アニメ

アニメ映画「神々の山嶺」感想・評価:神に選ばれたものしか登ることを許されない山々

サマリー

 


★★★★☆(見るべき名作)

2022年7月8日 日本公開 フランス製作山岳アニメドラマ
監督・脚本 パトリック・アンベール
原作 夢枕獏
作画 谷口ジロー(2017年2月11日没69才、今回のアニメ映画は彼のタッチを採用している)
声の出演
●深町誠(堀内賢雄)
●羽生丈二(大塚明夫)
●岸文太郎(逢坂良太)
●岸涼子(今井麻美)

映画『神々の山嶺』予告編

 

フランスで製作されたアニメの日本上陸だ。フランスでは大ヒットしている。この原作は日本の作家 夢枕獏と作画 谷口ジローの漫画(1994年~1997年まで連載)をもとにしている。谷口ジローは2017年に69才で亡くなっている。夢枕獏は彼に見せたかったと思いを打ち明ける。

2016年3月に「エヴェレスト 神々の山嶺」として実写化されている。主演の深町に岡田准一、羽生に阿部寛がキャスティングされている。

エベレストに初登頂したかどうか謎になっているジョージ・マロニー。彼は1924年6月にエベレスト遠征隊に参加し、頂上付近で行方不明になっている。75年後に遺体で発見された(当時37才)。亡くなったのはエベレストに登った後なのか前なのか?

このアニメではジョージ・マロニーが持っていたであろうカメラが発見されたことになっている。実際には見つかっていない。このカメラがもし残っておれば登頂の有無が確認できる。

エベレストの頂上付近はデスゾーンと呼ばれ、一年の平均気温-30℃、風速30m/s、体感温度は風速1mに対し、1℃下がる。だから体感温度はー60℃だ。気圧は地上の3分の1以下、体に酸素を取り込む量も半分以下になる。普通の人間であれば2~3分程度で意識を失う。

エベレストの頂上付近は神の領域だ、神に許された者のみが登ることが出来る。山のいたるところに「クレバス(氷床の裂け目)」がある。落ちたら最後・・・死体も上がってこない。ここを何とか通過しても垂直の氷の壁だ。

どれだけ体力と登山技術があっても雪崩でいちころになる・・・常に死が隣りあわせだ。何故、命を懸けて登るのか。一度山を覚えたら取り憑かれる。そして最後まで登り続ける・・・極限のその先へ。

ストーリーを少し紹介すると。かつては天才的な岸壁登攀の技術と、並外れた体力を持つ羽生丈二(大塚明夫)。今ではピークを過ぎてしまったと巷では噂されている。その彼が前人未到のエベレスト南西壁冬期無酸素単独登頂に挑む。そしてそれをカメラに収めるためクライマー兼カメラマンとして深町誠(堀内賢雄)が同行する。

果たして登頂は成功するのか。そして羽生丈二が見つけたョージ・マロニーのカメラ・・・この中にはいったいどんな写真が残っているのか?

アニメとは思えない臨場感だ。過酷な冬山が自分に迫ってくる。まるで自分がザックを背負って垂直な壁を登っているようだ。上から雪崩が落ちて来る。氷の窪みに隠れ、それをやり過ごす。しかし、高山病で目がかすみ指に力が入らなくなる。

このまま、意識が遠のけば、谷底に転落する。そちらの方が楽とさえ思う・・・。エベレストの頂上付近では多くの死者が眠っている。そこに自分も加わるのか。それとも生還できるのか、知っているのは「神」のみだ。

エベレストの標高は富士山を二つ重ねたより高い、8848m。最初に登頂したのは1953年5月29日、イギリスのエドモンド・ヒラリーとシェルパのテンジン・ノルゲイだ。日本では1970年、松浦輝夫と植村直己が初めて登頂に成功している。

最近では、アマチュア登山家でもお金(一人当たり6万5千ドル)さえ出せば、周りのスタッフの協力によって登頂が可能だ。しかし、エベレストを甘く見てはいけない。1996年に大量遭難事故によって12人の登山家が亡くなっている。この時の状況は「エベレスト3D」という映画になっている。

最近では80才の三浦雄一郎氏が2013年に3回目の登頂に成功している。凄いとしか言いようがない。高齢でも体を鍛えに鍛えての挑戦、頭が下がる。次は90才でも挑戦してほしいネ。

TATSUTATSU

映画「エベレスト3D」感想・評価‐実話モデルのバッドエンドストーリーだ

ミステリー小説「クリスマスの雪女」通り過ぎたのは女性なのかそれとも幻影か

 

ミステリー小説「夏祭りの怪談」夏祭りの時期になると夢枕に立つ友人前のページ

ミステリー小説「自分の運命は決まっている」僕たちは運命というレールの上を歩いているだけなのか次のページ

関連記事

  1. アニメ

    アニメ映画「かぐや姫の物語」感想・解説‐かぐや姫が犯した罪とは

    サマリー2013年11月公開、「竹取物語」を原作とした高畑勲監督ス…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

人気記事

アーカイブ

最近の記事

2024年3月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031
  1. ラブラドール

    長寿ラブラドール成田エクスプレスを見る(NEXよりカステラだね)
  2. ミステリー小説

    ミステリー小説「悪夢は体調急変のサイン」病院に直行せよと夢が知らせてくれる
  3. ベストテン

    たまらなく美味しそうな料理映画ベスト20!ダイエット中の方は自己責任で
  4. ホラー

    映画「ドクター・スリープ」感想・評価:心理ホラーからサスペンスに衣替えした続編は…
  5. サスペンス

    映画「キングスマン:ゴールデン・サークル」感想と評価:頭を撃たれたハリーが復活す…
PAGE TOP