ミュージカル

映画「ラ・ラ・ランド」感想・評価‐セバスチャンとミアは何故心が離れて行ってしまったのか


サマリー

2017年日本公開のアメリカ ミュージカル映画
監督・脚本 デミアン・チャゼル(セッションラ・ラ・ランドファースト・マン
出演 ●ライアン・ゴズリング(きみに読む物語、ドライヴ、ラ・ラ・ランドブレードランナー2049ファースト・マン
●エマ・ストーン(アメイジング・スパイダーマンシリーズ、マジック・イン・ムーンライトバードマンラ・ラ・ランド
●ジョン・レジェンド(ラ・ラ・ランド
●ローズマリー・デウィット(ポルター・ガイスト、ラ・ラ・ランド
●J・K・シモンズ(スパイダーマンシリーズ、クローザー、セッションターミネーター新起動/ジェニシスザ・コンサルタントラ・ラ・ランド
●フィン・ウィットロック(ノア約束の舟、マネー・ショート、ラ・ラ・ランド

「ラ・ラ・ランド」本予告

エマ・ストーンが歌う「AUDITION」

映画『ラ・ラ・ランド』エマ・ストーンが歌う「AUDITION」

ライアン・ゴズリングが歌う「City Of Stars」

『セッション』監督のミュージカル!映画『ラ・ラ・ランド』より「City Of Stars」

本日、観に行ってまいりました。映画館は女性のファンがやや多かったように思う。僕みたいな「じじい」のハートにも火がつくような楽しくて、夢の中にいるようなミュージカルだ。

哀愁を帯びたスジガキが忘れられない、一瞬でも青春時代に戻れたような気がした。歌・ダンス・ドラマで二時間飽きさせない。ライアン・ゴズリングは「ブレードランナー2049」みたいに哀愁を帯びた映画によく似合う。

お薦め映画だ。是非恋人同士でいったら楽しいこと倍増だ・・・僕もカミさんや娘を誘ったけど、寒いから行きたくないとヌカシておりました。

ラ・ラ・ランドとは、ハリウッド地区の愛称や「夢の国」と言う意味らしい。テレビで宣伝している通り第89回アカデミー賞で14部門ノミネートされている・・・この内容なら納得だ。

監督のデミアン・チャゼルはまだ32才だと言うのに凄い才能を持っている・・・彼は天才なのか映画のツボをよく押えていて見るものをドラマに引き込み離さない。今後がもの凄く楽しみだ。

男と女の恋愛ドラマなんて腐るほどあるし、最近ではミュージカルも下火だ。しかし彼の作品は、もちろんスタッフもいいんだけど、洗練された大人の魅力を感じさせる。映像が実にすばらしい、カラフル、躍動感に溢れる、感情移入し易い・・・よく計算されている。

それに音楽の使い方、憎いほど心に響いてくる・・・音楽が見ている人に沁み込んでくるような感じだ。「セッション」でも実にそうだった・・・自分がドラムをたたいているような錯覚に陥った。

ライアン・ゴズリングとエマ・ストーンの組み合わせも成功したようだ。才能豊かなイケメンと美女役がぴったしだ。

物語はほろ苦い男と女のラブストーリーだ。ジャズ・ピアニストのセバスチャン(ライアン・ゴズリング)は将来ジャズ演奏が聴けるバーをやりたいと考えている。

地方から女優を目指してロサンゼルスにやってきたミア(エマ・ストーン)は映画スタジオのカフェで働いている。彼女は映画のオーディションに数えきれないほど落ちている・・・自分はダイコン役者かもしれないと自信を無くしている。

こんな二人が偶然出会い、お互いに惹かれてゆく。デートを重ねることによって愛し合うようになるが、お互いに夢を実現させようともがく。

セバスチャンはバンドメンバーとして引き抜かれ、自分のやりたい音楽とはややかけ離れるが人気者になって行く。ミアもオーディションに合格しパリに行ってしまう。

二人は出会ったころに戻れるのか・・・お互いに夢を叶えることは逆にお互いを見失ってゆくことなのか・・・。最後の方でネタバレするから、映画を見てから読んでね。

ストーリー

南カリフォルニアは冬でも熱い、渋滞した道路でミア(エマ・ストーン)にクラクションを鳴らして追い抜いてゆく嫌な奴(ライアン・ゴズリング)がいた。

ある日彼女はピアノの音に誘われ入ったお店に、あの男セブ(セバスチャン:ライアン・ゴズリング)がピアノを弾いていた。でも彼は曲をジャズ風に勝手にアレンジし、店のオーナー ビル(J・K・シモンズ)にクビにされてしまう・・・クリスマスなのに。

