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アニメ「攻殻機動隊SAC_2045」感想・評価:公安9課が苦戦する最強の敵ポスト・ヒューマンとは

サマリー


★★★☆☆(お薦め)

2020年ネットフリックス公開のSFアニメ攻殻機動隊3DCG
原作 士郎正宗
監督 神山健治(攻殻機動隊S.A.C.Individual ElevenSolid State Society笑い男事件、東のエデン、009RE:CYBORGCYBORG009 CALL OF JUSTICE攻殻機動隊SAC_2045
荒牧伸志(APPLESEED、攻殻機動隊SAC_2045
声の出演 ●草薙素子(田中敦子)
●荒巻大輔(阪脩)
●バトー(大塚明夫)
●トグサ(山寺宏一)
●イシカワ(仲野裕)
●サイトー(大川透)
●パズ(小野塚貴志)
●ボーマ(山口太郎)

『攻殻機動隊 SAC_2045』予告編 – Netflix

 

久しぶりの攻殻でなつかしさを感じた。攻殻ファンにとっては待ち焦がれていたに違いない。今回の作品は同じ神山監督の2016年「CYBORG009 CALL OF JUSTICE」を彷彿とさせる。ここでは最強の敵「ブレスド」のエンペラーとジョーの闘いでクライマックスを迎える。

「ブレスド」のエンペラー

今回、攻殻機動隊が戦うのはポスト・ヒューマンと呼ばれる超能力者たちだ。設定がよく似ているのはご愛敬か?3DCGアニメは少々ぎこちないがそれでも見ごたえはある。

バラバラになっていた攻殻機動隊のメンバーが荒巻大輔を中心に再結成される。新生公安9課の誕生だ。「攻殻機動隊SAC」のテイストを残しながらAPPLESEEDの荒牧伸志の融合がうまくかみ合っている。

ネットフリックスでの公開だから内容がアメリカナイズされているのはしょうがない。しかし、このアニメは海外でもすこぶる評判がいい。世界経済が死滅した混沌とした世界観。その中でAIがより高度に発展し、世界各地で小規模な「サスティナブル・ウォー(持続可能な戦争)」が頻発する。

日本はアメリカの属国か?総理大臣はアメリカ人になっている。こんな中でも日本の警察は一目置かれている。電脳戦が見ものだがカーチェイスやタチコマを使ったアクションもいつもの通りだ。

話のスジを少し紹介すると。2042年世界はGreat4(米帝、中国、ロシア、ヨーロッパ連合)によって牛耳られていた。お互いが損の無いように「サスティナブル・ウォー(持続可能な戦争)」を展開し「産業としての戦争」を行うことによって利益を上げられるようになっていた。

ところが、2年後このたくらみは失敗し2044年に全世界が同時デフォルトする。金融機関は取引を停止、紙幣は紙くずになり、仮想通貨や電子マネーはネットから消えた。世界には暴動やテロ、独立運動や内戦が頻発する。

そして2045年の現在、少佐(草薙素子)を中心とする元公安9課のメンバーは「ゴースト」と名乗り民間傭兵会社から委託を受けレイディスト達(悪事を働く暴力団)の掃討作戦を展開していた。場所はアメリカのパーム・スプリングスだ。

少佐たちはレイディストの鎮圧に失敗し、そこに現れたジョン・スミスと彼の率いるアメリカ軍特殊部隊に拘束される。そしてスミスの依頼を受けざるを得なくなる。その依頼とはマイクロマシンの販売で大もうけした実業家の捕獲だった。しかもこの生きたままの捕獲を成功させるため何度も予行演習をやらされた。

ある夜、作戦が決行された。ところが実業家は少佐たちの攻撃を難なくかわしてしまう。この男は少佐たちが束になってもかなう相手ではなかった。少佐は「奴は人間ではない」、つまり超能力を持った「ポスト・ヒューマン」だったのだ。

生身での捕獲を諦め、奴の頭をサイトーが狙撃・破壊する。ギリギリのところで奴を止めざるを得なかった。日本から荒牧の命を受けたトグサが現れ少佐たちは日本に戻る。そして首相の希望で公安9課を再結成する。

ジョン・スミス曰く、世界中に「既存の社会構造の転倒」を目的としたポストヒューマンが現れた。彼の役割はこのポストヒューマンを捕獲することにある。日本に3体のポストヒューマンが確認された。果たして彼らを捕獲することが出来るのか、そして彼らは何故、この世界に現れたのか・・・。

レビュー

押井守監督の「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」がリリースされたのが1995年。そして彼の最高傑作「イノセンス」が公開されたのが2004年だ。この「イノセンス」は評価が高く第57回カンヌ国際映画祭で上映された。

ところが残念ながらヒットしなかった。何故なら、「難解すぎ」「マニアックすぎ」だからだと思う。また、映像の凄さに特化したあまり物語としては平凡すぎると論評する人もいる。

2002年神山健治によるテレビドラマ攻殻機動隊 「STAND ALONE COMPLEX」がスタートする。この作品は2006年に「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society」として映画化されている。彼の作品は分かりやすく、全米CATVでも大ヒットを遂げた。

そしてその下地をもとに今回、2020年ネットフリックスで「攻殻機動隊SAC_2045」シーズン1がスタートしている。この作品はAPPLESEEDの荒牧伸志(3DCGの第一人者)と共同監督だ。

「攻殻機動隊」はもう25年以上も経つ。往年のファンは50代、60代になっている。でも、今回の「攻殻機動隊SAC_2045」は若いファンも十分楽しめる。

第一シーズンでは色々なタイプの「ポスト・ヒューマン」が現れる。この先何が待っているのか、僕らの予想もつかない世界に連れて行ってほしい・・・楽しみだね。

なお、2015年6月には「攻殻機動隊 新劇場版」が公開されている。監督は黄瀬和哉(キセ カズチカ)、原作はおなじみの士郎正宗コミック「攻殻機動隊」、脚本は冲方 丁(ウブカタ トウ)、音楽はコーネリアスだ。これはこれで面白い。

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