サマリー
★★★☆☆(お薦め)
2020年10月17日公開の時代劇アクションアニメ
監督 外崎春雄(テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス、鬼滅の刃 無限列車編)
原作 吾峠呼世晴「鬼滅の刃」
出演 ●花江夏樹(声:竈門炭治郎 かまどたんじろう)
●鬼頭明里(声:竈門禰豆子 かまどねずこ)
●下野紘(声:我妻善逸 あがつまぜんいつ)
●松岡禎丞(声:嘴平伊之助 はしびらいのすけ)
●日野聡(声:煉獄杏寿郎 れんごくきょうじゅろう)
●平川大輔(声:下弦の壱 魘夢 かげんのいち えんむ)
●石田彰(声:上弦の参 猗窩座 じょうげんのさん あかざ)
開場の30分前に行ったのに既に数席しか残っていなかった。首が痛いのを我慢して前の方の席を何とか確保した。館内は若者でいっぱい、まるで「鬼滅教」の集会のようだ。女性ファンがやたらに多い。
主要キャラが死ぬときには劇場内のあちこちからすすり泣きが聞こえ、自分が場違いな空間にいるのを感じた。そうだ、ここは神聖な「鬼滅教」の集まりなのだ。こんなところでいびきでもかこうものなら袋叩きに会ってしまう。
アニメ鑑賞は久しぶり。勧善懲悪、わかり易いドラマだ。鬼に家族を殺された主人公が自分を鍛え上げながら成長し鬼を倒す物語。しかし、この鬼がやたらに強い、少年・少女たちがどんどん犠牲になる。昨今、涙を流す機会が少なくなった世の中だが、こんな場所で泣けるとは・・・この「泣ける」がヒット要素なのか。
少年ジャンプにて2016年11号から2020年24号まで連載された「鬼滅の刃」。シリーズ累計発行部数は1億部を突破する。何故、これだけ若者に受けるのか?原作者の吾峠呼世晴(ごとうげこよはる)さんは福岡県出身31才の漫画家、どうも女性らしい。
舞台は大正、この元号は15年で終わってしまう。和服と洋服が混在し、文明も徐々に西洋化しつつある。こんな不安定で物悲しい時代に命をかける若者たちが存在する。鬼は人間を喰う、喰えば喰うほど自分自身が大きく強力になってゆく。これに対し、才能を見いだされた少年少女たちは国中から集まり「鬼殺隊」に入隊する。
「鬼殺隊」に入ってからも修行が厳しい。途中で脱落したり亡くなってしまうものも多い。主人公の竈門炭治郎が唯一望むものは妹の禰豆子を鬼から人間に戻したいことだ。何か方法があるはずだ。妹は鬼に噛まれ半鬼状態で闇の中でのみ生きる。
話のスジを少し紹介すると。蝶屋敷で修行を終えた竈門炭治郎は鬼にになりかけた妹・禰豆子を背負い、「無限列車」に乗り込む。同志は我妻善逸と嘴平伊之助だ。彼らは列車の中で「鬼殺隊」の中でも最強の剣士で「柱」でもある煉獄杏寿郎と合流する。
この「無限列車」のなかで40名の人々が行方不明となっている。数名の「鬼殺隊」がここに送られたが彼らも消息不明だ。列車の中にはかすかだが鬼の臭いがする。竈門炭治郎たちは座席に座るとすぐに車掌が来て、切符を切る。そして不思議のことに全員眠り込んでしまう。切符に仕掛けがあるのか?
