SF

映画「キング・アーサー」感想・評価‐新感覚ドラマと迫力ある映像・音楽に酔いしれる


サマリー

2017年6月日本公開のアメリカ・イギリス・オーストラリア合作歴史SF映画
監督・脚本 ガイ・リッチー(シャーロック・ホームズシリーズ、コードネームU.N.C.L.E、キング・アーサー
出演 ●チャーリー・ハナム(トゥモロー・ワールドパシフィック・リムキング・アーサークリムゾン・ピーク
●ジュード・ロウ(A.I.、コールド・マウンテン、ガタカキング・アーサーグランド・ブダペスト・ホテル
●アストリッド・ベルジュ=フリスベ(キング・アーサー
●ジャイモン・フンスー(グラディエーター、コンスタンティンアイランドキング・アーサー
●エイダン・ギレン(ゲーム・オブ・スローンズ、キング・アーサーメイズ・ランナー2
●エリック・バナ(ブラックホーク・ダウンNY心霊捜査官、ハルク、ミュンヘン、キング・アーサーローン・サバイバー

映画『キング・アーサー』本予告 【HD】2017年6月17日(土)公開

アーサー王の物語は有名だ。「台座に刺さっている剣を引き抜いた者は王となるであろう」との言い伝え通り、剣を引き抜き王となる・・・実在の人物かどうかは諸説ある。

また湖から聖剣「エクスカリバー」を見つける。王になった彼は巨人と闘ったり、ローマ遠征をしたりと理想的な君主として国を治め、領土を拡大してゆく。円卓の騎士団とか聖杯伝説など、現代でも映画や芝居などで語り継がれている。

2004年にクライヴ・オーウェン、キーラ・ナイトレイで映画化された「キング・アーサー」も素晴らしい。当時映画館に足を運んで見た。正統派の歴史戦争映画としては抜群で是非お薦めする。

https://youtu.be/fqZh1tg_bF4

二つの映画を見比べたら面白いよ、同じテーマなのに、こんなに違うとは、映画はやっぱり監督しだいだ。

今回、ガイ・リッチー監督によって独特の解釈がなされスペクタクル映画としてよみがえっている。「シャーロック・ホームズシリーズ」のように細かいカット割りとスローモーション、CGを多用し、打楽器を中心とする迫力ある音楽によって見ごたえある映画になっている。

ソードアクションだけでなく、魔法使いによる大鷹・大蛇・巨大ゾウなどダーク・ファンタジー的な要素も詰まっている。正当な歴史戦争映画ではないけど、新感覚ドラマとしてアリかなと感じる。

是非、映画館で迫力のある映像を堪能してはどうか。巷ではこの映画の前評判はあまりぱっとしないが、そんな悪い映画ではないと思う・・・自分の目で確かめてみては?。

メイジ(アストリッド・ベルジュ=フリスベ)と呼ばれる魔術師がアーサー(チャーリー・ハナム)を守り、アーサーは聖剣「エクスカリバー」と対峙し苦しみながら使いこなしてゆく。

父ユーサー(エリック・バナ)は弟ヴォーティガン(ジュード・ロウ)によって殺される。何とか娼館に逃げ延びたアーサーは隠れるようにスラムで育つ。

逞しい青年となった彼は残忍な叔父ヴォーティガンが君臨する未来の暗黒世界を見てしまう。そして父の仇でもあるヴォーティガンを倒すために最後の決戦に立ち向かう。

ストーリー

大魔術師モルドレッドが超巨大なゾウの群れをしたがえ、キャメロット城に襲いかかる。城主ユーサー(エリック・バナ)は聖剣「エクスカリバー」を手に、ゾウの背中にそびえるピラミッド型の指令室に取り付く。

そして指令室の中にいるモルドレッドの首をはねる。その時、大魔術師に率いられた軍団は総崩れとなり、城の窮地は救われる。

ところが暫くして弟のヴォーティガン(ジュード・ロウ)が反乱を起こす。ユーサーは妻イグレイン(ポッピー・デルヴィーニュ)と幼い息子アーサーを地下の湖から小舟で脱出させようとする。

