SF

映画「ANONアノン」感想・評価:ネットに繋がれた電脳社会の盲点をついた連続殺人事件

サマリー


★★★☆☆(お薦め)

2019年日本公開のドイツ・イギリス合作近未来サイバーパンク・ドラマ
監督・脚本 アンドリュー・ニコル(ガタカANONアノン
出演 ●クライヴ・オーウェン(キング・アーサー、クローサー、トゥモロー・ワールドラスト・ナイツヴァレリアン千の惑星の救世主ANONアノン
●アマンダ・サイフリッド(マンマ・ミーア!、ANONアノン

ANON アノン

 

大きく好き嫌いの別れるサスペンス・ドラマだ。無機質で単調、ハッカー用語が多く、難解で意味不明のストーリー展開・・・しかし「攻殻機動隊」などサイバーパンク愛好家には受けると思う。僕もこのたぐいの作品は好きな方だ。

僕たちのプライバシーは今、もう無くなった時代だ。街の至る所に監視カメラがあり、個人情報は全てサーバーに記録されている。アメリカからロシアに亡命した「スノ-デン」が暴露した「国民監視システム」が水面下で起動している。

僕たちが使うクレジットカード、スイカ、SNS、ライン、メール・・・データは全てサーバーに保存されており、これはグーグル検索のように、あるキーコードを入力するだけで簡単に閲覧できてしまう。

つい最近「アポ電強盗」が捕まっているがこれなんか監視カメラや車載カメラを総動員した結果だ。警察もその気になればどんな強盗でも捕まえることが出来るかもしれない。しかし、もしこれが悪用されてしまったら一般人の僕らは防ぐ事が出来ない。

個人のプライバシーが完全に管理された近未来、犯罪など起こるはずがない。個人の記憶は記録(データ)としてデーターベースに保管される。これを閲覧する権利を警察機構は持っている。もし悪事を働けば、全て記録として残り、即座に逮捕されてしまう。アノンとは「匿名」を意味する。

ところが連続殺人事件が起こってしまう。そしてこの事件の裏には「記録(データ)のない女」の存在が浮かび上がってくる。果たして、この世界で記録の無い人間など存在するのか・・・。

監督はイーサン・ホーク主演でヒットした名作「ガタカ」のアンドリュー・ニコル。そして主演はクライヴ・オーウェンとアマンダ・サイフリッド・・・申し分のない組み合わせだ。一体誰が犯人なのかじっくり見てほしい。

話しのスジを少し紹介すると。一級刑事のサル・フリーランド(クライヴ・オーウェン)は街で「検知エラーの女」(アマンダ・サイフリッド)とすれ違う。彼女には記録が無い。

サルは殺人事件の現場にいる。被害者は眉間を撃たれて死んでいた。過去にも同じような事件があり、連続殺人事件と思われる。被害者の記憶は改ざんされていた。優秀なハッカーの仕業か?さらに女性二人が殺害される。

記憶を消すことの出来るハッカーの仕業だ。女性二人の殺害現場に犯人と思われる誰かがいる。サルは後を追いかけるが視覚をハックされまんまと逃げられる。

サルはチャールズ指導刑事と相談の上「おとり捜査」を行うことになった。彼は株式のブローカーに成りすまし、高給コールガールを買う。そしてこの記憶を消してもらうために、ある闇サイトにアクセスする。

現われた女(アマンダ・サイフリッド)はキャッシュを要求し、彼のコールガールとの情事の記録を消してもらう。この女が怪しい。ジョセフ刑事局長推薦のサイラスが応援に来る。しかし、この女の足取りは途中で消えてしまう。果たして、一連の殺人事件の犯人はこの女なのか、それとも・・・。

その後のストーリーとネタバレ

サルはもう一度謎の女と接触する。今度は麻薬を買ったことを記録から消去してほしいと頼む。サルは女に「何故、匿名でいるのか、何が目的なのか」と聞く。彼女は「匿名でいるのは監視されたくないだけ」と答える。そして二人はただならぬ関係となる。

ところがサルの正体が女にバレテしまう。そして女を監視していた仲間のレスターが殺される。女は逃走し、今度はあなたを殺すかもしれないと、電脳通信が途絶える。

女からと思われる通信がサルに入ってくる。自分の目がハッキングされたようだ。自分に暴漢や狂暴な犬が追っかけて来る映像が入ってくる。そして部屋の中はネズミだらけだ。

さらにサルにとっては一番大切な亡くなった子供の記録が無くなってゆく。誰の仕業なのか、部屋の外に出ると廊下が燃えていた・・・ところがこれは幻影だった。幻覚は次から次へと起こる、サルの視覚は完全に乗っ取られていた。彼は何が現実なのか分からなくなってくる。

全ての情報がネットにつながった世界はすべてがぜい弱だ。サルは隣のトーマス刑事が撃たれ、その容疑者として捕まってしまう。自分は撃ってないと答えるが改ざんされた映像が証拠として残っていた。

サルは停職となり自宅に監禁される。しかし、そこを抜け出して女の部屋に行く。女を尋問すると彼女は「私がやったのではない、誰かが私を犯人に仕立てている」と言う。そして我々の目も誰かにハックされているかもしれないと。

サルのところにチャールズが現われ「何故、逃げた」と刑事職権をはく奪される。サルは自宅に戻ったが女が会いに来る。ところが女を陰で操っていた男も現われる。

サルは銃撃戦となり撃ち殺した男は何とジョセフ刑事局長推薦のサイラスだった。すべての殺しは彼だったのだ。サルのもとに匿名の女が現われる。

彼女は天才的なハッカーだ。彼女は「記憶は消すのではなく、アルゴリズムだ」「自分の記憶を断片化し、他人の記憶に埋め込む」これが記憶の消去方法だと答えて消えてゆく。

レビュー

まさに押井守監督「攻殻機動隊」の世界だ。電脳がハッキングされれば、誰の目を通して見ている世界か分からなくなる。そしてデータが改ざんされれば無実の男でも殺人犯に仕立て上げられる。

結局、サイラスが何の目的で殺人を続けてきたのかよく分からない。ジョセフ刑事局長が「殺人事件よりも、匿名化の方が重大だ」「それによってあらゆる重大犯罪が可能になる」と話していることを考えると彼も怪しい。

上層部の利権に絡み、関係者を彼が処分していたのか・・・或いは殺人を犯しても「匿名化」を無くそうとしたのかすっきりしない。発想の面白いドラマだけど映画としては描ききれていないと思うね。

TATSUTATSU

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