でも彼女はその時セバスチャンの弾くピアノに魅了されていた。

ミアはネバダ州から女優になる夢を抱いてロサンゼルスに来ていた。彼女は大学をやめ映画スタジオのカフェで働きながら、映画や舞台のオーディションを受け続けていた。

二人は何度か会ううちにお互いに惹かれあう。セバスチャンはもう今ではあまり人気の無いジャズをこよなく愛していた。

彼の夢はジャズ演奏が出来るお店をもつことだ。でも定職に付けない今の状況では何時までたっても夢のままだ。

彼はミアに演技の勉強が出来ると、名画「理由なき反抗」を見に行く約束をする。ところがその夜、彼女は付き合い始めたボーイフレンドのグレッグ達とディナーに行ってしまう。

レストランから流れるピアノの音でセバスチャンとの約束を思い出したミアは急いで映画館へと駆け付ける。

映画館では彼が一人で映画を見ていた。隣の席に座ると彼から手を握られ、キスをしようとしたところ映画館のトラブルで館内の電気がついてしまう。

映画はグリフィス天文台のシーンで中断していた。二人は車を走らせ本物の天文台でプラネタリウムの星空を見上げる。

ミアはオーディションに落ち続けていることからセブのアドバイスに従って脚本を書き、一人芝居を企画する。

二人は愛を育み、セブの部屋で同棲する。夢には程遠い現状だけど、二人とも幸せをかみしめていた。

セブは生活を安定させようと、昔の同級生キース(ジョン・レジェンド)のバンドに参加してライブ会場周りをする。

ミアは彼のライブに出かけるが、彼の好きだったジャズとは異なり、女性ボーカルやシンセサイザー演奏、アップテンポの今風の音楽で違和感を感じた。

しかしキースのバンドは売れ、セブも人気者になって行く。それにつれて二人でいる時間が少なくなり、ミアは寂しく、一人芝居の準備を始める。

ミアはお金の為に今のバンドで満足なの?とセブを責め、「昔の夢は何処に行ってしまったの」と口論になる。

ミアの一人芝居の幕が下りる。客席には空席が目立ち、セブも来ていない。彼はアルバムの写真撮影の為彼女の芝居に間に合わなかった。

彼女は自分に自信を無くし、あとから駆け付けたセブに「なにもかも終わりよ」と実家に帰ってしまう。

そんな失意の中、オーデション事務所からセブに「ミアに最終面接にすぐに来てほしい」連絡が入る。彼は彼女の実家に駆け付け、面接会場まで送る。

いつもの天文台の近くで二人は、これからの行く末を思い浮かべる・・・・。

ネタバレとレビュー

5年後ミアは大スターになっていた。そして別の男と結婚し娘が生まれ、幸せな生活をおくっていた。

彼女は夫とディナーに出かける途中、高速道路で大渋滞にあう。軽く夕食を食べようと脇道にそれ、あるレストラン近くに車を止める。

その時ジャズの演奏が聞こえてきて、思わずそのバーのドアに入って行く。そこにはセブがいた、セブの店だったのだ。セブの店はジャズファンで大繁盛していた。

セブはミアを見つけ、思わず時が止まったように感じた。セブはピアノの前に座り、ジャズをひきながら昔の思いにふける。

その夢の中で、セブはミアと結婚し、子供が生まれ幸せな生活を思い浮かべていた。二人は夢の中で歌い、踊り、抱き合ってキスをする。

二人が長い間待ち望んでいた瞬間に、二人で同じ夢を見ていた。一瞬の出来事かも知れないが、二人には長い時間のように思えた。セブの演奏が終わり、ミアはバーをあとにする。出口で振り向いたミアはセブに微笑む・・・・・。

ラストが非常に切ないね。二人とも夢を叶えたけど、別々の道を歩んでしまった。何か少し「シェルブールの雨傘」に似ている・・・思わず心にジーンと来る。

若い男女の出会いと別れ・・・定番だ。でもこれが夢の中のような出来事として一生記憶に残って行く。なんてったってハリウッドは「夢の国」だからね。

ところで、この映画の企画当初は、マイルズ・テラーとエマ・ワトソンがキャスティングされていたらしい、残念ながら二人とも難くせをつけて断ったらしい。幸運の女神は前髪しかないから、つかみ損ねたらおわりだ。

追伸:第89回アカデミー賞で「ラ・ラ・ランド」が監督賞(デミアン・チャゼル)、主演女優賞(エマ・ストーン)、撮影賞、美術賞、作曲賞、歌曲賞の6部門を受賞した・・・凄い。

何回観ても心に残るミュージカル映画ベストテン」も見てね。

TATSUTATSU

ファースト・マン

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