サマリー
2017年日本公開のアメリカ アクションサスペンス映画
監督 ギャビン・オコナー(ミラクル、ウォーリアー、ジェーン、ザ・コンサルタント)
出演 ●ベン・アフレック(アルマゲドン、ザ・コンサルタント、アルゴ、ゴーン・ガール、グッド・ウィル・ハンティング)
●アナ・ケンドリック(マイレージ、マイライフ、ピッチ・パーフェクト、ザ・コンサルタント)
●J・K・シモンズ(スパイダーマンシリーズ、クローザー、セッション、ターミネーター新起動/ジェニシス、ザ・コンサルタント、ラ・ラ・ランド)
●ジョン・バーンサル(フューリー、ボーダーライン、ザ・コンサルタント)
冒頭、伏線がいっぱい出て来る、そしてそれらの謎が結末で結びつく。殺し屋の映画なんだけど、普通のアクション映画とは一味違う・・・面白い。
天才会計士、殺し屋、格闘技、謎解き、感動・・・これらがみんな詰まったお薦めの映画だ。
このブログでは最後の方にネタバレするけど、映画を見に行く人は、後で読んでね。
二人の子供を持ったある家庭から母親が家を出てゆく・・・育児放棄だ。長男は明らかにほかの子供とは違う手のかかる精神病を持っている。そして父親は軍人で、二人の子供をスパルタ教育で育ててゆく。
クリスチャン・ウルフ(ベン・アフレック)は田舎町の会計コンサルタントをしている。彼は大手電子機器メーカー「リビング・ロボ社」から依頼を受け、財務状況を調査する。
社の財務担当デイナ(アナ・ケンドリック)が不正を見つけたようだ。クリスチャンは財務責任者のリタと打ち合わせをしてすぐに調査を始める。
彼は過去15年前にさかのぼって帳簿を調べてゆく、通常数か月かかる仕事をなんと一晩でやりあげてしまう・・・彼は天才会計士だ。あまりの凄さにデイナはびっくりする。
彼は帳簿が粉飾決算され、多額の金が存在しない会社に流れていることをつきとめる。クリスチャンは翌朝出社し調査結果を報告しようとしたとき、突然ラマー社長(ジョン・リスゴー)から調査を打ち切られる。
そして財務責任者のリタが殺害され、社外財務管理の責任者も自殺を装って殺害される。クリスチャンはとっさにデイナが危ないと、彼女のもとに駆け付けると、殺し屋が部屋に侵入しようとしていた。
クリスチャンは殺し屋たちを片付けると、デイナを安全な場所に避難させる。彼は天才会計士でありながら裏の顔は殺し屋だった。
アメリカ財務省のレイモンド・キング局長(J・K・シモンズ)は裏社会の会計コンサルタントが誰なのか長年調査してきた・・・しかしその男を今だに特定出来ていない。
キング局長はなかなか尻尾を掴ませないその男を調べるよう、部下の分析官メリーベス・メディナ(シンシア・アダイ=ロビンソン)に命令する。
クリスチャンには強い味方がいる、全世界の情報を電話とインターネットで連絡してくれる文字通りの「マネージャー」だ。その「マネージャー」から財務省の分析官が彼を特定しようとしているから注意するよう知らせてきた。
クリスチャンは世界中の悪人を顧客に持った凄腕の会計士であり、毎年1000万ドル以上の報酬をある目的のために稼いでいた・・・その目的とは。
彼はリビング・ロボ社の創業者ラマーがマフィアの暗殺者を雇って、秘密を知った関係者を消していたことを知る。
そしてクリスチャンはラマーを片付けるために彼の豪邸に向かう。しかしそこにはブラクストン(ジョン・バーンサル)を首領とした多くの戦闘員が待ち構えていた。
果たしてクリスチャンは目的を達成することが出来るのか・・・。
ネタバレとレビュー
実はクリスチャンは高機能自閉症(知的発達の遅れはないが、言語発達の遅れ、対人関係がうまく出来ない、物事に対する強いこだわりなど)と言われる先天的な障害を抱えている。
彼は特に数字に対するこだわりが強く、会計士としては天才の域にある。そして物事を最後までやり遂げなければ我慢できないのもこの症状のひとつだ。
彼は幼少から軍人の父についてインドネシアの格闘技「プンチャック・シラット」をたたき込まれ相当な腕前になっている。
武器の使い方、射撃の腕も父から弟と一緒に鍛えられた。父はクリスチャンが一人で生きてゆけるよう準備してきたようだ。
ある事件がもとで父親が亡くなり、彼は刑務所送りとなる。そこで会計士フランシス(ジェフリー・タンバー)に気に入られ、2年間かけて裏社会の金の流れ、マネーロンダリングの手法などの奥義を教え込まれ、顧客も紹介してもらう。
彼は刑務所から脱走し、全世界に顧客を有し裏社会の「掃除人」と言われるまでにのし上がる。
クリスチャンはラマーの豪邸に押し入り、次から次へと戦闘員を倒して行く、しかしその過程でケガを負う。
最後はブラクストンとの一騎打ちとなるが、彼はなんとクリスチャンの弟であった・・・久しぶりの兄弟再開を喜び合うが、クリスチャンはラマーを打ち殺し、「連絡する」と言いつつ弟から去って行く。
凄腕の分析官メリーベスはついに裏社会の「掃除人」を特定し、郊外の屋敷に踏み込むが、クリスチャンは何処かに消えてしまった後だった。
クリスチャンは多額の寄付を精神疾患の養護施設にしていた・・・彼が大金を稼ぐ目的の一つだ。彼は幼い頃この施設で世話になった。
そして今回知り合ったデイナにポロックの抽象画(何億もすると思われる絵画)を贈る。彼は愛情表現が言葉では出来ないが、彼女への好意を贈り物に変えて伝える。
また、クリスチャンはキング局長とも繋がっている。ある殺人現場に駆け付けたキングは彼に殺されそうになるが、何故か殺さずに消えて行った。
後からキングに麻薬取引などの情報を流し、キングはこれによって手柄を立て続け局長職にまで上り詰める・・・クリスチャンはキングを使って不必要な悪人たちを「掃除」したに過ぎない。
この映画では勧善懲悪などない、誰しも二面性を持った人間に描かれているんだ。だから正義の味方的な単調な物語になるのを防いでいる。
そして高機能自閉症だったクリスチャンが自分を鍛え上げて、天才会計士、格闘家、武器の使い手・・・一流の殺し屋にのし上がって行くところがこの映画の一番の魅力だと思う。
TATSUTATSU
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