ストーリー
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もう一つ
地球に降り注ぐ「隕石」。実は毎年2万個の「隕石」が落下している。とても信じられないが事実だ。その多くは大気圏で燃え尽きてしまう。この中から地球にまで到達する数は年間40個ほどと大幅に少なくなる。
しかし、太古の地球から現在までを考えると「隕石」の数は天文学的な数字となる。隕石の年齢は「放射年代測定」によって46憶から47億歳と分かっている。つまり、太陽系が生まれた頃に出来ている。あまりにも古く気が遠くなりそうだ。
そして「隕石」の成分は「ケイ酸塩鉱物(石)」と「鉄-ニッケル合金(金属)」さらに両者が混ざり合った物などに分類される。隕石は宇宙からの贈り物と言われ、これを詳細に研究することによって地球の成り立ちまでもが推測される。
小谷博士は「隕石」研究のパイオニアであり、様々な角度から分析したデーターをもとに多くの論文を発表している。ところがこの博士でさえ解明できない「隕石の謎」があった。
彼は多くの隕石を観察したり分析したりしてきたが、ある一つの隕石だけが全く不可解で頭を悩ませた。それは隕石の中に直径1cmほどのきれいな球体がみつかった。そして隕石を割って「球体」を取り出し、さらにその球体の中に何かがあることを発見する。
その球体は厚さ1mmほどの石英から出来ている。この球体を隕石から取り出すのに大変苦労した。博士は取り出した球体を真空の無菌室に格納し、器具を使ってカラを切断した。球体の中には窒素と微量の酸素、さらにアルゴンガスが含まれていた。
驚くことに中から5mmほどの虫のような化石が出てきた。形態は「クマムシ」を大きくしたようなモノだった。地球上に生きているクマムシの耐性は100℃の熱水から絶対零度の極低温環境でも生き抜く種がある。
また、130年の時を経て蘇った個体、さらに宇宙空間に10日ほどさらしても蘇生出来たと言われている。とにかくタフな生き物なのだ。
小谷博士はこの生き物を「宇宙虫」と名付けた。この化石の年代を「放射年代測定」によって計測すると驚く結果が出た。数百万年の歳月を経過している。
ここで大きな謎が出てくる。隕石の年齢が46憶から47億歳なのに「宇宙虫」は数百万才だ。あまりに年齢の開きがある。この疑問にぶち当たり、研究は暗礁に乗り上げる。
博士は幾つかの仮説を提唱する。
①隕石の中に「宇宙虫」がもぐりこみ、中で石英の球体を作り出す。・・・残念ながら隕石の外部から入り込んだ通路が見当たらない。
②何者か(宇宙人か?)が「宇宙虫」を隕石に封入し、宇宙空間にばら撒く。・・・残念ながら宇宙人は確認されていない、また、何でこんな操作をするのか目的が不明。
これらの議論は長いこと白熱したが結論が出ないまま忘れ去られた。それから50年の歳月がたつ。小谷博士の息子、小谷涼介が海の中で生きた「宇宙虫」を発見する。彼は海洋学者になっていた。
生きた「宇宙虫」をサンプリングし詳細に調べてみる。間違いなく「宇宙虫」或いはこれら近縁種であることが証明された。ところが彼がこの虫を発見してから数年後、海底調査で驚くことが分かった。
「宇宙虫」は有機物だけでなく無機物も喰らって繁殖し、あたり一面を覆い尽くしていた。単為生殖もすることから次々と子供を産み落とし凄いスピードで繁殖してゆく。
彼の計算ではこのスピードで繁殖してゆくと100年以内に地球上を覆ってしまう。このニュースは世界をめぐり、パニックを引き起こした。
こんな5mm程度の虫が地球の生態系を完全に破壊し、生物の住めない星にしてしまうのか?世界はこの「宇宙虫」の駆除方法研究する。
ところが熱にも強く、殺虫剤などの薬品も効果が無い。物理的に海底をさらって「宇宙虫」を搔き集める、生きたまま焼却炉で燃やすしかない。でもこんな効率の悪い方法を駆使して駆除しても、焼け石に水状態だ。解決策が行き詰まる。
数年してある少年から驚く情報がもたらされる。かつては地球の海底を覆い尽くすほど繁殖していた起源の古い海藻がある。現在では生態環境が変わり絶滅の危機に扮している。
この特殊な海藻のまわり直径5mほど「宇宙虫」が繁殖していない。この海藻を嫌っているようにも見える。小谷涼介は確認のためその場所に飛ぶ・・・南のある島だ。
彼はこの太古の昔から生き抜いている海藻が何らかの物質を出して「宇宙虫」を寄せ付けないようにしているとみた。新たな希望が湧いてきた。
涼介はさっそくこれの研究を始める・・・間に合うのか。そして彼は考える。地球46億年の歴史の中でこの「宇宙虫」に何度か襲われたに違いない。そしてその結果として耐性を持った海藻が生まれてきた。
この海藻は長い間地球を守ってきたに違いない。生命の多様化とはすばらしい。こんな素晴らしい生態系を我々は破壊しようとしてきた。人類に対する強烈なしっぺ返しにを経験した今、我々がやらなければならないことが見えてきた。
TATSUTATSU
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