サマリー
2002年から始まったテレビアニメ(2005年にDVD化)
原作 士郎正宗
監督 神山健治(攻殻機動隊S.A.C.、Individual Eleven、Solid State Society、笑い男事件、東のエデン、009RE:CYBORG、CYBORG009 CALL OF JUSTICE)
声の出演 田中敦子(草薙素子)
阪脩(荒巻大輔)
バトー(大塚明夫)
トグサ(山寺宏一)
イシカワ(仲野裕)
サイトー(大川透)
https://youtu.be/YYBu3D7JgIA
この「笑い男事件」が140分のDVDになっている。
もの凄く長いけど、あらすじが面白く結末に大どんでん返しがある。
J・D・サリンジャーの小説「ライ麦畑でつかまえて」からの引用が多い・・・社会の欺瞞に対して17才の純粋な青年が抱く喪失感。
「笑い男」のマークには英語で「僕は耳と目を閉じ、口をつぐんだ人間になろうと考えた」と書いてある。
この作品がハリウッド版のもとになっているのかもしれない。そういう意味でも是非 鑑賞することをお薦めする。(新情報ではクゼが出て来る・・・全くのオリジナルストーリーか?)
実際に起こった、グリコ・森永事件、三億円事件、薬害エイズ事件、丸山ワクチン問題などをモデルにしている。
2024年にセラノ・ゲノミクス社の社長が誘拐され、身代金100億円と金塊100kgの要求があった。
さらに同社のマイクロマシン製造ラインへのサイバー攻撃、同様にマイクロマシン製造メーカー6社に対する脅迫が行われた。
犯人はセラノ・ゲノミクス社の社長アーネスト瀬良野氏と天気予報のTV生中継中に現れ、彼を拳銃で脅し何かを告白させようとした(電脳硬化症に対し「村井ワクチン」が有効なこと)がうまくゆかず、その場を逃走する。
ところが犯人はすべてのデバイスをハッキングしており、彼の顔は「笑い男」に上書きされていた。そして電脳化された近くの人々は犯人の顔を「笑い男」と認識し誰一人その素顔を見た者はいない。
それから6年後「警視総監殺害未遂事件」が起こる。インターセプターと呼ばれる視聴覚素子(人間の目を本人が気付かないうちにビデオカメラのように使うこと)の不正使用の警察謝罪会見中に「笑い男」が現れる。
「笑い男」は刑事部長の電脳を乗っ取り、大堂警視総監の暗殺をほのめかす。
そして3日後大堂警視総監は電脳を乗っ取られたSPや警察関係者によって狙撃され、重傷を負う。
しかも「笑い男」の模倣犯が多数現れたのには荒巻課長や少佐(草薙素子)も驚いた。「笑い男」はすでに社会現象になっている・・・彼は大人の欺瞞だらけの社会を糾弾する正義の味方なのか?。
トグサは授産施設(重度の電脳閉殻症患者を治療する施設)に潜入捜査をする。厚生省への大規模なハッキングを追うとこの施設に行き着くからだ・・・「笑い男」との関係も示唆される。
この施設でアオイと言う不思議な青年に会う。そしてトグサは潜入捜査を見破られ、怪我を負ってしまう。
しかしトグサはここで会ったアオイと言う青年が本当の「笑い男」ではないかと思い始める。
電脳化が世の中に普及したころ、電脳硬化症と言う新たな病が広がった。この病気の進行を遅らせる有効な薬として「村井ワクチン」が開発された。
ところが効果の薄い「マイクロマシン療法」がすぐに認可を受けてしまう。そして「村井ワクチン」は不認可となって闇に葬られた・・・「マイクロマシン療法」には大きな利権が絡んでいた。
ところがその後「村井ワクチン」は実験薬として認可され特定の患者だけに投与された・・・ワクチンの接種者リストの中には「マイクロマシン療法」推進派の大物も含まれていた。
トグサは「村井ワクチン」の接種者リストを調査するうちに、暗殺者に撃たれ重傷を負ってしまう。
果たしてトグサは生還出来るのか、そして「笑い男」の正体はアオイなのか?
ネタバレとレビュー
中央薬事審議会理事長 今来栖は「村井ワクチン」を不認可にした男だが、自分自身末期の電脳硬化症でこのワクチンに頼っていた。彼は色々な情報を握っていたが消されてしまう。
黒幕は厚生労働省医薬局長の新見と与党の幹事長を務める薬島薫(笑い男事件発生当初 厚生労働大臣)であることが分かる。
「笑い男」=アオイ(実は少佐がアオイになりすましている)はセラノ・ゲノミクス社の社長アーネスト瀬良野を誘拐し、「村井ワクチン」と「マイクロマシン療法」を比較して「村井ワクチン」の方が優れることを公表しろと強要する。
6年前の真実・・・薬島幹事長は「笑い男」事件を利用し、マイクロマシン製造会社にサイバーテロを行い、株価変動を利用して金を儲け、さらにマイクロマシン製造会社から多額の献金までかすめ取っている。
荒巻は総理に全ての情報を報告し、薬島幹事長を更迭するよう進言する。
ところが総理は公安9課に軍を差し向け、9課排除を指示する。
軍が公安9課の建物を制圧しようとしたとき、内部で爆発が起こり、9課のメンバーは爆死してしまう。
そして荒巻課長は当局に拘束され公安9課は解体される。
一時的に難を逃れた、少佐とバトーは軍に拘束され、少佐は殺害される・・・これですべて終了だ。
ところがこれはすべて荒巻が総理の了解を得て仕組んだストーリーだった。
公安9課のメンバーは全員無事、薬島は逮捕される。(少佐は遠隔操作義体だったらしい)
「笑い男事件」の主犯アオイは現在 図書館の司書だ。彼のハッキング能力は少佐をもしのぐ天才だ。
荒巻はアオイを公安9課のメンバーとしてスカウトにおもむいたが、彼は辞退した。
結局、最後は誰もが引っ掛かる大どんでん返しだね・・・まいった。
ところで、ハリウッド版の最新情報がユーチューブにアップされたので、参考にして。
この「笑い男事件」のストーリーは良く練られていて面白い、このプロットがすべてハリウッド版になるかどうかは分からないが、実写映画のストーリーとしては申し分ない。
但し、少佐のコスチュームが裸同然のようになっているので、ここは変更になるだろう。
しかもストーリーが勧善懲悪ではなくて、荒巻及び公安9課を除いて政府関係者、軍の関係者などが灰色で腹黒い・・・なんか身内通しで争っているような感じなんだけど?
この官僚の世界をどううまく料理するかが、楽しみだ。
配役の一部をここに載せておくけど・・・ハリウッド版をあまり期待しない方がいいのかな。
でもまあ、前評判は無視してのんびりとこの映画を観に行こうかな。
追伸、ハリウッド版「ゴースト・イン・ザ・シェル」を4月7日に見てきましたよ・・・まあまあかな。
TATSUTATSU
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