サマリー
★★★☆☆(お薦め)
2019年10月日本公開のアメリカ制作SFサスペンス
監督 アン・リー(グリーン・デスティニー、ライフ・オブ・パイ、ジェミニマン)
出演 ●ウィル・スミス(バッドボーイズシリーズ、インデペンデンス・デイ、メン・イン・ブラック、アイ,ロボット、アイ・アム・レジェンド、スーサイド・スクワット)
●メアリー・エリザベス・ウィンステッド(遊星からの物体Xファーストコンタクト、ダイハード4.0、10クローバーフィールド・レーン)
●クライヴ・オーエン(キング・アーサー、クローサー、トゥモロー・ワールド、ラスト・ナイツ、ヴァレリアン千の惑星の救世主、ANONアノン)
●ベネディクト・ウォン(オデッセイ、ドクター・ストレンジ、アナイアレイション-全滅領域-、アベンジャーズ/エンドゲーム)
ハリウッド・トップレベルの「ドル箱俳優」ウィル・スミスを主役に据えても残念ながら全米でも中国でもコケてしまった(80億円の赤字)。監督、俳優、アクション共に一級品だが「クローン」と言う題材が飽きられたのか。
ジェミニとは「ふたご座」のことで、51才と23才の二人(双子)のウィル・スミスの戦いだ。当然23才の彼はクローンと言う設定だ。
ウィル・スミス扮するヘンリーは2Km先の動く標的を撃ち抜く伝説のスナイパーだ。彼は引退時、知ってはならない秘密を知ってしまう。そして彼に送られた刺客こそがクローンの「ジュニア」だ。
このストーリーでは先が読めてしまって、わざわざ映画館に行く必要がないと踏まれたか。映画とは先の読めない意外性が勝負だ。最近の目の肥えている観客は凡庸なストーリーに金は払わない。
僕としては楽しく見させてもらった。51才と23才のウィル・スミスを一人で演技する。最先端のCG画像は驚くほどリアルで本当に彼の息子が出ているのではないかと錯覚させられる。中途半端なSFサスペンスにややうんざりしたがもうひとひねり欲しかったね。
話のスジを少し紹介すると。ヘンリー(ウィル・スミス)は過去70人以上を殺害してきたDIA(アメリカ国防情報局)の雇われスナイパーだ。彼の狙撃能力は天性のもので誰もまねできない。
最後の殺しも成功したものの、若干目標から弾がそれかろうじて首に当たった。51才になるヘンリーは引退の潮時と考える。ところが最後に殺害した男はテロリストではなく分子生物学者だということが分かった。
その事実を知ったためにヘンリーは狙われることになる。そして彼の監視役ダニー(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)も巻き添えを食う。
二人は昔の友人バロン(ベネディクト・ウォン)を頼って、コロンビアに向かうがここでも特殊部隊に狙われる。ところがそこに一人、凄腕の殺し屋がいた。しかも彼はヘンリーの心が読めるように攻撃を仕掛けてくる。そいつの顔を見た時ヘンリーは一瞬、息が止まるほど驚いた。
そいつは若い時の自分そっくりなのだ。果たしてそいつは誰なのか、そして分子生物学者は何を研究していたのか・・・。
その後のストーリーとネタバレ
ヘンリーは自分そっくりの男が残した毛髪のDNA鑑定で奴がクローンであることを突き止めた。つまり特殊部隊「ジェミニ」の指揮官クレイ・ヴァリス(クライヴ・オーウェン)がヘンリーを殺害するために放ったのは彼のクローン「ジュニア」だったのだ。
ヘンリーは極秘に情報屋ユーリと接触し次のような真実を知る。ヴァリスが指揮を執る「ジェミニ計画」とは戦闘を目的としたクローン人間を作ることだった。ヘンリーが殺害した分子生物学者はこの計画に反対した男だったのだ。
ヘンリーはダニーを使って「ジュニア」をおびき出す。つまりヘンリーが気に入った彼女は「ジュニア」もそうだと考えたのだ。彼は予想通り現れた「ジュニア」と戦いながら説得を繰り返す。「ジュニア」もようやく本当のことが飲み込めたようだ。
自分はヘンリーのクローンであり、育ての親はヴァリスだ。しかし、ヴァリスは自分を殺し屋としての道具としか見ていない。
ヘンリーたちは車に乗って行動を開始する矢先、「ジェミニ」の攻撃部隊に突然襲われる。なんと、車に向かってミサイル攻撃だ。バロンは車から逃げられずに爆死する。
3人は協力して殺人部隊を倒す。ところが人間離れした素早い動きと痛みを伴わない体を持つ刺客が現れた。こいつには3人でも苦戦するがやっとの思いで倒す。顔を確認するとやはりヘンリーのクローンだった。
しかし、このクローンは「ジュニア」と異なり、感傷的な心も身体的痛みも感じない究極の殺人クローンだったのだ。ヘンリーは殺人軍団を指揮していたヴァリスを捕まえる。
「ジュニア」はヴァリスを憎しみのあまり撃ち殺そうとするがヘンリーが止める。育ての親を殺してはいけない、これは俺の役目だと銃を取り上げヴァリスを射殺する。
ヘンリーはDIAの上層部に連絡、事の一部始終を説明し「ジェミニ」計画を解体させる。「ジュニア」にはアメリカの市民権が与えられ、新たな人生を歩むことになる。そして彼にはヘンリーとダニーが付き添う。
レビュー
最後に出てくる感情も痛みも感じない究極のクローン戦士には驚く。ひょっとしたらこんな研究がこっそり行われているかもしれないね。
映画技術の進歩には驚く、ウィル・スミスが一人で51才と23才の自分を演じるのだが全く違和感がない。高度なCGによるデジタル処理がここまできているとは・・・。
51才と23才のウィル・スミスが戦うシーには違和感なく成功したが、残念ながらストーリーには新鮮味がなかった。映像も大事だが意表を突くストーリー展開の重要さは変わらない。
この映画は残念なことにコケてしまったがロケ地の美しさには目を奪われる。ブダペストにあるヴァイダフニャディ城は素晴らしかった。また、コロンビアのカタルヘナでのオートバイチェイスのシーンは息をのむ。
世界を旅している雰囲気が感じられるのはこの映画の魅力の一つかな。
TATSUTATSU
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