作品賞・助演男優賞・脚本賞:「グリーンブック」
2019年3月日本公開のアメリカ製作コメディドラマ
監督・脚本 ピーター・ファレリー(グリーンブック)
出演 ●ヴィゴ・モーテンセン(ロード・オブ・ザ・リングシリーズ、イースタン・プロミス、グリーンブック)
●マハーシャラ・アリ(ムーンライト、ドリーム、アリータ:バトル・エンジェル、グリーンブック)
●リンダ・カーデリーニ(グリーンブック)
久々に心温まるヒューマンドラマを見た、お薦め映画だ。1962年のアメリカ、人種差別が色濃く残る南部。何かを変えようと演奏旅行に旅立つ黒人の天才ピアニスト。彼はガサツで無教養、腕っぷしだけ強いイタリア系用心棒を運転手に雇う。
二人はまさに水と油ほどタイプが違う。黒人の天才ピアニストにはマハーシャラ・アリ、イタリア系用心棒にはヴィゴ・モーテンセンが扮し、絶妙なコンビネーションを見せる。
主演のヴィゴはこの映画の為に20キロ太って「ロード・オブ・ザ・リング」のハンサムなアラルゴンの面影が無い。いつも何かを食っているかタバコをふかしている。
マハーシャラ・アリはピアノが弾けないらしいが特訓の成果と編集によって、天才ピアニストを難なく演じている。このドラマを見ているとつくづく俳優とは「凄いね」と感じる。
「グリーンブック」とは南部を旅する黒人が泊まれる宿が載っているガイドブックだ。このドラマは実話をベースにしている。主役のトニー・バレロンガの息子ニック・バレロンガが脚本と製作に参加している。
第91回アカデミー賞に5部門ノミネート、作品賞・助演男優賞(マハーシャラ・アリ)・脚本賞を獲得している。たまにはこんなドラマでもいかが。詳細は「グリーンブック」を見てね。
監督賞・外国語映画賞・撮影賞:「ROMA/ローマ」
2018年NETflixによって放映されたヒューマンドラマ
監督・脚本・製作 アルフォンソ・キュアロン(トゥモロー・ワールド、ゼロ・グラビティ、ROMA/ローマ)
出演 ●ヤリッツァ・アパリシオ(ROMA/ローマ)
●マリーナ・デ・タビラ(ROMA/ローマ)
残念ながらまだ、見ていない。見る機会があれば詳細に紹介しますね。
1970年~1971年のメキシコシティで育ったアルフォンソ・キュアロン監督の半自伝的ドラマ。コロニア・ローマを舞台にした中流家庭とそこの家政婦の日常が描かれている。
NETflixで放映された作品が賞を取るのは初めて。アルフォンソ・キュアロンはSF映画や宇宙映画が得意だと思っていたがヒューマンドラマも凄いとは。
日本の是枝監督のノミネート作品「万引き家族」(外国語映画賞)は惜しくも落選した。
主演男優賞:ラミ・マレック「ボヘミアン・ラプソディ」
2018年日本公開のイギリス・アメリカ合作「クイーン」フレディ・マーキュリーの伝記
監督 ブライアン・シンガー(Dr.HOUSE、レギオン、ユージアル・サスペクツ、X-MEN:フューチャー&パスト、X-MEN:アポカリプス、ボヘミアン・ラプソディ)
出演 ●ラミ・マレック(ナイトミュージアムシリーズ、MR.ROBOT/ミスター・ロボット、MR.ROBOT/シーズン2、ボヘミアン・ラプソディ)
●ルーシー・ボイントン(オリエント急行殺人事件、ボヘミアン・ラプソディ)
●グウィリム・リー(ボヘミアン・ラプソディ)
●ベン・ハーディ(オンリー・ザ・ブレイブ、ボヘミアン・ラプソディ)
●ジョゼフ・マゼロ(ボヘミアン・ラプソディ)
●エイダン・ギレン(メイズ・ランナー2:砂漠の迷宮、メイズ・ランナー:最期の迷宮、ゲーム・オブ・スローンズ、ボヘミアン・ラプソディ)
クイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」だ。
ライブエイドの映像だ。
スーパースターとか天才とかはこういう人のことを言うのか。会場を埋め尽くす7万2000人のファンを右腕一本で惹きつけシンクロさせてゆく。そしてこのライブエイドの映像は全世界15億人に配信される。
フレディ・マーキュリーはこの時既にエイズに侵されていた。彼は1946年生まれ、彼の両親はインド人である。彼は両性愛者と言われている。メアリー・オースティンとは長い付き合いがあるが同棲生活は破たんしている。そして1984年から付き合い始めたジム・ハットンが最後の恋人としてフレディの死を看取る。
