邦画

映画「新聞記者」感想・評価:日本の自由な社会は真の民主主義国家と言えるのか?

サマリー


★★★☆☆(お薦め)

2019年6月公開の社会派ドラマ
監督・脚本 藤井道人(新聞記者
原案 望月衣塑子「新聞記者」
出演 ●シム・ウンギョン(怪しい彼女、新聞記者
●松坂桃李(日本のいちばん長い日、湯を沸かすほどの熱い愛、不能犯、娼年、弧狼の血新聞記者蜜蜂と遠雷
●本田翼(新聞記者
●高橋和也(新聞記者
●田中哲司(新聞記者

『新聞記者』予告編

 

新聞やテレビを見なくなってしまった多くの人々。あまりにも内容がつまらないからだ。僕は日本経済新聞は読むがテレビはほとんど見ない。たまにはお笑い番組もいいが見ているとその薄っぺらさに飽き飽きしてしまう。

真実はもう「ネット」の世界のものなのか。しかし、「ネット」の中には「フェイクニュース」も多い。何が本当に「真実」かは自分で判断するしかない。

アメリカ、イギリスなどの先進国と比較して日本では海外の情勢がほとんど地上波では報道されない。「香港問題」「台湾問題」「韓国問題」「ウイグル、チベット問題」「中国問題」「北朝鮮問題」「ロシア問題」・・・・。

日本のジャーナリズムは何かに抑え込まれているのか、権力の闇があるのか・・・なんとも言えない。かといって、日本が自由のない独裁体制に縛り付けられた国でもない。わが国は自由な民主主義国家なのだ。それに日本のパスポートは世界最強だと言われる。それは日本と言う国が世界中に信用されているからだ。

自由に行動できるし、文化・芸術・言論・思想・・・に大きな制約を受けることもない。この映画の中で語られる内調・責任者の言葉「日本の民主主義は形だけでいいんだ!」が心にしみる。これは事実なのか。

このドラマは反体制的な内容だが大ヒットしている。40万人動員し興行収入は5億円を突破だ。また、韓国公開、台湾への配給も決定している。

僕はこの映画を見て、これを作った人々の勇気をたたえたいが「違和感」も感じる。何故、主役が韓国籍女性シム・ウンギョンなのか?彼女を悪く言うつもりはないがたどたどしい日本語とわざとらしい演技には閉口する。でも、松坂桃李と田中哲司の鬼気迫る演技は一見の価値がある。

日本も少しづつ変わり始めたのか。あなたはこの映画を見てどう感じるか。何か、海外の見えない意思が裏で働いた映画なのかそれとも真に日本を良くしようと考えたドラマなのか。自分で見て判断してほしい。

話のスジを少し紹介すると。東都新聞社の女性記者、吉岡エリカ(シム・ウンギョン)は上司の陣野(北村有起哉)から大学新設計画に関する調査を指示される。

羊が表紙に書かれた極秘情報が記された匿名のファックスが届いたからだ。これをたどってゆくと内閣府の神崎(高橋和也)と言う人物にたどり着く。ところが、その神崎が投身自殺してしまう。

彼女はこの自殺をおかしいと追ううち内閣情報調査室(内調)の杉原(松坂桃李)と言う男を知る。彼はかつて神崎の部下だったのだ今は外務省から内調に出向していた。杉原は何故、神崎が死ななければならなかったのかと悩んだ末に吉岡と組んでその理由を調べ始める。

二人は「大学新設」にからんで恐ろしいことが計画されていることを知る。果たしてそれは何なのか、そしてその計画は阻止できるものなのか・・・。

その後のストーリーとネタバレ

吉岡の父はジャーナリストだった。彼は政府の重大な疑惑をすっぱ抜きその記事を新聞で発表した。ところがそのスクープが後で誤報とされてしまう。彼はそのことで自分を追い詰め自殺していた。

