サマリー
2017年6月日本公開のアメリカ製作ヒューマンドラマ
監督 ピーター・バーグ(バトルシップ、ローン・サバイバー、バーニング・オーシャン、パトリオット・デイ)
出演 ●マーク・ウォールバーグ(ディパーテッド、パーフェクトストーム、ザ・ファイター、テッドシリーズ、ローン・サバイバー、トランスフォーマーシリーズ、バーニング・オーシャン、パトリオット・デイ)
●ケヴィン・ベーコン(アポロ13、インビジブル、イン・ザ・カット、パトリオット・デイ)
●J・K・シモンズ(スパイダーマンシリーズ、クローザー、セッション、ターミネーター新起動/ジェニシス、ザ・コンサルタント、パトリオット・デイ、ラ・ラ・ランド)
●ミシェル・モナハン(パトリオット・デイ、ミッション:8ミニッツ)
●ジョン・グッドマン(アルゴ、ミケランジェロ・プロジェクト、キングコング:髑髏島の巨神、10クローバーフィールド・レーン、パトリオット・デイ)
「パトリオット・デイ(愛国者の日)」とはアメリカのマサチューセッツ州、メイン州、ウィスコンシン州に制定されている祝日のことなんだ。
この日には毎年ボストンマラソンが開催される。この映画は2013年4月15日に起こったボストンマラソン爆弾テロ事件が描かれている。日本でもニュースが放映されたからよく知られている。
ドキュメンタリータッチなんだけどマーク・ウォールバーグを主役としたサスペンス・アクション映画としても成功しているように思う。お薦め作品だ。
テロの瞬間、悲劇の生々しさ、テロリストとの銃撃戦など迫力があって、さすがピーター・バーグと言える。
物語は50万人の観客と3万人のランナーを襲ったテロがたったの102時間で犯人逮捕に至った経緯を克明に映像化している。
これだけ短期間にテロ事件が収束されたのにはボストン警察、FBI(連邦捜査局)、CIA(米国中央情報局)、州軍隊、市民の協力があったからだと言われている。
当時、爆発はゴール付近の二カ所で発生し、監視カメラや提供されたスマホ、ハンディビデオカメラの膨大な画像データーから犯人を特定し、3日後に公開捜査に踏み切った。
マーク・ウォールバーグ扮するトミー・サンダース ボストン警察巡査部長は実在の三人の警察官を合わせた人物に設定されている。
彼は3名の死亡と282名の負傷者を出したテロリストを必ず捕まえると心に誓い、危険を顧みず現場捜査に没頭してゆく。
片やケヴィン・ベーコン扮するリック・デローリエFBI特別捜査官はこれはテロだと断定し、FBI主導で事件に臨むが、捜査の過程でテロリストの公開捜査が妥当なのか悩む。
公開捜査をすることはこちらの手の内を犯人に知らせることになる。それにもし犯人が違っていたら、大変なことにもなる。
しかしテロリストを放っておけば、次のテロを防ぐ事が出来ない、また、漏れた情報がマスコミ経由で放映されてしまう・・・彼は苦渋の選択をする。
ストーリー
2013年4月15日(月)愛国者の日(パトリオット・デイ)
マサチューセッツ州ボストンにて第117回ボストンマラソンが開催される。ボストン警察 殺人課のトミー・サンダース巡査部長(マーク・ウォールバーグ)は昨晩痛めた足を引きずりながら群衆の警備にあたる。
やがてマラソン大会が最も盛り上がりをみせる午後2時50分ごろ、ゴール付近二カ所で爆発が起きる。群衆がパニック状態で逃げ惑う中、トミーは無線で的確な指示を出しながら懸命の救助にあたる。
暫くしてFBIの一団が州知事とともに現れ、現場の状況からテロと判断し、FBIが指揮を執ることになった。リック・デローリエFBI特別捜査官(ケヴィン・ベーコン)は港の大きな倉庫に本部を設置し、現場の膨大な証拠品を運び込ませる。
運び込まれた証拠品は倉庫の中に正確に並べられ、現場を再現する。トミーは物証も重要だが目撃証言の方がもっと重要だと提案し、被害者達から聞き込みを行うため病院へと急ぐ。
2013年4月16日(火)
一晩中聞き込みを続けたトミーは一旦自宅に戻り、妻のキャロル(ミシェル・モナハン)に無事を伝え彼女を抱きしめると急いで本部へと戻る。
