって、自分にノルマを与えすぎるとメンタルに来てしまう。そんな時の箸休めに「寝る前の5分間で読むチョイ恐ミステリー」でものぞいてみて。

 

 

僕の親友A君の話をしよう。彼は学生時代、ガソリンスタンドでアルバイトをしていた。ある日、目の前で人が車に跳ねられる。彼は道路にたたきつけられた男を救急車が来るまで必死に心臓マッサージをして応急措置をほどこす。

しかし、その甲斐なく男は目を開いて彼を見つめ絶命する。その時、A君は自分の背中に泥水を注ぎ込まれたような嫌な感触を得る。男に運がないのか、結局救急車は間に合わなかった。

それを契機としてA君と家族が不運に見舞われる。父は不慮の事故で大ケガ。母も病気で入院。妹は自転車に当て逃げされ腕を骨折。A君自身にも色々な不運が降りかかる。

A君と家族に不幸が次々と襲ってくる。運気を変えないと大変なことになる。家族は神にもすがる気持ちで神社へ行きお祓いを受けた。しかし、何度お祓いを受けても不幸を断ち切ることは出来なかった。A君はひょっとしたら自分が悪運の原因ではないかと考えるようになった。

思いつめた息子を見て母は次の提案をする。あるお寺に悪霊を祓うことの出来る霊媒師がいる。あなたは多分信じないと思うけど、だめもとで会ってみては・・・と。

A君はこういう霊的なことは信じない。しかし、今回は万策尽き、すがるつもりで山奥にあるお寺を訪ねた。お寺には50代思われる尼さんがいた。この人が霊媒師なのか・・・とてもそのようには見えない。

彼女はA君を見て何かを感じたようだ。彼女はこじんまりとした本堂に彼を通す。そして塩で自分を囲うように円を描き結界を作る。「決してここには入らないこと」と強い口調で話す。そして「近くにあるロウソクに火をつけろ」と指示する。

A君は言われるまま、ロウソクに火をつけた。そしてそれを自分の右肩近くに持ってゆく。その時、風もないのにロウソクの炎が少し揺れた。霊媒師は「あなたの背中に何かが取り憑いている」「悪霊かもしれない」・・・とつぶやく。

「悪霊は人から人に乗り移る。一週間ほど人通りの多い雑踏を歩いてみなさい。うまく行けば誰かに乗り移ってくれる。」その後「また、ここに来なさい。」とアドバイスをくれた。

半信半疑だが霊媒師の言うことをとりあえずやってみよう。A君は言われるままに雑踏を彷徨う。一週間後、お寺を訪ねた。霊媒師は前回と同様にロウソクに火をつけさせる。そして炎を自分の右肩に近づける。かすかに炎は揺れる。

霊媒師は「まだ悪霊は取り憑いている」と答える。そして悪霊の正体を確かめる方法があると言う。正体が分からないようでは除霊できない。それを確認してからだと言われた。正体を確かめる方法とは。

満月の夜、窓を背にして薄暗い部屋に立つ。そして正面には全身が写る鏡を立てる。雲から満月の光が差し込むまでじいっと待つ。雲が切れ月明かりが差し込んできた瞬間、高性能カメラで鏡に写った自分を連写する。

A君はカメラのモニターを次々と見る。「何も映っていない」・・・・ところがある一枚を見て、のけぞった。カメラに写っていたものは・・・「肩越しに現れた黒い影」「そして真っ赤な目」。これが憑りついた悪霊なのか?

写真を持って霊媒師を訪ねた。写真を見るなり、彼女はうなる。「これは日本の怨霊ではない」「西洋の悪魔に違いない」。「大変なものに憑りつかれた。私にはこれは除霊できない。」「教会の牧師に相談しなさい」とさじを投げられた。

自分の中では、「写真」という証拠を見て・・・愕然とする。そして、自分の考えが180度転換した。なんとかして背中に憑りついた「悪魔」らしきものを取り除かなければならない。

教会に行き、神父さんに事情を説明する。悪魔祓いを至急お願いしたいと写真を渡す。神父は奥の部屋にA君を連れて行き、かなり年配の神父に合わせる。老神父は大昔に悪魔祓いを経験したことがあると言う。

老神父は「写真」を見る。そしてA君をなめるように上から下まで観察する。「この悪魔はリリス姉妹だ」「リリスにはたくさんの姉妹がいる」「たぶんその中の一人だろう」。そして部屋の中で色々なことを話してくれた。

それから5年くらい経っただろうか。A君はテレビ番組に頻繁に顔を出すようになった。肩書は「天才投資アドバイザー」だ。彼が指摘したアドバイスはよく当たると評判だ。また、すらりとした長身と甘いマスクは女性に受け、時のアイドルのようだ。

