作品賞・監督賞・美術賞・作曲賞:シェイプ・オブ・ウォーター
人間の女性と半魚人の愛を描いたギレルモ・デル・トロ監督の作品だ。ギレルモ・デル・トロ監督と言えば「パンズ・ラビリンス」が有名だ、この映画では女の子が主人公で異形の怪物たちが出て来る。今回も怪物(半魚人)が出て来るが主役は大人の女性だ。
日本での公開は「R15+指定」となっており大人のダークファンタジーと言える(一か所ぼかしが入っているし、サリー・ホーキンスの全裸シーンがある)。
オリジナルバージョンでは「R18+指定」であり大人向けだ。何故 監督は大人向けにしたのか? 僕が考えるに、生と性を描きたかったのでは無いかと思う。生きることはセックス抜きでは考えられない、主人公の自慰の場面とか、半魚人とのセックス、また仲の良い画家はゲイで恋人を探しているなどタブーな部分も赤裸々に描いている。
僕は「スリー・ビルボード」が作品賞か監督賞を取るんじゃないかと思っていたが外れた。「シェイプ・オブ・ウォーター」はアカデミー賞13部門にノミネート 作品賞・監督賞の他美術賞・作曲賞も獲得している。詳細は以下の記事を見てほしい。
主演女優賞・助演男優賞:フランシス・マクドーマンド、サム・ロックウェル(スリー・ビルボード)
この作品は第75回ゴールデン・グローブ賞4部門受賞、第42回トロント国際映画祭 観客賞受賞、第74回ベネチア国際映画祭 脚本賞受賞など・・・各賞総なめだ、米国アカデミー賞最右翼とも言われていた。
僕は作品賞か監督賞を取ると思っていたけど、主演女優賞・助演男優賞の二冠となった。正義感に溢れ、一癖も二癖もある過激なおばさんミルドレッドをフランシス・マクドーマンドがみごとに演じる。このおばさんはいつも「ジャンプスーツにバンダナ」といういでたちで攻撃的、頑固そのもの、周りに毒をまき散らす。そして、どんなことがあってもひるまない、でも情にはもろい。
彼女の娘アンジェラ(キャスリン・ニュートン)は7か月前にレイプされて殺され、しかも死体を焼かれている。ミルドレッドは一向に進展しない犯人捜査に腹を立て、町外れの3つの巨大な看板に警察署長を皮肉る広告を出す。この広告が田舎町に波風を起こす。この予想も出来ない展開がサスペンスドラマのように面白い。
また、警察官ジェイソン役のサム・ロックウェルが粗暴な問題警官を熱演していて実にすばらしい。過激なおばさんミルドレッドと不良警官ジェイソンがバトルを始めるが・・・。詳細は以下の記事を見てほしい。
主演男優賞:ゲイリー・オールドマン(ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男)
この映画は残念ながら僕はまだ見ていない。アメリカでは2017年11月、製作国のイギリスては12月に公開されているけど日本は2018年3月になるらしい。チャーチルを演じたゲイリー・オールドマンが主演男優賞を獲得している。早く見たいね。
第二次世界大戦において首相にに就任したウィストン・チャーチルがアドルフ・ヒトラーとの徹底抗戦を呼びかけ、イギリスだけではなく世界をも救ったと言われるドラマだ。映画「ダンケルク」もこの時代と関係ある作品だ。
この作品でゲイリー・オールドマンのメイクを担当した日本人の辻一弘さんがメイクアップ&ヘアスタイリング賞を獲得している。実におめでたいね。
面白いことに、この時イギリスがドイツに征服されてしまった架空のパラレルワールドを描いた「SS-GB/エスエス・ゲーベー」が海外ドラマになっている。これも面白いよ。
助演女優賞:アリソン・ジャニー(アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル)
フィギアスケートで史上初めてトリプルアクセルを成功させたトーニャ・ハーディング(マーゴット・ロビー)が1994年にライバルのナンシー・ケリガンを襲撃して大けがをさせてしまった事件をドラマにしている。トーニャの母親ラヴォナを演じたアリソン・ジャニーが受賞している。
日本では2018年5月公開予定だ。実話の映画化だからもの凄く興味がある。それに今年は冬季オリンピックの年だからね。
撮影賞・視覚効果賞:ブレードランナー2049
前作のテイストを保ちながら、スタイリッシュでクールな映像、どんでん返しのストーリー、音楽もヴァンゲリスを彷彿とさせる哀愁を帯びそれでいて力強いサウンド。見たことのない近未来の情景を垣間見させてくれる。
地表を覆うソーラーパネル、空にそびえる過密都市、地球温暖化によって海面が上昇し都市を守る防波堤、荒廃したオレンジ色の砂漠、すし詰めの歓楽街、ゴミの山の貧民街・・・。これはもう撮影賞・視覚効果賞の獲得は当然だ。
もちろんストーリーも面白い、何回でも見たくなる映画だ。詳細は以下の記事を参考に。
編集賞・録音賞・音響編集賞:ダンケルク
監督のクリストファー・ノーランは徹底したリアリストだ。彼は「この映画は戦争映画ではなくサスペンス映画だ」と言っている。確かに、そう考えると、戦闘シーンがほとんどない。ドイツ兵もほとんど出て来ない。不思議な感じがしたけど、パンフレットを読むと納得だ。
この映画ではほとんど血は見せない、これが彼のスタイルだと思う。かといって緊迫感が無いかと言えばそんなことは無い、自分が映像の中に放り込まれたかのようなリアリティがある。映画も106分と短い。ノーランは「リアリティを極限にまで追及した結果、緊張が続き観客が長時間に耐えられない」と言っている。
この作品が音響関係の賞を取るのは納得だ、映像も凄いがそれにもました迫力ある音を出している。この音の響きは劇場でなければ味わえないと思う。詳細は以下の記事を見てね。
長編アニメ賞:リメンバ・ミー
今回は日本のアニメがノミネートされていなかったのが残念だ。このアニメは近々日本で公開になる。見に行こう、見てきたらまたレビューするから楽しみに待っててね。⇒観に行ってきました、凄く良かったレビューを見てね。
メキシコが舞台だ、12才の少年ミゲルはミュージシャンになる夢を持って、こっそりとギターの練習をしている。彼の高祖父がミュージシャンになる夢を追っかけ、妻のイメルダと娘のココを捨てたことから「音楽禁止」を家訓にしているからだ。
ところが彼の身に不思議なことが起こる。生きたまま死者の国に迷い込んでしまったのだミゲルは果たして現実世界に戻ることが出来るのか・・・。
脚本賞:ゲット・アウト
幽霊とか怪物とか出て来ないんだけどもの凄く怖い心理ホラー映画だ。世界中でもの凄くヒットし、製作費約5億円に対し270億円の興行収入をあげている。コメディアンのジョーダン・ピールの初監督作品だ。
クリス・ワシントン(ダニエル・カルーヤ)は恋人のローズ(アリソン・ウィリアムズ)と彼女の実家に行くところから物語が始まる。クリスは黒人だがローズは白人だ。
ローズの両親はクリスを温かく迎えてくれた。彼は彼女の家に泊まることになったのだが、そこで不思議な光景を目撃する。そしてクリスに身の毛もよだつ恐怖が襲う、果たしてそれは何なのか、彼はそれから逃れることが出来るのか・・・。詳細は以下の記事を見てね。
去年の第89回アカデミー賞のまとめ記事は以下を参照に。
TATSUTATSU
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