本部で映像を分析していた捜査員が爆発5分前に不審な行動している白い帽子の男を発見する。本部に現れたトミーは白い帽子の男の行動を一分刻みで遡らせるとサングラスをかけた黒い帽子の男にゆき当たる。
この二人の男がほぼ犯人だと断定した。ボストン警察のエド・デイヴィス警視総監(ジョン・グッドマン)はトミーとこの映像を公開すべきと提案する。
しかしリック特別捜査官はもし彼らが無実のイスラム教徒であったら、リンチを受け大変なことになるとオーケーを出さない。
ネタバレとレビュー
2013年4月18日(木)
オバマ大統領がボストンで追悼の演説を行う。その後テレビ局が容疑者2人の写真を今日にでも公表するとの情報が入ってきた。
リック特別捜査官は仕方なく公開捜査を決断する。容疑者2人の写真が警察当局から発表される。これによって自宅で潜んでいた容疑者達はあせって行動を起こす。
「黒い帽子の男」タメルラン・ツァルナエフとその弟「白い帽子の男」ジョハルはマサチューセッツ工科大学校内で警備に当たっていたコリアー巡査から拳銃を奪おうと発砲しするが失敗に終わる。
コリアー巡査は銃を奪われまいと抵抗し、その結果射殺されていた。彼らは次にダン青年が運転するSUVのベンツを運転者ごと強奪する。ところがダンは彼らのスキを見て逃亡に成功する。
ダンから警察に通報があり、車に残された彼のスマホのGPSによって容疑者たちの追跡が始まる。トミーはダンから容疑者がニューヨークで爆破テロを計画していることを知って驚愕する。
隣町のウォータータウンで容疑者たちの車が発見される。兄の乗ったベンツの後ろを弟がシビックに乗り込んで伴走する。二台の車はパトカーに挟まれ停止されるが、そのあと激しい銃撃戦になる。
容疑者たちは銃と手製の爆弾で応戦し、激しい抵抗で彼らをなかなか確保することが出来ない、警察官も手製爆弾で負傷する。ベテランのジェフ・ピュジリーズ巡査部長(J・K・シモンズ)が兄のタメルランを確保する。
ところが弟ジョハルは車でジェフとタメルランに突進し、兄を車で轢き逃走する。タメルランは病院に運ばれるが死亡が確認される。
2013年4月19日(金)
州知事はウォータータウンの町20ブロックの完全封鎖を決断し、ジョハルの確保に警察官・州の軍隊を投入する。暫くして住民から自宅に置いてあるボートの中に誰かが潜んでいると通報があった。
警察は装甲車に乗ったSWAT(警察の特殊部隊)を要請し、彼らによってボートが包囲された。空からは二機のブラックホーク・ヘリによる監視が行われ、まれにみる大規模な包囲網が作られた。
ボート覆うタープが動いたことによって警官たちの発砲があったが、ジョハルを生きたまま確保した。これにてボストンマラソン爆破テロ事件は終結した。
ツァルナエフ兄弟は2002年にチェチェンからアメリカに難民として来ている。捜査の結果イスラーム過激派やアルカイーダとの繋がりはなかったとのことであるが、これら過激派の影響を受けているものと思われた。
ジョハルは4人の殺害と30の罪状で起訴され、死刑判決が言い渡されている。しかし、死んだ被害者には子供もいたし、脚を失った人も多くいる、これらの人々は一瞬で人生を奪われている・・・憤り感じる。卑劣極まりないテロ行為は絶対許されない。
テロの状況をテレビで見ていた彼らは、爆弾が足元ではなく腰の位置で爆発していたらもっと殺傷力が大きかったと、信じられない言葉をはく・・・もう人間とは思われない。
タメルランは結婚していて妻と幼い娘がいる。僕が印象に残っているのはタメルランの妻を同じ言葉が喋れる女性が尋問するシーンなんだ。
妻は沈黙し夫を擁護する、そして「弁護士を呼べ」と要求する。尋問官は「あなたには弁護士を呼ぶ資格はない」と突っぱねる。そして「あなたの娘は親がモンスターであることを何時かは知る」と言って取調室を出てゆく。
この映画を見ているとアメリカのテロへの対決姿勢が半端ではないことが伝わってくる。日本はまだまだ平和な国だけどこんな恐ろしいテロが起きないことを祈るばかりだ。
TATSUTATSU
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