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映画「スリー・ビルボード」感想・評価:3つの広告看板が町に騒動を巻き起こすヒューマンドラマ

サマリー


2018年2月日本公開のアメリカ・イギリス合作ヒューマン・ドラマ
監督・脚本 マーティン・マクドナー(セブン・サイコパス、スリー・ビルボード
出演 ●フランシス・マクドーマンド(ファーゴ、あの頃ペニー・レインと、スタンドアップ、スリー・ビルボード
●ウディ・ハレルソン(グランド・イリュージョン、ハンガー・ゲームシリーズ、TRUE DETECTIVE/二人の刑事スリー・ビルボード
●サム・ロックウェル(グリーンマイル、月に囚われた男、セブン・サイコパス、ポルターガイスト、スリー・ビルボード
●ジョン・ホークス(ウィンターズ・ボーン、エベレスト3D、スリー・ビルボード)
●ルーカス・ヘッジズ(ゼロの未来、スリー・ビルボードマンチェスター・バイ・ザ・シー
●ピーター・ディンクレイジ(ゲーム・オブ・スローンズ、ピクセル、スリー・ビルボード
●アビー・コーニッシュ(リミットレス、エンジェルウォーズ、ロボコップジオストームスリー・ビルボード

「スリー・ビルボード」予告編

 

久しぶりにいい映画を観たと言う感じだ。ハリウッドのスーパー・ヒーロー・アクション映画ももちろんいいが、たまにはこんな歯ごたえがあって胸に「ガツーン」とくるドラマも面白い。お薦めだね。

第75回ゴールデン・グローブ賞4部門受賞、第42回トロント国際映画祭 観客賞受賞、第74回ベネチア国際映画祭 脚本賞受賞など・・・各賞総なめだ、米国アカデミー賞最右翼とも言われている。

正義感に溢れ、一癖も二癖もある過激なおばさんミルドレッドをフランシス・マクドーマンドがみごとに演じる。このおばさんはいつも「ジャンプスーツにバンダナ」といういでたちで攻撃的、頑固そのもの、周りに毒をまき散らす。そして、どんなことがあってもひるまない、でも情にはもろい。

彼女の娘アンジェラ(キャスリン・ニュートン)は7か月前にレイプされて殺され、しかも死体を焼かれている。ミルドレッドは一向に進展しない犯人捜査に腹を立て、町外れの3つの巨大な看板に警察署長を皮肉る広告を出す。

その広告の内容は一つ目「レイプされて死亡」二つ目「犯人逮捕はまだ?」三つ目「なぜ?ウィロビー署長」である。警察官のジェイソン(サム・ロックウェル)は見回り中にこれを見つけ慌ててウィロビー署長(ウディ・ハレルソン)に連絡する。

次の朝、ウィロビーはミルドレッドの家を訪れ、「警察だって頑張ってる。これはやり過ぎだ」と広告を取りやめるように説得する。それにウィロビー署長は末期のすい臓がんを患っており、余命も短い。しかしミルドレッドはそれらをはねつけ、あくまで警察にケンカを売るつもりだ。

ウィロビー署長は人望が厚く、町中の人々は彼を頼りにしている。だからミルドレッドは警察ばかりか町中の人々も敵に回したことになる。彼女の息子ロビー(ルーカス・ヘッジズ)は学生たちにいじめられるし、それに忘れようとしていた姉アンジェラの記憶がよみがえりつらいと母を責める。

離婚した元夫チャーリー(ジョン・ホークス)も若い愛人を伴って、ミルドレッドを説得しに来るが大ゲンカとなる。もともとチャーリーはDV夫だ。教会の神父でさえも彼女に追い返される。ところがそんなミルドレッドにも味方がいて高額な広告料を匿名で援助する者が現われた。

そんな最中にウィロビー署長は3通の遺書を残して自殺する。署長を父親のように慕っていたジェイソンがキレる。彼は広告会社のレッド(ケイレブ・ランドリー・ジョンソン)に暴力を振るい、二階の窓からレッドを突き落とし大けがをさせる。

