ヒューマンドラマ

映画「永遠の門 ゴッホの見た未来」感想・評価:ゴッホの視点で見る彼の世界はどのようなものなのか

サマリー


★★★☆☆(お薦め)

2019年11月日本公開のアメリカ・イギリス・フランス合作のゴッホを描いたヒューマンドラマ
監督・脚本 ジュリアン・シュナーベル(潜水服は蝶の夢を見る、永遠の門 ゴッホの見た未来
出演 ●ウィレム・デファー(プラトーン、グランド・ブダペスト・ホテル、ジョン・ウィックアクアマン永遠の門 ゴッホの見た未来
●ルパート・フレンド(プライドと偏見、ホームランド、永遠の門 ゴッホの見た未来
●マッツ・ミケルセン(キング・アーサー、007カジノ・ロワイヤル、ハンニバルドクター・ストレンジローグ・ワン
●マチュー・アマルリック(潜水服は蝶の夢を見る、永遠の門 ゴッホの見た未来
●エマニュエル・セニエ(ナインスゲート、潜水服は蝶の夢を見る、永遠の門 ゴッホの見た未来
●オスカー・アイザック(インサイド・ルーウィン・デイヴィス名もなき男の歌スター・ウォーズ/フォースの覚醒 、X-MEN アポカリプス、アナイアレーション-全滅領域-エクス・マキナ永遠の門 ゴッホの見た未来

【公式】『永遠の門 ゴッホの見た未来』11.8公開/本予告

 

ジュリアン・シュナーベル監督が描く彼のゴッホ論だ。このドラマは芸術性が高い、さらにウィレム・デファーを始め有名俳優も多数出演している。第75回ヴェネツィア国際映画祭でウィレムが男優賞を受賞しているし、第76回ゴールデングローブ賞、アカデミー賞にもノミネートされている。

これだけいい映画なのに公開される映画館があまりにも少なく、興行的には悲惨な状況だ。日本での公開はアメリカ公開の一年後になってしまっている。僕はこの映画が好きだ、お勧めする。でも、見る人によっては地味で退屈かも知れない。あなたはゴッホが残してくれた未来への伝言を受けとめてみてはどうか・・・。

ジュリアン・シュナーベル監督は画家でもある。この映画の特徴は多くの映像がフィンセント・ファン・ゴッホ(ウィレム・デファー)の一人称視点で描かれている点だ。僕らはゴッホの目を通して自然・空気・土・風・匂い・キャンバス・・・を見ることになる。当然彼が周りの人をどう見ていたのか、見られていたのかを感じ取れる。

ゴッホがどのようにスケッチし、油絵を描いたのか。それをまるで自分が描いているように体現できる。これがこの映画、最大の魅力だ。天才とはこんな点に着目し、こんな風に絵を描くものなのか・・・。彼は頭の中にイメージを膨らませ一気に描き上げる。

これが彼の作風で、あの油絵を2時間程度で書き上げてしまう。同志であるゴーギャン(オスカー・アイザック)から「もっとゆっくり描け」とたしなめられる。彼はゴッホの絵の具が盛り上がった作品を見て彫刻のようだと形容している。ゴッホは「黄色」を追求し、ゴーギャンは「赤色」を求め続ける。全く合わない二人だ。

30代のゴッホを63才のウィレム・デファーが演じるのだが全く違和感はないしそっくりだ。彼は精神疾患を患っていたと言われる。そのため何回か精神病院に送られ療養している。村人たちとの確執や耳切事件なども描かれる。

彼は自分の精神を安定させるために絵を描き続ける・・・美しい世界を永遠に残すために。ゴッホを描いた映画は今作で7品目になる。見比べるのも面白い。直近ではアニメ映画「ゴッホ 最後の手紙」が面白い、是非鑑賞することをお勧めする。

「ゴッホ~最後の手紙~」予告編。

映画『ゴッホ ~最期の手紙~』日本版予告編

 

話のスジを少し紹介すると。1886年、ゴッホが33才の時、彼は弟のテオ(ルパート・フレンド)とパリに住み始める。テオは画廊に勤め、兄の面倒を見る。ゴッホは2年間のパリ生活で浮世絵と印象派の絵画から大きな影響を受ける。

ゴッホはこの2年間でがらりと作風を変える。そしてゴーギャン(オスカー・アイザック)のアドバイスによって南仏アルルに居を移す。彼の絵は南仏の明るい陽光の下で開花する。

彼はアルルの「黄色い家」の壁を「ひまわり」の絵などで飾り友人たちを誘った。彼の中ではここを芸術家たちの共同の場としたかったのだ。ゴッホの誘いでゴーギャンがここに来る。

そして二人の共同生活が始まるのだが・・・。

その後のストーリーとネタバレ

二人の共同生活はゴッホの耳切事件で終わりを告げる。二人は「水と油」ほどに画風も芸術に対する考え方も違っていた。そのうちにゴッホは幻覚や妄想がどんどんひどくなる。彼は精神病院に入院させられる。

ゴッホはサン=レミの療養施設で約一年間生活をし140点以上の作品を生み出す。この療養施設での彼は完全に自分を見失っていた。その頃、テオはヨーと結婚し息子が生まれる。兄の名前フィンセントを息子につける。

ゴッホはサン=レミからパリのテオのところに行く。3日ほど滞在しオーヴェール=シュル=オワーズに向かう。ここでガシェ医師のもと再度、療養生活を始める。

1890年7月27日、彼は腹を押さえて宿に戻る。傷は拳銃によるもので重傷であった。テオが駆けつけてくる。ガシェ医師ももう見守るしかなかった。自殺なのか事故なのかゴッホは答えなかった。

29日、午前1時30分にゴッホは息を引き取る、37歳だった。オーヴェールの地に埋葬される。深い悲しみに落ち込んだテオも半年後33歳で後を追う。

レビュー

ゴッホは今では誰にもでも知られる有名な画家だ。しかし、生前の彼の人生はあまりにさみしい。彼は芸術に命を懸け、たかだか10年の間に油絵860点、水彩画150点を始め素描・スケッチなどを合わせると2100点以上の作品を残した。

「赤い葡萄畑」

生前、売れた作品は「赤い葡萄畑」だけだったが、彼の評判は年々高くなってきていた。彼があと数年生きておればある程度の名声を勝ち得ていたかもしれない。あまりに短い人生だ。

現在、彼の絵画は高騰し50億円から80億円以上の値が付くものもある。彼が未来に残したものはいったい何であったのだろう。

彼の絵が現代人に受け入れられるのは、絵の中に彼の燃えるような魂が感じられるからではないだろうか。天才と狂気は紙一重とよく言うが彼の人生も全くそうであった。そして、天才は何を見ていたのか・・・それを一人称視点で見られたこの映画に感謝したい。

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