そんな時、霊媒師からA君に電話が入る。彼女は「悪魔に魂をうったのか」「生きている間はいいが死んで魂となった時が大変だ」「悪魔に永遠にいたぶられる、それでもいいのか」・・・・と。「出来るだけ早く除霊してもらいなさい」ととてもヒステリックに話す。そして電話は切れた。

実は違うのだ「僕は魂などうっていない」。ある日夢の中に絶世の美女が現れ、僕は心身ともに彼女と融合する。しばらくエクスタシーと交互に襲ってくる痛みに耐えながら朝を迎えた。

つまり、A君とは僕のことだ。僕と魔女が融合した物体を「A君」と呼んでいる。そして面白いことに「A君」を客観的に見ている「自分自身=僕」がいた。

「A君」が出来上がった途端、運気が逆転する。何をやっても成功するのだ。アルバイトで貯めた100万円を元手に投資をしてみる。これが面白いように当たる。100万円が1000万円、そして1億円、10億、100憶に達するまでそんなに時間はかからない。

毎日A君はおびただしい人間に会う。彼らの人間性を一瞬で見抜く。そして気に入った人たちと組織を作る。彼らとのネットワークがどんどん広がる。世の中において「成功」するには、「先を見る目」と「人を見る目」の二つさえあればいいと改めて思う。

あっという間に資産100億円を突破する。これ以上、表の世界にいれば、不正をしているとあらぬ詮索を受ける。彼はそろそろ地下にもぐることを考えた。表の世界から裏の「闇」の世界に鞍替えする時だ。つまり、「闇」から世界を動かすのだ。

老神父の言葉を今思い返す。彼は僕に対して、「除霊するのを少し待ちなさい」と話し始めた。リリス姉妹が取り憑く男にはある条件がある。まず、①長寿の家系であること②身体・頭脳がずば抜けていること③よく分からないが血筋がからんでいる。そのほかにもまだ分からないことが色々ある。

リリス姉妹に好かれれば「最強の力」を手にすることが出来る。そして、それを使えば世界なんて手の上で転がすようにコントロールできる。

ああ、そうそう最後に言っておく。リリス姉妹は「イケメン」を好む、それに嫉妬深い。彼女を怒らせたら八つ裂きにされるから気を付けなさい・・・と。老神父の言葉通りに現在まで進んでいる。「自分自身=僕」はそんなA君を毎日、ワクワクしながら見ている。これほど楽しいことは無い。

ところで、もしこの世界が「仮想現実世界」であれば、「人間に憑りついている悪魔ゃ霊或いは神」は未来人かAIと言うことになる。未来人やAIがゲームのように人間を操っている。でもその目的は何だろう。ただ単に娯楽なのか暇つぶしなのか・・・。

第3者的にA君を見ている僕は「何者」なのか・・・頭がこんがらがってくる。もし、「現実世界」であれば、「僕」はA君の「守護霊」なのか。そしてリリスにその座を奪われ、隅っこに追いやられているのか。

まあ、そんなことはどうでもいい。毎日「劇的なドラマ」を楽しませてくれるのだから・・・。さて、今日は何を見せてくれるのか。

 

TATSUTATSU

ミステリー小説「守護霊と旅する男」彼は何処に向かって旅をするのか、旅はいつ終わるのか

ミステリー小説「幸運の女神を探せ」生死の境目に現れる微笑みの彼女にもう一度会いたい

人生に疲れた時に見るお薦め映画ベスト20:人生は長く苦しいけど時には気分転換をお好きな映画で

ミステリー小説「友引の夜」友を黄泉の国に引きづりこむ言い伝えは果たして本当なのか

ミステリー小説「天国に一番近い夢」だれにでも心地良い夢はある、それを見続けたい前のページ

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

人気記事
アーカイブ

Warning: Undefined array key "show_date" in /home/naka-103102/happyeiga.com/public_html/wp-content/themes/mag_tcd036/widget/styled_post_list1.php on line 24

Warning: Undefined array key "show_excerpt" in /home/naka-103102/happyeiga.com/public_html/wp-content/themes/mag_tcd036/widget/styled_post_list1.php on line 25
最近の記事
2026年1月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  
  1. ウーパールーパー

    ウーパールーパー ハナちゃん二足歩行する(本当かなー)
  2. サスペンス

    映画「捜査官X」感想・評価‐金城武ファンはもちろんそうでない人も必見
  3. SF

    映画「LUCY/ルーシー」感想・評価:結末は攻殻機動隊と同じサイバー空間へのダイ…
  4. ミステリー小説

    ミステリー小説「冥婚の真実とは」大昔から続く儀式は現代まで霊力をもっているのか
  5. ヒューマンドラマ

    映画「レヴェナント:蘇えりし者」感想・評価‐クマに襲われ重傷を負った男の生還実話…
PAGE TOP