サマリー
★★☆☆☆(そこそこ面白い)
2019年10月4日公開のヒューマンドラマ
監督・脚本・編集 石川慶
原作 恩田睦「蜜蜂と遠雷」
出演 ●松岡茉優(万引き家族)
●松坂桃李(日本のいちばん長い日、湯を沸かすほどの熱い愛、不能犯、娼年、弧狼の血、新聞記者、蜜蜂と遠雷)
●森崎ウィン
●鈴鹿央士
「映像化不可能」と言われたベストセラー小説の映画化だ。残念ながら僕は原作を読んでいないけど映像化が成功したとは言い難い。演技のし過ぎ・説明のし過ぎ・原作を意識しすぎでコケてしまったようだ。
やはり、映像と音・音楽だけで勝負してほしかった。視聴者もバカではないので説明がなくても見ればわかると思う。それに分からなくても感情移入さえできれば合格だ。
いくら天才少女と言われても7年のブランクを飛び越えて世界ピアノコンクールで入賞したり、音の出ない鍵盤での練習、家族を持って生活しながら世界に挑戦する。現実にはあり得ない。
もし、このストーリーでゆくのならもっとファンタジー化すべきであったと思う。夢と現実のギャップが大きすぎる。原作を尊敬しつつ、内容を変えてもよかったのではと思うね。
あまりにもけなしすぎたけど松坂桃李と森崎ウィンの素直な演技と結末のピアノ演奏は見る価値がある。僕はピアノドラマが好きだ「シャイン」「アマデウス」「戦場のピアニスト」「海の上のピアニスト」「ロケットマン」・・・など名作が多い。
これらの名作と比較してはかわいそうだけど、やはりまだまだ大きな差があるね。話のスジを少し紹介すると。3年に一度開かれる「芳ヶ江国際ピアノコンクール」、かつて天才少女と言われた栄伝亜夜(松岡茉優)が7年ぶりに挑戦する。
彼女は母の死をきっかけにピアノの世界から遠ざかっていた。楽器店で働く高島明石(松坂桃李)は年齢制限ギリギリの28才で挑む。彼は「生活者の音楽」を信条に、その生活の中からにじみ出る音楽を追及していた。
ジュリアード音楽院に在籍し今回の大本命と言われるマサル・カルロス・レヴィ・アナトール(森崎ウィン)。彼は幼いころ亜夜と一緒にピアノの弾いていた幼馴染だ。
そして今は亡き「ピアノの神様」ホフマンに見いだされた養蜂家の息子風間塵(鈴鹿央士)。彼は正式に音楽の教育を受けていない。家にはピアノさえない。しかし、音の出ない鍵盤だけの道具で考えられないような旋律を紡ぐ・・・野生児だ。
国際ピアノコンクールは始まる。才能たちの火花がぶつかり合う。果たして優勝の栄冠を手にするのは誰なのか・・・。
その後のストーリーとネタバレ
最終予選で高島明石は落ちてしまう。彼は涙ながらに自分の実力のなさを白状する。やはり「生活者の音楽」は通用しなかったのかと。そして吹っ切れたようにすがすがしい気分にもなる。それに自分はここにもう二度と来ることはない・・・。
本選はオーケストラをバックに演奏することになる。世界最高峰のマエストロ、小野寺昌幸がタクトを振る。挑戦者はオーケストラと音合わせする。マサルは小野寺をさしおいてメンバーたちに注文を付ける。それに対して栄伝亜夜は前回の本選での醜態を思い出し手が止まってしまう。
亜夜は母の死のショックから本選を直前でキャンセルしまっていた。風間塵はまるで野生児のように自分が大自然の一部でもあるかのようにピアノに没頭する。
本選が始まった。審査員たちは3人の演奏を客席から評価する。3人の演奏は素晴らしく甲乙つけがたかった。そして「芳ヶ江国際ピアノコンクール」は終了する。
1位 マサル・カルロス・レヴィ・アナトール
2位 栄伝亜夜
3位 風間塵
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レビュー
ピアノの楽しさ、本物のプロの演奏の凄さを感じた。俳優たちの演技がどれだけプロのそれに近づけるかが勝負だ。それが気になって映画を見てしまう。
しかし、どうしても俳優たちのぎこちなさが目に付いてしまう。これは仕方のないことかもしれないね。でも最後の本物のプロの演奏に触れてこの映画の良さが感じられた。
まだまだのレベルのドラマだが、今後凄い監督が出てきて自分がピアニストに乗り移って演奏しているような雰囲気にさせてくれることを祈っている。
TATSUTATSU
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