ヒューマンドラマ

映画「悪魔祓い、聖なる儀式」感想・評価:現在も悪魔祓いは続いているしかも憑依された人たちが増え続けている

サマリー


★★☆☆(そこそこ面白い)

2017年日本公開イタリア・フランス合作の悪魔祓いドキュメンタリー映画
監督・脚本 フェデリカ・ディ・ジャコモ
出演 ●カタルド・ミリアッツオ神父

エクソシストは存在した…ドキュメンタリー映画『悪魔祓い、聖なる儀式』予告編

 

「悪魔祓いの儀式」「エクソシスト(悪魔祓い師)」は映画だけの世界かと思っていたが実際、日常茶飯事にこの儀式が行われており、エクソシストも世界中に数多くいる。この映画はその場面を撮影した世界初のドキュメンタリー映像だ。もう儀式は1200年も続いている。

舞台は神秘の島、シチリアだ。朝早くから人々が教会に殺到する。教会の中ではカタルド・ミリアッツオ神父が多くの人々を前に悪魔祓いをする。そのうち、群衆の中からうめき声が聞こえ、憑依されていると思われる人々が現われる。

次々と現われる泣き叫ぶ人々に驚きながらも、ミサに来た人たちは一心不乱に祈る。「悪魔祓い」は教会ばかりでなくどこでも行われている。ミリアッツオ神父が携帯電話で「立ち去れサタン、父と子の聖霊の御名においてお前を追い払う」と叫んでいるのが衝撃的だった。

この映画は「悪魔祓いの儀式」を淡々と撮影しているため、退屈で単調に見えるかもしれない。しかし、まぎれもないこれが現代の悪魔祓いの真実なのだ。

数人の悪魔に憑依された人々が出て来る。教会に来た若い女性は塩を溶かした聖水をかけられ、白目をむいて唸る。そして暴言を吐きながら暴れる。

自分の中に「何か」がいると言う。そして時々、自分を乗っ取る。多重人格なのかその他の精神疾患なのか。彼女は病院で最新の医療機器による検査をしてみたが異常は見当たらないと言う。最終的に頼るのは教会しかないと考えている。両親は、しばしば教会に彼女を連れて来る。一時的に良くなってもぶり返すことが多い、気はぬけない。

「サタンの狙いは」「家族、国、若者、全ての物と人々を破壊することだ」つまり「人類の虐殺だ」と神父は話す。そして「それをさせないことが我々の役割だ」と力説する。

映画の最後に、「需要の増加により悪魔祓い師の数が急増」、「フランスでは各教区に一人、マドリード大司教区は7人増員」、「ミラノとローマは12人に倍増、協会は緊急センターを設立」、「アメリカではこの数年で10倍になった」・・・・とル・モンド紙が公表している。

教皇庁レジーナ・アポストロルム大学には「悪魔祓い師育成講座」が開かれ、多くの神父たちが講座に出席する。この講義の中で「ここで悪魔的世界における共通のシンボル」が紹介される。「ペンタグラムは最も古いシンボルの一つで錬金術に使われる」と写真付きで説明がある。

地方の神父たちの中には「悪魔に憑依された若者たちに襲撃された」とこの講座に救いを求める人もいる。そして、救済や癒しの祈りの需要が急増したと訴える。確実に人々が悪い物事に翻弄されているらしい。

島から来た神父は憑依した人に何もできないと自分の能力の限界を述べる。この「悪魔に憑依された人々」が確実に増えている。ミリアッツオ神父はこれに人生を捧げている。しかし、彼も終わりのない戦いに消耗してゆく様子も描かれている。

救済を求める人たちは増え続け、世の中で一体何が起こっているのか身の毛のよだつ思いだ。世界は確実に悪い方に向かっているのか?

TATSUTATSU

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