フレディは45才で亡くなる(1991年)。彼を支え続けたジム・ハットンも2010年に同じ病気で後を追っている。この映画ではクイーンの結成からライブエイドまでをドラマチックに描く。主演のラミ・マレックは主演男優賞を獲得している。詳細は「ボヘミアン・ラプソディ」を見てね。その他音響編集賞・録音賞・編集賞も獲得している。
主演女優賞:オリヴィア・コールマン「女王陛下のお気に入り」
2019年2月日本公開のアイルランド・アメリカ・イギリス合作ヒューマン・コメディドラマ
監督 ヨルゴス・ランティモス(ロブスター、聖なる鹿殺し、女王陛下のお気に入り)
出演 ●オリヴィア・コールマン(ロブスター、オリエント急行殺人事件、女王陛下のお気に入り)
●エマ・ストーン(アメイジング・スパイダーマンシリーズ、マジック・イン・ムーンライト、バードマン、ラ・ラ・ランド、女王陛下のお気に入り)
●レイチェル・ワイズ(ロブスター、女王陛下のお気に入り)
第91回アカデミー賞9部門でノミネートされ、主演女優賞をオリヴィア・コールマンが獲得している。政治の裏側を見ると「女性たちが国を支配していた」と言う事実は多い。中国の清朝・西太后、日本の大奥なんかもそうだ。
このドラマは18世紀のグレートブリテン王国を支配していたアン女王と彼女の周りで覇権争いをする二人の女性の物語だ。史実に基づいているがフィクションも多い。しかし、ひょっとしたら宮廷の奥底ではこんな秘話があったかもしれないと思わせる。
アン女王(オリヴィア・コールマン)の唯一の拠り所は幼なじみのレディ・サラ(レイチェル・ワイズ)であるが彼女は気性が激しく、女王に物を申す唯一の存在だ。女王は何でもレディ・サラに相談し、二人で国を治めてきた。
ところが、そこにアビゲイル(エマ・ストーン)がサラの競争相手として頭角を現してくる。詳細は「女王陛下のお気に入り」を見てね。
音楽賞・美術賞・衣装デザイン賞:「ブラックパンサー」
2018年3月日本公開のアメリカ製作スーパーヒーロー映画
監督 ライアン・クーグラー(クリード チャンプを継ぐ男、ブラックパンサー)
出演 ●チャドウィック・ボーズマン(シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ、ブラックパンサー、アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー)
●マイケル・B・ジョーダン(クロニクル、ファンタスティック・フォー、クリード チャンプを継ぐ男、ブラックパンサー)
●ルピタ・ニョンゴ(それでも夜は明ける、スター・ウォーズ/フォースの覚醒、スター・ウォーズ/最後のジェダイ)
●ダナイ・グリラ(ウォーキング・デッド、ブラックパンサー、アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー)
●マーティン・フリーマン(ホビットシリーズ、FARGO/ファーゴ、シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ、ブラックパンサー)
https://youtu.be/qHL1FQ5XjxM
ありきたりのヒーロー映画だと侮ってはいけない。先の見通せないストーリー展開、スーパーアクションの連続、最先端都市・最新兵器・空飛ぶUFOなど飽きさせない。CGを多用したシュールでクールな映像美を堪能してほしい。お薦めだ。
この映画に出て来る戦士たちの肉体が半端ではない鍛え方だ、女性戦士といえども贅肉ひとつない。それに監督と主なキャストがアフリカ系アメリカ人で占められている・・・こんな映画かつてなかった。アメリカでは2018年2月に公開されていて大ヒットだ。
アフリカナイズされたコスチュームにも目を引く。国王の親衛隊はアマゾネスのような女性戦闘員だ。また、国王たちが乗る車としてレクサス「LC500」「GS F」が登場する。アカデミー賞、音楽賞・美術賞・衣装デザイン賞を獲得している。詳細は「ブラックパンサー」を見てね。
視覚効果賞:「アァースト・マン」
2019年2月日本公開のアメリカ製作ヒューマンドラマ
監督 デイミアン・チャゼル(セッション、ラ・ラ・ランド、ファースト・マン)
出演 ●ライアン・ゴズリング(きみに読む物語、ドライヴ、ラ・ラ・ランド、ブレードランナー2049、ファースト・マン)
