サマリー
★★★☆☆(お薦め)
2019年11月公開のファンタジーアニメ映画
監督 まんきゅう
原作 すみっコぐらしチーム(サンエックス)
脚本 角田貴志
ナレーション ●井ノ原快彦
●本上まなみ
この不思議なアニメが大ブレイク。58万人を動員し興業収入7億円のヒットだ。このアニメのどこにこれだけの魅力があるのか・・・。
この映画を見て涙が流れる人は物凄く心がピュアな人だと思う。逆にケガレ切ったおじさんたちは眠りに入ってしまうかもしれない。じゃあ、お前はどうなんだと言われると。実は前半、眠りに入ってしまった。しかし、後半はほのぼのとした温かさに包まれ、癒されたようだ。
日本人は僕も含めて「隅っこ」が大好きだ、心が落ち着く。みんなに嫌われているゴキブリなんかは暗くて狭い隙間が好きなようだ。そう考えると、かつては僕らサラリーマンをゴキブリ亭主と呼んでいた。
高度成長期、残業続きで亭主は夜遅く帰り、ゴキブリのように冷蔵庫の中の物をあさっていたからだ。僕は長いサラリーマン生活(実に45年)で知らないうちにサラリーマン症候群を患ってしまった。とにかく忙しく働いていなければ落ち着かない。
こんな僕らのサラリーマン症候群を癒すのは、ピュアなアニメを繰り返し見続けることかもしれないね。ここに出てくるキャラは全く自己主張しない。できれば一日中カフェの「すみっコ」で仲間同士肩を寄せ合って過ごしたいと思っている。
ストーリーを少し紹介すると。ある日すみっコたちはお気に入りの「喫茶すみっコ」に出かける。やはり席はカフェのすみっコだ。まめマスターがコーヒーを入れてくれる。
「喫茶すみっコ」のアルバイト、おばけは地下室でお掃除をしている。そんな時に「とびだす絵本」を発見する。ところがおばけはその本に吸い込まれてしまう。そしてすみっコたちも全員、絵本に吸い込まれる。
絵本の中にはひとりぼっちの「ひよこ」がいた。そしてみんなは「ひよこ」のうちを探そうとするのだが・・・。
その後のストーリーとネタバレ
絵本の中で「すみっコ」たちは変身する。
さむがりでひとみしりの「しろくま」 ⇒ 「マッチ売りの少女」
じぶんさがしを続けている「ペンギン」 ⇒ 「アラビアンナイト」
あぶらっぽいから誰も食べてくれない「トンカツ」 ⇒ 「赤ずきん」
気が弱いはずかしがりやの「ねこ」 ⇒ 「桃太郎」
きょうりゅうの生き残りを隠している「とかげ」 ⇒ 「人魚姫」
なんかだ。絵本の中のそれぞれの物語の主人公になってしまうのだ。
物語の主役になった「すみっコ」たちは「ひよこ」のおうちを探そうとするがなかなかみつからない。船にのったり、じゅうたんにのったり、町や海、森をさまよったりと・・・。
そして「すみっコ」たちは現実の世界にもどろうとするが「ひよこ」だけは現実世界にこれないようだ。なぜ、「ひよこ」は飛び出す絵本から出られないのか。
絵本をよく見ると本の端っこに「ひよこ」のらくがきがあった。「ひよこ」の正体はこれだったのだ。ひとりぼっちの「ひよこ」をなぐさめるためにらくがきの追加だ。これで「ひよこ」もひとりぼっちじゃないね。
レビュー
7年も前からある、キャラクターなんだね。「日本キャラクター大賞2019」でグランプリを獲得している。これが映画化されるということでファンたちはおおよろこびだ。
確かに、日本人は「隅っこ」が好きだ。電車にのれば、すみっこから席が埋まってゆく。カフェもすみっこの席が特等席だ。体育館でもすみっこにかたまる。教室だってやはり外が見えるすみっこがねらいめだ。
そんな僕は映画館ですみっこに隠れるように陣取っている。部屋に入っても部屋全体が見渡せる、すみっこは心が落ち着く。日本人のシャイな性格がよく表れている。
よく、「目立つように生きろ」と主張する人がいる。確かに海外では自己主張の強い人が多い。それはそれでいいんだけど僕らは疲れちゃうね。やっぱり「隅っこ」は癒される・・・死ぬまでこの習性は変わらない。
ところで僕は「にせつむり」と言うキャラが気に入っている。実は中身はナメクジだ。カラを背負って憧れのカタツムリにばけている。僕らサラリーマンにとてもよく似ていると思う。会社の看板や肩書をかぶって偉そうにしているけど中身はナメクジかもしれないね。
TATSUTATSU
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