何処からともなく少年少女が現れ彼らの手首に縄を結びペアになる。少年少女は竈門炭治郎たちの夢の中に入り込み魂の「核」を探す。これを破壊すれば彼らは眠ったまま、死を迎える。
竈門炭治郎たちはあまりにも心地よく安らかな夢の世界を漂う。この世界は亡くなった人、全てを復活させ、永遠に夢を見ていたいと思わせる。これは十二鬼月・下弦の壱 魘夢の仕業だ。彼らは魘夢によって夢を見たまま殺されてゆくのか・・・。
その後のストーリーとネタバレ
炭治郎は夢の中で鬼に殺されたはずの母親や弟・妹たちが現れ、涙を流す。そして家族とあたたかな家で過ごす。まるで楽園のようだ、このままずうっとここにいたいと心から思う。
ふと、禰豆子がいないことに気づく。そして夢の中に入ってきた少年は炭治郎の魂の「核」を見つけようと必死だ。禰豆子の血によって炭治郎はここから抜け出さないといけないと我に返る。そして夢の中で自分の首を切る。何故かこれが脱出方法だと分かる。
現実世界に戻った炭治郎は仲間たちが皆・眠っているのに驚く、そしてそばに手首どおしを縄で結んだ少年少女たちがいた。仲間たちも目を覚まし始める。
車両の中は 魘夢の触手が広がり乗客たちを喰おうとしていた。触手のような肉塊は車両を覆う。これらの触手を刀で切り落とし、人々を守るがすぐに肉塊は再生しキリがない。本体を見つけなければならない。
炭治郎と伊之助は先頭車両に向かう。そこには 魘夢がいた。列車を襲っていたのはこいつなのだ。炭治郎は苦戦するが魘夢と戦い首をはねる。ところが魘夢の本体は先頭機関車両の床底にいた。伊之助と力を合わせ肉塊を切り崩し現れた骨を切断する。
これによって魘夢は退治出来たが炭治郎は腹部に重傷を負う。煉獄杏寿郎たちが炭治郎の周りに集まり傷の手当をしているその時、上弦の参 猗窩座が現れる。
猗窩座と戦うことが出来るのは煉獄杏寿郎だけだ。二人は戦いを始める。その戦いのスピードの速いこと、炭治郎たちが助太刀するどころか、返って足手まといとなる。
杏寿郎は猗窩座の手足を切り落とすが奴の体はすぐに再生してしまう。戦いは続くが生身の杏寿郎は左目を潰され、あばらを折られる。それでも杏寿郎は戦いを止めない。猗窩座は杏寿郎に「俺のように鬼になれ」「永遠の命と最強の力を得ることが出来る」とささやく。杏寿郎は「拒否する、人間として生きる」と信念を貫く。
その時、猗窩座のこぶしが杏寿郎の体を突き抜ける。杏寿郎は最後の力を振り絞り猗窩座の腕をつかんで離さない。もう夜明けまじかだ。陽の光が上ってくる。猗窩座はあせり杏寿郎を振りほどき森に逃げようとする。炭治郎は逃げるなと後を追うが追いつけなかった。
杏寿郎は炭治郎たちに最後の言葉「心を燃やし前を向け」を残して死んでゆく。炭治郎たちは「もっと鍛えて自分たちが鬼殺隊の柱になる」と心に決める。杏寿郎のカラスは大空を舞い彼の死を仲間たちに告げてゆく・・・。
レビュー
劇的な終わり方をする。この結末を見て多くの視聴者が胸を熱くしたことと思う。このアニメのテーマは「悪を滅ぼすために身を捧げる」ではないだろうか、このようなアニメが大ヒットする日本もまだ捨てたものではない。
ところで、初日で全国10億円以上の興行収入をたたき出したようだ。このままのペースが続けば100億円以上稼ぐかもしれない。社会現象ともなったこのドラマあなたも是非、劇場で味わってみたら。
今回の主役は煉獄杏寿郎と言ってもいいかもしれない。多くの若者の心をつかんで離さない。これだけ稼げばコロナ禍の映画業界に明るい光を差し込んだに違いない。改めて日本の「ANIME」の凄さを感じた。多分、続編が作られると思う。
大作洋画が軒並み延期された昨今、日本の映画業界はアニメに救くわれたね。さあ次は「シン・エヴァンゲリオン」だ。
TATSUTATSU
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