邦画

映画「居眠り磐音」感想・評価:迫力不足、テレビドラマの総集編のような出来では寂しい

サマリー


★★☆☆(そこそこ面白い)

2019年5月公開の時代劇
監督 本木克英(空飛ぶタイヤ)
原作 佐伯泰英「居眠り磐音」
出演 ●松坂桃李(日本のいちばん長い日、湯を沸かすほどの熱い愛、不能犯、娼年、弧狼の血
●木村文乃
●芳根京子
●柄本佑
●杉野遥亮
●佐々木蔵之介
●谷原章介
●中村梅雀
●柄本明

松坂桃李、 木村文乃『居眠り磐音』2019 映画予告編

 

累計2000万部を突破する国民的ベストセラーの映画化だ。テレビドラマにはなっているが今まで映画化されていなかったのが不思議だ。日本中のファンが待ち焦がれていたと思う。

この映画は熱狂的な磐音ファンに気を使いすぎたように思う。主人公に松坂桃李さんを選んだのは申し分ないのだが。全体を通して迫力に欠けたホームドラマになってしまっている・・・残念。

わざわざ映画館に足を運ぶのだからドラマチックな演出、意表を突くストーリー展開と迫力ある殺陣を見たかった。殺陣についてはスローモーションや細かなカット割り、アップ、一人称視点など、もっと工夫しても良かったのでは(予告編ではスローモーションが使われていたのに・・・)。

主人公の暗い過去が冒頭に長々と出てきてしまっていて興ざめ。彼の過去はしばらくミステリーにしておけばよかった。まあ、厳しいことを書いたが磐音ファンや松坂桃李ファンにとっては問題なく見られると思う。

話しのスジを少し紹介すると。坂崎磐音(松坂桃李)は剣の達人である。その剣法は縁側で日向ぼっこをしている猫のように起きているのか眠っているのか分からない構えから鋭く斬り込んでくる。彼のことを皆は「居眠り磐音」と呼ぶ。

磐音は九州・豊後関前藩の武士であった。しかし、あることから許婚、奈緒(芳根京子)の兄で幼なじみの小林琴平(柄本佑)を斬って脱藩する。磐音は江戸の貧乏長屋に流れ着き、大家の金兵衛(中村梅雀)とその娘おこん(木村文乃)の世話になる。

磐音はウナギのさばきを日々の仕事にしている。貧乏浪人として苦労しているところに用心棒の話が舞い込んでくる。ところがそこから大変な事件に巻き込まれることになる。

その後のストーリーとネタバレ

両替商・今津屋には既に三人の用心棒がいて、痩せて弱弱しく見える磐音に務まるのかと金兵衛もおこんも心配する。そんなところに、毘沙門の統五郎が腕のたつ侍を連れて殴り込みに来る。

今津屋の用心棒が迎え撃つが彼らでは相手にならず、一人がケガを負い、もう一人は刺殺される。これはまずいと思った矢先「拙者がお相手いたそう」と磐音が前に出て来る。金兵衛もおこんもびっくりする。

ところが磐音は例の構えから鋭く立会い、二刀流の達人、黒岩重三郎を斬り倒す。周りは磐音の凄さに氷りつく。統五郎はまた来ると捨て台詞を吐くと退散する。

この事件の背後には幕府が流通させた新貨幣、南鐐二朱銀(なんりょうにしゅぎん)の騒動が絡んでいた。この政策は江戸の金経済と京都・大阪の銀経済を統一するものである。幕府のお達しでは南鐐二朱銀8枚に対し小判1枚(1両)が両替の相場だ。

この方針に今津屋の主人、吉右衛門(谷原章介)は従うつもりだ。しかし、阿波屋・有楽斎(柄本明)をリーダーとする反対派がいた。有楽斎は小判1枚に対し南鐐二朱銀を12枚の両替相場とし、南鐐二朱銀の価値を暴落させようとしていた。

そしてこれによって、この政策を立案した田沼意次(西村まさ彦)を失脚させるのが目的だ。有楽斎は邪魔な吉右衛門を亡き者にしようと統五郎を使って殴り込みをかけたのが事の発端だ。しかし、磐音がいたのが誤算だった。

有楽斎は次の手をうってくる。市場で1両を12枚の南鐐二朱銀と交換し、多量の南鐐二朱銀を蔵に溜め込む。そして、この貯め込んだ南鐐二朱銀を今津屋に持ち込み小判と交換させる。

今津屋では幕府の指示通り8枚の南鐐二朱銀で1両の小判と交換だ。今津屋に客が殺到する。小判がどんどんなくなってゆく。このままでは今津屋は潰れてしまう。

磐音は一計を案じる。江戸の有力者を使い、大量の小判を阿波屋に南鐐二朱銀と交換させる。レートは当然1両を12枚以上の南鐐二朱銀だ。これによって阿波屋の南鐐二朱銀は底をつく。

同時に、この違法な取引を奉行所に通報し、阿波屋の業務は停止させられる。有楽斎は現行犯で捕まりそうになるが逃げのびる。磐音と吉右衛門は奉行所と裏で手を組んでいたのだ。

これで一件落着かと思われた時、今津屋の主人、吉右衛門を暗殺しようとする者がいた。仕事の帰り道、用心棒を伴って有楽斎が現われたのだ。吉右衛門には磐音が付き添っていた。

驚くことに、凄腕の浪人、天童赤児(波岡一喜)は自分の雇い主、有楽斎をたたっ斬る。今まで出会ったことのない凄い奴、磐音と真剣に勝負がしたかったようだ。

二人の戦いは闇夜の中で火花を散らしたが磐音が辛うじて勝つ。磐音も手傷を負うがおこんさんに傷の手当てをしてもらう。

磐音はしばらくぶりに佐々木道場の佐々木玲圓(佐々木蔵之介)に会う。玲圓は「吉原から手紙を預かっている」とにやにやしながら磐音に渡す。磐音は手紙を見て顔色が変わる。何と奈緒からの手紙だったのだ。

奈緒は長崎を皮切りに関西、そして吉原へと上り詰めた「花魁」になっていた。磐音は吉原に駆け付け奈緒を探し回る。奈緒は大勢の付き人を従えた花魁道中の中心にいた。そして振り返り、磐音を見る。手には磐音からもらったにおい袋を握りしめていた。

磐音は奈緒を見て涙を流す。そして永久に違う世界に行ってしまった・・・。

レビュー

最期はメロドラマのようになってしまった。今回ヒットすれば続編が作られそうだ、楽しみだね。磐音の魅力は侍らしくない優しさだ。それでいて、腕が立つ。

さらに江戸時代の庶民の生活が垣間見える。田沼意次時代の優雅で風流な江戸文化が開花し始める。磐音が日々の暮らしにきゅうきゅうしながら生きてゆく様子も生き生きと描かれる。

今回の殺陣は「散り椿」と比較してやや迫力不足だが次回に期待をかけよう。原作者の佐伯泰英さんはもっとストーリーをいじくってもらってもオーケーだと言われている。

これだけの大ベストセラーをいじるのは勇気がいると思う。でも挑戦して、新たな磐音を見せてほしいね。

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