吉岡は神崎の自宅に取材に行ったとき、妻の伸子(西田尚美)から鍵を渡される。この鍵は神崎の机のカギだ。引き出しの中に羊が表紙になった原稿や資料が見つかる。

東都新聞に送られてきた匿名のファックスは神崎からのものだった。彼女は杉原を呼び寄せ、中身を確認すると驚愕の事実が浮かび上がってくる。

そこにはアメリカのダグウェイ実験場の資料があった。ソルトレイク砂漠の中にあるアメリカ陸軍の研究施設だ。ここでは生物兵器や化学兵器の防御に関する研究が行われている。

1968年3月、この施設から神経ガスが漏れ大量の羊が死んでいる。国は「大学新設」を隠れ蓑に「日本のダグウェイ実験場」を作ろうとしていたのだ。杉原は急いで自分のつてを使って裏を取る・・・間違いなくこの計画は実行に移されつつあった。

杉原、吉岡、陣野は密室で協議し新聞発表を決断する。そしてこのスクープは翌日リリースされる。もし、政府から誤報であると反論されたら自分の名前を出していいと杉原は腹をくくった。

その頃、杉原の妻・奈津美(本田翼)は彼との第一子を帝王切開で産んでいた。杉原は子供を抱きしめ「すまない」と涙を流す。

杉原は上司、多田(田中哲司)に呼ばれる。部屋に入ってきた杉原に多田はスクープ記事を見て「君は絡んでないだろうね」と念を押す。そしておめでとうと「出産祝い」を渡す。

多田は杉原に向かって「外務省に戻るか、何年か海外に家族と言って来い」と言葉をかける。多田はすべてを知っていると杉原は感じた。多田の持論は「この国の民主主義は形だけでいいんだ!」であり「総理と現政権を守るのが我々の役目だ」との強い信念を持っている。杉原の心は揺れ動き、既に体制側に戻っていた。

吉岡に匿名の電話が入ってくる「お父さんのスクープは事実だ」と・・・多田が受話器を下す。その頃、吉岡のスクープ記事は誤報だと政府が答えたようだ。

彼女は杉原が霞が関ビルから出てくるのを待ち受ける。彼は遠くから彼女に向かって「ごめん」と言っているようだった。吉岡はそれを茫然と見送るしかなかった・・・。

レビュー

結局、正義感に燃えた杉原でさえも、最後は家族のために国側の人間に戻ってゆく。そして吉岡のスクープは誤報として処理され、「大学新設」計画は場所を変えて存続してゆく。国の大きな流れは止めようがない。

ここでいう「内閣情報調査室(内調)」とは一言でいえば「日本のCIA」と言える。内閣府庁舎6階に居を構え定員は415名と言われている。彼らは公安調査庁(法務省の外局)や公安警察と連携しており、すべての情報は内閣総理大臣に直接報告されている。

日本は「スパイ天国」と言われ、多くの国々のスパイが動き回っている。また、「オウム真理教」に見られる、サリン、VXガス、炭そ菌、ボツリヌス菌散布のテロ、そして共産圏の政治的扇動などを防止するためには「日本のCIA」は必要なのかもしれない。

特に、2020年7月24日(金)から8月9日(日)まで開催される東京オリンピック・パラリンピックを無事に成功させるためにはこれらの機関と警察が最大限に連動すると思われる。日本はサイバーテロに弱いと言われているがそれをどう克服するか課題だ。

「日本の民主主義は形だけでいいんだ!」と多田が言っている。この言葉は政府中枢の本音かもしれない。しかし、これが過ぎると一般人も巻き込んだ冤罪事件になる。やはり、日本のジャーナリストは必要であるしこれらを常にけん制してほしい。

自由の国、アメリカではもっとエグいことをやっている。「スノーデン」が暴露した、かつてPRISM(プリズム)と呼ばれた「国民監視システム」。これはグーグル検索と同じように特殊なキーを入力するだけで簡単に個人情報が閲覧できてしまう。

また、ベトナム戦争の劣勢を隠蔽した「ペンタゴン・ペーパーズ」、さらに「ウォーターゲート事件」、「アフガニスタン・ペーパーズ」・・・きりがない。しかし、これらは勇敢なジャーナリストたちによって白日の下にさらされている。現在も彼らは命の危険を冒して真実を追求している。

TATSUTATSU

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