●ジェイソン・クラーク(猿の惑星:新世紀、ターミネーター:新起動/ジェニシス、エベレスト3D、ファースト・マン)
●クレア・フォイ(ファースト・マン)
●カイル・チャンドラー(地球が静止する日、ゼロ・ダーク・サーティ、マンチェスター・バイ・ザ・シー、ファースト・マン)
●コリー・ストール(アントマン、ファースト・マン)
ドキュメンタリータッチの重苦しい映画だ。何故なら「本当に月に行って帰ってくることが出来るのか」と視聴者を不安におとしいれる演出がなされているからだ。そして月面着陸の史実を淡々と忠実に再現しようとした努力が見られる。
ニール・アームストロングは冷静で寡黙な男だ。彼の内面に主眼をおいて作られている。そして視聴者が彼に成り切ってアポロ11号で月に向かい、そこに降り立つ疑似体験も出来る。映像だけでなく音響も凄い。
一般的には第三者目線、或いはドローン映像のように俯瞰的に撮影される。しかし、この映画では一人称視点が多く使われている。僕らはアームストロングの目を通して宇宙や宇宙船内部の計器類、隣の同僚を見ることになる。これがたまらない魅力だ。
派手さは無い。そして結末も分かっているからサスペンス要素も少ない。しかし、この信じられないミッションを成し遂げたアームストロングとはどんな男でどんな苦悩をしたのかが伝わってくる。お薦め映画だ、迫力のある映画館で是非観てほしい。アカデミー賞、視覚効果賞を獲得している。詳細は「ファースト・マン」をご参考に。
主題歌賞:Shallow 「アリー/スター誕生」
2018年12月日本公開のアメリカ製作ミュージシャン・ヒューマンドラマ
監督・脚本・製作 ブラッドリー・クーパー(アリー/スター誕生)
出演 ●ブラッドリー・クーパー(ハングオーバー、リミットレス、アメリカン・スナイパー、世界にひとつのプレイブック、海外ドラマ リミットレス、二ツ星の料理人、アリー/スター誕生)
●レディ・ガガ(アリー/スター誕生)
●サム・エリオット(マイレージ、マイライフ、アリー/スター誕生)
シャロー~「アリー/スター誕生」愛の歌
「スター誕生」のドラマは4回めのリメイクになるが今回はそれが現代風にアレンジされ最初の10分で僕の心を鷲づかみにした。一食抜いてでも是非映画館に駆け付けてほしい。この迫力は音響の良い映画館でしか味わえない。
何故、この映画がこれだけ心を揺さぶるのか。僕らがライブに参加しているように錯覚させられるからだ。それはカメラアングルにあるかもしれない。ミュージシャンになったつもりでステージから観客席を見渡す。まるで自分が演奏し、歌っているかのようだ。
ブラッドリー・クーパーは監督・脚本・製作・主演しかも歌まで歌っている。歌もうまい・・・でも歌手にはならないそうだ。そして、圧倒的な声量と存在感で僕らの心を揺さぶるレディ・ガガ。
彼らの才能には驚くしかない、一つのことを極めれば何でも出来てしまう典型的な例か。ブラッドリー・クーパーは初監督作品、レディ・ガガは初主演映画。それで、このクオリティの高さだ。少し才能を分けてもらいたいものだ。
「スター誕生」は使い古されたストーリーだ。ミュージシャンの頂点に立ったジャック(ブラッドリー・クーパー)はバーで歌っていたアリー(レディ・ガガ)の歌声に聞き惚れる。
そして彼女を舞台に引っ張り上げ「売り出す」。最初は嫌がっていた彼女だが、次第に売れはじめスターの階段を上って行く。それに対し、ジャックは難聴が悪化し、酒とドラッグに溺れ、落ちてゆく・・・。アカデミー賞、主題歌賞を獲得している。詳細は「アリー/スター誕生」をご参考に。
長編アニメーション賞:「スパイダーマン:スパイダーバース」
2019年3月日本公開予定のアメリカ製作スーパーヒーロー・アニメ
監督 ボブ・ペルシケッティ、ピーター・ラムジー、ロドニー・ロスマン
声の出演 ●シャメイク・ムーア
●ヘイリー・スタインフェルド
●マハーシャラ・アリ
https://youtu.be/6eEeA-yRDLM
申し訳ないが、まだ見ていない。複数のスパイダーマンが異次元から登場するアクションアニメだ。ユーチューブを見ると痛快で面白そう。
残念ながら細田守監督の「未来のミライ」は落選してしまった。次回作に期待しよう。
TATSUTATSU
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