しかし、運悪く妻イグレインは殺され、洞窟に住む魔物セイレーンの生贄になってしまう。セイレーンから力をもらったヴォーティガンは魔人に変身し、圧倒的な力でユーサーを倒す。

ユーサーは倒れる直前に聖剣「エクスカリバー」を頭上に投げ、落下してくる聖剣に体を貫かれる。その瞬間彼の体は岩に代わり「エクスカリバー」が刺さったまま、湖底深く落下してゆく。

幼いアーサーの乗った小舟は地下湖から川に流される。そして川下にいた娼婦たちに助けられスラム街で育つ。さらに彼は東国から来た武術の達人ジョージ(トム・ウー)に鍛えられ逞しい青年となる。

ある日、湖の水位が突如下がり、岩に突き刺さった聖剣「エクスカリバー」が現われる。聖剣を引き抜こうと誰もが試すが抜くことは出来ない。ヴォーティガンは城下の民すべてに聖剣を引き抜くよう試させる。

そこに現れたアーサーは群衆を押しのけ聖剣の前に進み出る。聖剣に触れたところ体中に電気が走る、彼はびっくりしたが両手で聖剣を握ると全身に力を籠め引き抜いてしまう。

彼は聖剣を握った時に父ユーサーの悲劇の映像を見てうろたえ剣を落とす。ヴォーティガンはその若者をユーサーの息子アーサーと見破り、牢獄に監禁させる。

アーサーはヴォーティガンによって処刑されようとする。群衆の前に引き出されたアーサーは首をはねられてしまうのか・・・・。

ネタバレとレビュー

アーサーが首をはねられようとしたとき、メイジが放った鷹や鳥たちに妨害される。アーサーは近くにある聖剣を掴むと、群衆の中へと逃げ延びる。

彼はヴォーティガンを倒そうと画策する反逆組織「穴ぐら貴族」や幼なじみのストリートギャングと合流する。「穴ぐら貴族」のリーダー ベディヴィア(ジャイモン・フンスー)、弓の達人ビル(エイダン・ギレン)、幼なじみのギャング仲間と協力して謀反を起こそうとするのだが、多くの犠牲を考えると決心がつかない。

アーサーは悩みもがく、そこに湖の精霊が現われ、彼にヴォーティガンが君臨する残虐な未来の暗黒社会を見せる。民衆の嘆き悲しむおぞましい映像を見たアーサーは戦うことを決意する。

城に少人数で乗り込んだアーサーはメイジの魔術によって放たれた大蛇と聖剣「エクスカリバー」の力を得て、兵隊どもを蹴散らす。それを待ち受けたように反乱軍が城へとなだれ込む。

追い詰められたヴォーティガンは愛する娘を刺殺し、洞窟の魔物セイレーンの生贄に捧げる。

ヴォーティガンはセイレーンの魔力によって巨大な魔人に変身し、大カマを使ってアーサーに襲いかかる。アーサーは魔人に苦戦するも、彼を倒し政権を奪う。そして理想の君主として国を治めてゆく。

この映画では聖剣「エクスカリバー」が重要な要素を占める。国が乱れた時に「エクスカリバー」が湖から現れる。この聖剣を引き抜くことが出来るのはアーサーただ一人だ。

「エクスカリバー」の刃には「我を手に取り、掲げよ」と掘られている。両手で握ると文字がひかり、すさまじい威力を発する。まるでロールプレイング ゲームみたいな感覚だ。

ドロドロとした人間模様だけでは今までの歴史物語と一緒になってしまう。しかしこの映画では善と悪が完全に別れ、しかも巨大動物を操る魔術師が現われ、誰が見ても爽快で楽しいドラマになっている。

シリアスな歴史物を予想する人にはやや期待外れかも知れないが、この新感覚ドラマはこれはこれで結構おもしろい。あっと忘れていた、サッカーのベッカムが俳優デビューしているのも話題だ(演技が酷評されたようだ)。

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