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アニメ映画「ゴッホ 最後の手紙」感想・評価:自殺の真相を探る史上初ゴッホタッチのアニメだ

サマリー


2017年11月日本公開のポーランド・イギリス・アメリカ合作のヒューマンドラマ アニメ
監督 ドロタ・コビエラ
ヒュー・ウェルチマン
出演 ●ロベルト・グラチーク
●ダグラス・ブース
●ジエローム・フリン
●シアーシャ・ローナン

映画『ゴッホ ~最期の手紙~』日本版予告編

 

フィンセント・ファン・ゴッホは天才画家だ。しかし、彼を悲劇的な人物として強調し過ぎているとの意見もある。彼については死後「炎の人」「狂気の人」「好色家」「怠け者」とかの異常者論が定着してしまっている。これらは真実なのか、絵を高く売る為の作り話なのではないのか?

ひょっとしたら彼は狂気の画家ではなく、世間一般の常識的な人間なのかも知れない。そうでなければ10年の画家生活で油絵860点、水彩画150点、素描1030点、版画10点とその他を含めると2,100点以上の作品を残せるはずがない。

彼の作品は生前には1枚しか売れていないと言われている。しかし彼の印象画家としての名声は徐々に高くなっており、その技法を模写するものまで現われている。ただ単に37才の若さで亡くなってしまったから絵が売れる前に死んでしまっただけなのかもしれない。

このアニメはまず物語を実写で撮影し、それをもとにゴッホタッチの油絵のように作り変えている。つまり手書きのゴッホ調の油絵が動いているのだ。このアニメに世界中から動員された画家は125名にも上り、6,2450枚もの油絵が描かれている。

このアニメをゴッホが見たらさぞかし腰を抜かしただろう。ゴッホファンでなくても彼の作品の素晴らしさが充分伝わってくる。お薦め映画だ。ゴッホタッチのアニメを楽しめるだけではなく、彼の死の真相をサスペンスドラマのように探って行く。ゴッホに対する壮大なオマージュだ。

ゴッホはピストルで自殺したと言われているが果たしてそれは真実なのかこのアニメを見て考えてみるのも面白い。話のスジを少し紹介すると。

オランダの画家ゴッホは7月27日野外で自分を撃ち2日後に宿で亡くなっている。37才の若さだった。物語はゴッホが亡くなった翌年1891年のアルルから始まる。

フィンセント(ロベルト・グラチーク)が弟テオに出し忘れた手紙を郵便配達人ルーラン(クリス・オダウド)が息子のアルマン(ダグラス・ブース)に届けろと指示する。テオが何処にいるのか分からない、投函しても戻ってくるらしい。

フィンセントはゴーギャン(ピョートル・パムワ)を呼び寄せ「黄色の家」に一緒に住んでいたが、二人の仲は険悪になり、ゴーギャンは家を出て行ってしまう。そして有名な「耳切事件」が起こる。

「耳切事件」後、村の人々は子供も含めてフィンセントに冷淡になる。精神的に落ち込んだ彼はサン=レミの療養院に入る。そして快方に向かい退院する。ところがその6週間後に自殺する・・・そんなことはありえないとルーランは回想する。

アルマンは画商のタンギー爺さんに会う。フィンセントが亡くなった後テオの精神的落ち込みは激しく半年後に彼も亡くなる。フィンセントはテオの援助のもと28才から初めて絵筆をとる・・・。そして成功を掴みかけたのに「自殺」とは考えられない。

テオ宛ての手紙はフィンセントの主治医であったガシェ医師(ジェローム・フリン)に預けたらどうかとタンギー爺さんは言う。アルマンはガシェ医師はあいにく留守だったがフィンセントの自殺の模様は宿の娘から聞く。

フィンセントはお腹を押さえて宿に戻ってくる。慌ててガシェ医師を呼ぶ。お腹の弾を取り出してほしいとフィンセントは医師に頼むがガシェは何もしなかったそうだ。何故なのか・・・。そしてテオが兄の死を看取る。

果たして、フィンセントは自殺なのか、動機は、何故ガシェ医師は見殺しにしたのか?

その後のストーリーとネタバレ

アルマンはガシェ医師に会ってフィンセントの死の真相を聞こうとした。ところが警察はマゼリ医師にも診断書を要請したことを聞いたアルマンは彼を訪ねる。

マゼリ医師の診断によると自殺者は頭を撃つものだ、腹を撃つとは考えられない。しかも銃創が上向きだと言う。しかも離れた場所からかがんだ誰かに撃たれない限りあんなキズは出来ないとも言う。

アルマンはいろいろな調査の結果からフィンセントはルネ・スクレタンと言う若者に撃たれたのではないかと考えた方が自然だと考えた。

アルマンはガシェ医師に会うことが出来た。彼の話ではフィンセントは自分で撃ったとはっきりと言ったそうだ。アルマンは誰かをかばっているのではないかと聞き返した。

ガシェ医師はフィンセントはテオを救うために自殺したと言う。長い間テオは兄を援助してきた。兄に使った金があれば家を買えただろう。

ガシェ医師はフィンセントと口論したときに彼に真実を話してしまった。「テオは梅毒の第3期」だと。そして兄を支える苦労がテオを苦しめるとも・・・。ガシェ医師はアルマンから手紙を受け取った。そしてその手紙をテオの妻に送るとのことだ。

ガシェ医師はアルマンにフィンセントの手紙のコピーをお別れにくれた。その中身は感動する内容だった。そこには「僕は最低の男だがいつの日にか作品によって僕の存在を示そう」と書かれてあった。

そして最後のテオ宛ての手紙の中味はテオの妻ヨーが教えてくれた。「画家の人生において、死は最も難しいものではない」「我々は大空の光に決して手が届かない」「もしかして死は星へ行く手段か?」

レビュー

冒頭にも書いたがフィンセント・ファン・ゴッホは天才だ。絵筆をとって3年ぐらいで素晴らしい油絵を2時間くらいで書き上げてしまう。もし彼があと3年長生きをしたら生きている間に名声が得られたかもしれない。

彼の独特のタッチと色使いは天性のものかも知れない。自殺の真相は誰にも分からないが僕は他殺説を支持したい。そして傷口を見たガシェ医師は弾が内臓を修復不可能なほどにダメージを与えているのを感じ取ったのかもしれない。

従って、弾を取り出す手術をしなかった。フィンセントは弟テオに迷惑をかけていることにかなり悩んでいたと思う。しかしテオが梅毒を患っていたとは知らなかった。この時代この病気はヨーロッパでかなり流行していたようだ。

フィンセントは弟テオに自分が娼館に通う金まで無心していたように思う。この時代多くの芸術家の娼館通いは自分の芸術性を高めるために必要だったのかもしれない。

しかし、いつまでも働かないフィンセントを弟テオはどう思っていたのか、兄の才能を理解していたとしか理由が見当たらない・・・。

この映画の製作に唯一、日本人として古賀陽子さんが参加している。そして日本語吹き替えはアルマンを山田孝之さん、郵便配達人のジョセフをイッセー尾形さんが担当している。

TATSUTATSU

ニューヨーク5番街メトロポリタン美術館でフェルメール・ゴッホ・ゴーギャンの本物の絵画を見てみよう

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