さらに3つの広告が放火され、焼け落ちる。ミルドレッドもこの仕打ちにはさすがにキレる。ジェイソンがやったに違いないと警察署を火炎瓶で襲うことを考えるのだが・・・。

その後のストーリーとネタバレ

ジェイソンの前に黒人の新しい警察署長が赴任してくる。しかしジェイソンのあまりに横暴な態度に新署長は彼を解任してしまう。

ジェイソンは真夜中に警察署に来て、ウィロビー署長が彼に宛てた遺書を読む。その遺書には、彼を諭しまっとうな生き方をするようにと書かれてあった。彼はその遺書を呼んで涙を流す。

そんなところにミルドレッドがこっそり現れ、向かいの建物から警察署に向けて火炎瓶を投げ込む。警察署には誰もいないと思っていたのに、炎に包まれる署から火だるまになったジェイソンが窓ガラスを破って道路に飛び出る。

偶然居合わせたジェームズ(ピーター・ディンクレイジ)に火を消してもらい彼は助かる。近くに呆然と立ち尽くしたミルドレッドがいた。

ウィロビー署長は馬小屋を掃除した後、ピストルで頭を撃ち抜いていた。妻アン(アビー・コーニッシュ)宛ての遺書には、妻と家族に対する感謝の気持ちと「ガンによって体が動かなくなり、家族に迷惑をかけながら衰えて死んでゆくのは嫌だ」と書かれてあった。

そしてミルドレッド宛ての遺書には、犯人を見つけることが出来なくて申し訳ないとの謝罪の言葉と広告看板が自分の死後も残るよう、援助をしたことが書かれてあった。高額な広告料を援助してくれたのはウィロビー署長だったのだ。しかも広告看板への放火は元夫のチャーリーの仕業であることが分かった。

ジェイソンは偶然、酒場で隣り合わせたボックス席の連中たちが変な話をしているのを耳にする。その連中の中の一人が女をレイプして殺したと愉快そうに話していた。ジェイソンはそいつの席に座って爪で奴の頬をかきむしる。

男はジェイソンに暴力を振るうと酒場を出てゆく。ジェイソンは爪の中に残った皮膚を採取してDNA鑑定を依頼する。このことをミルドレッドに連絡する。

暫くして新署長からDNA鑑定の結果がジェイソンに告げられる。その結果は残念ながら殺されたアンジェラから採取したものと一致しなかった。それにその男はアンジェラが殺された時には国外にいたらしい。

落胆するミルドレッドに向かって、ジェイソンは「その男の住所は調べてある。その男が犯人でなくても悪事を働いたことは間違いない、一緒に退治しに行こう。」と誘う。

ミルドレッドは分かったと車にライフルを乗せてジェイソンと隣の州に向かう。途中、車の中で「警察署を襲ったのは私だ」と謝罪する。「そんなことはとっくに知っている」とジェイソンは答える。

レビュー

アメリカ ミズーリ州の架空の町エビングでの出来事をうまく脚本にまとめ、しかも癖のある俳優たちを使って感動の作品を作り上げたマーティン・マクドナー監督にすばらしい才能を感じた。

フランシス・マクドーマンドとサム・ロックウェルの演技には脱帽する。暗いテーマだが全編にわたってシャレが上手くきいていてコメディかと思われるような軽快さがある。この演出が、この監督の魅力かも知れない。

つまらない田舎町の出来事なんだけど、先が全然読めないストーリーに魅了される。まるでサスペンス映画を観てるような感覚に陥る。次に彼女が何をやらかすのか見当もつかないが、フランシス・マクドーマンド演じるミルドレッドがまるでワンダーウーマンのように次々起こるアクシデントに動じない。

地味そうな作品だがすべての要素が詰まった娯楽作品といってもいいかも・・・。

TATSUTATSU

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