ミュージカル

映画「グレイテスト・ショーマン」感想・評価:心躍る珠玉のミュージカルドラマ

サマリー


2018年2月日本公開のアメリカ製作ミュージカル
監督 マイケル・グレイシー(グレイテスト・ショーマン)
出演 ●ヒュー・ジャックマン(X-MENシリーズヴァン・ヘルシングリアル・スティール、レ・ミゼラブル、チャッピーLOGAN/ローガン、グレイテスト・ショーマン)
●ザック・エフロン(セブンティーン・アゲイン、ネイバーズ、グレイテスト・ショーマン)
●ミシェル・ウィリアムズ(ブロークバック・マウンテン、マリリン7日間の恋、マンチェスター・バイ・ザ・シー、グレイテスト・ショーマン)
●レベッカ・ファーガソン(ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイションガール・オン・ザ・トレイン
●ゼンデイヤ(スパイダーマン:ホームカミング、グレイテスト・ショーマン)

映画『グレイテスト・ショーマン』予告D

非常に良かったね、映画の熱気で10才若返った気分だ。「ラ・ラ・ランド」もそうだけどミュージカルは映画館で観た方がバツグンにいい。スクリーンいっぱいに歌や踊りが楽しめ、大音響の振動を体中で感じられる。そして良く出来たストーリーに心が揺さぶられ、目頭が熱くなる。

ヒュー・ジャックマンは「X-MEN」のウルヴァリンで有名だけど歌やダンスも実にうまい・・・もうびっくり。監督のマイケル・グレイシーはこれが初長編映画とのことで二度びっくりだ。是非恋人を連れて鑑賞することをお薦めする(もちろん僕のように一人でもOKだ)。

音楽は「ラ・ラ・ランド」で第89回アカデミー賞 歌曲賞を受賞したパセック&ポールが参加している。彼らでさえもオープニング・エンディングを飾るテーマ曲「THE GREATEST SHOW」を作るのに苦労している。試作曲を6曲以上作ったらしい。

映画を一言で言うと表面的には「サーカスを作った偉大な興行師P・T・バーナムの物語」だ。でも底に流れる本来のテーマは「夫婦愛の物語」だね。ヒュー・ジャックマンと「マンチェスター・バイ・ザ・シー」でアカデミー賞候補となったミシェル・ウィリアムズの組み合わせが実にしっくりだ。

スジを少し紹介すると、舞台は19世紀半ばのアメリカ・コネチカット州、貧しい服の仕立て職人の子供として生まれたP・T・バーナム(ヒュー・ジャックマン)は大人になって、幼なじみで金持ちの娘チャリティ(ミシェル・ウィリアムズ)に求婚する。

親の大反対を押し切って、彼女はバーナムと結婚し二人の娘を授かる。日々の生活は苦しかったが、彼女は充分幸せを感じ取っていた。

ある日バーナムが務めていた会社が倒産する。彼はこの機会に銀行から融資を受けニューヨーク・マンハッタンに「バーナムのアメリカ博物館」を開園する。博物館には蝋人形や動物の剥製が並べられていたが人気は今一だった。

動くものでなくっちゃあつまらないと娘たちは言う。バーナムはそこで思いついた、ユニークな人々を集めてショーをすることを考えたのだ。小人の「親指トム将軍」、髭の生えた女性歌手レティ(キアラ・セトル)、空中ブランコ乗りのアン(ゼンデイヤ)とW.D.(ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世)の黒人兄弟。

その他に長身男、超デブ男、オオカミ少年、刺青男・・・・。ショーは大人気で劇場は軌道に乗る。しかし批評家からは酷評の嵐だ。バーナムはそんなことお構いなしにニョーヨークの社交界に打って出る。

彼は上流階級出身の舞台劇のプロデューサー フリップ・カーライル(ザック・エフロン)を説き伏せ仲間に入れる。フリップは舞台で見かけたアンに一目ぼれする。でも二人の間には人種や身分の壁が立ちふさがる。

フリップのコネでバーナム一座はイギリスのヴィクトリア女王に謁見する機会を得た。バーナムはそこでスウェーデンの歌姫ジェニー・リンド(レベッカ・ファーガソン)を知ることになる。

彼はジェニーのアメリカ公演を企画し専属で付き添う。そして彼女のニューヨーク公演は大成功を収める。彼の眼中にはジェニー・リンドと野望しか見えないようになってゆく。チャリティは離れてゆく夫を見て嘆く。そしてバーナム一座のメンバーとも隙間風が吹くようになる。

ところが大事件が起こる、その事件によってバーナムは全財産を無くすことになるのだが・・・・。

その後のストーリーとネタバレ

ジェニー・リンドはバーナムを愛し始めていた。バーナムもそれを感じていたが彼女の思いを受け止められずに妻のもとに帰る。ジェニーはバーナムに捨てられたと感じ、その後の公演を全てキャンセルしてしまう。これによってバーナムは大損害を被る。

バーナムの大邸宅は銀行に差し押さえられチャリティと子供たちは実家に帰ってしまう。彼は妻とやり直そうと彼女を説得する。妻と子供たちを連れ戻したバーナムだったが、さらに悲劇が襲う。

バーナム一座の劇場が放火されたのだ、燃え落ちる建物に駆け付けたバーナムはアンを助けようと建物の中に飛び込むフリップを見る。ところがアンは別の出口から逃げていた。慌てたバーナムは建物の中に飛び込みフリップを助け出す。

次の日、バーナムはすべてを無くし途方に暮れていた。そこに今まで散々バーナムをコケおろしてきた批評家が近づく。彼はバーナムに「決して品の良いショーではないが観客がみな楽しんでいる。こんなショーも必要だ」と慰める。

バーナムはふとアイデアが浮かぶ、「劇場はいらない、港の近くに広場がある。そこにテントを張ってサーカスをしよう」と。

バーナムはフリップを共同経営者としてサーカスを始める。彼はその後、一座の座長をフリップに譲る。フリップはバーナムに「今後、何をするつもりだ」と聞く。彼は「子育てだ」と答える。

彼はチャリティと子供たちが自分の宝だと気付いたようだ。

レビュー

P・T・バーナムは実在の人物だ。彼は実際にサーカスを設立し、その流れは現代も息づいている。彼は映画でも出て来るが「親指トム将軍」と銘打って、小人のチャールズ・ストラットンの見世物で大評判をとる。

そしてヨーロッパへも巡業を行い、実際にヴィクトリア女王にも謁見している。また、1850年からスウェーデンの歌姫ジェニー・リンドのアメリカ興行も手掛けている。また、劇場も火事に遭っている。従って、映画のストーリーはかなりの部分、実話がベースになっている。

最後に出て来るが、サーカスの呼び物は馬、ライオンやクマそして巨大ゾウ達だ。僕も大昔、サーカスを観に行ったことがあるが主役は動物たちだったね。

映画の中にもあるようにP・T・バーナムはショービジネスの創始者であり、ショーを大衆の娯楽として定着させたのも彼だ。

最後に監督のマイケル・グレイシーはこのミュージカルの構想を7年前に思いつき、ヒュー・ジャックマンも乗り気だったと言っている。しかし、当時はミュージカルが低迷していた時期で、構想が実現するまで気が遠くなる期間が過ぎ去ってしまった。

ストーリー的には今から百数十年前の時代背景だが、現代人にも受けるようにポップな曲作りに苦労している。ヒューもミュージカルのために数年前からボイストレーニングをしていたとのことだ。

つくづくアメリカ映画は金と時間をかけている。日本映画ではこんな豪華なミュージカルはなかなか難しいだろうね。でも頑張ってほしい。

TATSUTATSU

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