サマリー
2018年1月日本公開のアメリカ製作 自然災害SFパニック映画
監督・脚本・製作 ディーン・デヴリン(ジオストーム)
出演 ●ジェラルド・バトラー(300、エンド・オブ・ホワイトハウス、キング・オブ・エジプト、ジオストーム)
●ジム・スタージェス(クラウドアトラス、鑑定士と顔のない依頼人、ジオストーム)
●アビー・コーニッシュ(リミットレス、エンジェルウォーズ、ロボコップ、ジオストーム)
●アレクサンドラ・マリア・ララ(ヒトラー~最後の12日間~、コントロール、ジオストーム)
●エド・ハリス(アポロ13、スノーピアサー、ジオストーム)
●アンディ・ガルシア(ブラックレイン、オーシャンズシリーズ、パッセンジャー、ジオストーム)
「ジオストームとは地球規模の同時多発災害のことだ」。人類は地球温暖化などによって度重なる異常気象や自然災害に悩まされてきた。そしてこの災害を防ぐために全世界が結束し気象コントロール衛星を開発する。
この地球全体に張り巡らせた人工衛星の愛称は「ダッチ・ボーイ」と呼ばれ、地球上の気象は完全にコントロールされていた。ところがこの「ダッチ・ボーイ」が暴走を始める。地球上に氷結、竜巻、熱波、暴風、稲妻などをもたらし、人類をパニックに陥れ、このままでは多くの人々が犠牲になってしまう。
何故、「ダッチ・ボーイ」が暴走したのか調査の為、生みの親でもある天才的な技術者ジェイク・ローソン(ジェラルド・バトラー)をスペース・シャトルで国際宇宙ステーション(ICSS)に派遣する。
地上では彼の弟のマックス・ローソン(ジム・スタージェス)が「ダッチ・ボーイ」の総責任者として指揮を執る。ジェイクは衛星のシステムがウイルスによってハッキングされコントロール不能であることを知る。
「ダッチ・ボーイ」はアフガニスタンの村を氷結させ、香港を灼熱によって地割れさせ、東京に巨大なひょうを降らせ、ムンバイを竜巻で襲い、リオデジャネイロの海を凍らせ、冬のモスクワを熱波で覆い、ドバイでは大洪水を引き起こす。
果たして、誰が何のためにウイルスを衛星にばら撒いたのか、そして衛星の暴走を食い止めることが出来るのか・・・。ところで「ダッチ・ボーイ」とはメアリー・メイプス・ドッジが書いた小説で、ダムの穴を自分の腕で塞ぎ洪水から町を守ったオランダの少年にちなんでつけられている。
けっこう金のかかった典型的なハリウッド映画(スター俳優を揃え、巨大なセットでの撮影と度派手なCGの組み合わせ)だ。前半はまあまあな出来だが、後半が失速してしまったような感じがする。あまりにストーリーが荒唐無稽で現実感がなさすぎる。
カーアクションと宇宙空間における衛星のCG画像は見応えがあるが、見終ったあとほとんど記憶に残らない。やはりストーリーが重要だ、感動させるようなドラマとシーンが欲しかったね。まあ、人畜無害のステレオタイプ、ヒーローものだから誰と見に行ってもオーケーかもしれない。
僕は日本語吹き替え版でみたけど、吹き替えはまあまあだったと思う。それにエンドロールでB’zの演奏「Dinosaur」は迫力があったね。
ストーリー
ICSSに乗り込んだジェイクは観測衛星全体がウイルスに汚染されていることを確認する。ICSS司令官ウーテ(アレクサンドラ・マリア・ララ)と協力して原因を調べてゆくと明らかにメンバー内部の誰かがウイルスをばら撒いたとしか考えられない。
そして地上にいる総責任者マックスでさえ「ダッチ・ボーイ」へのアクセスをブロックされている。彼は自分の上司、つまりホワイトハウスの誰かが絡んでいるのではないかと、とても考えられない結論に到達する。
ジェイクは弟のマックスとうまく暗号を使いながら連絡を取り合う。ウイルスを除去するためには「ダッチ・ボーイ」の再起動が必要だ。この権限はアメリカ大統領アンドリュー・パルマ(アンディ・ガルシア)が持っている。
マックスはシークレットサービスで恋人のサラ(アビー・コーニッシュ)に事情を説明し、大統領を確保してもらう。ところがそこに国務長官のレオナルド・デッカム(エド・ハリス)が立ちふさがる。
何と黒幕はレオナルド・デッカムであったのだ。彼は「ダッチ・ボーイ」を暴走させ、地球上に「ジオストーム」を発生させることによって主要な国を壊滅させ、もう一度アメリカを世界に君臨させる。
そしてパルマ大統領も暗殺し、自分がその後釜になって世界を牛耳るストーリーを組み上げていた。刻一刻と「ジオストーム」の発生が近づいて来る。時間が無い、このままではレオナルド・デッカムの思い通りになってしまうのか・・・。
ネタバレ
サラはデッカムやその部下の追撃を逃れ、パルマ大統領を車に乗せて安全な場所へと急ぐ。途中、仲間のシークレット・サービスと連携を取り、何とかデッカムを逮捕する。
パルマ大統領を地上のコントロール・ルームへ急がせ、彼の指紋・網膜認証によって「ダッチ・ボーイ」の再起動が発動される。念のためICSSの乗務員はスペース・シャトルで避難する。
後にはジェイクが一人残り、順調に再起動が終了するまでモニターを見続ける。ところが、ICSSが自己破壊プログラムを発動してしまう。ジェイクは万が一、ICSSや「ダッチ・ボーイ」がトラぶりコントロール不能に陥った場合の最終措置を講じていたが今回それが裏目に出てしまう。
ジェイクは宇宙服を着て、船外に逃れようとするが上手くゆかない、もうダメかと思われたとき、ウーテに助けられる。ウーテはジェイクを心配して残ってくれていたのだ。
二人は衛星に取り付き、ICSSの自爆から逃れる。そして新たに発射されたスペースシャトルで地球に帰還する。そののちジェイクは解任されていた「ダッチ・ボーイ」の責任者に戻り、地球規模の気象災害防止に尽力する。
レビュー
意表をついたストーリーなんだけど、気象観測衛星で地球規模の異常気象や自然災害を防止できるとはとても思えない。どんな理論か教えてもらいたいものだね。
それにテロリストの首謀者がアメリカの国務長官(ちょっと前までヒラリー・クリントンさんがやってたね)とは絶句だ。国務長官はアメリカの副大統領より権限が大きいと言われている、実質的にはナンバー2クラスではないだろうか。そんな人がテロを起こすか?
また、ICSSに備わっている自動爆破システムもまゆつばだ。最近、中国の無人ステーション「天空一号」が地球に落下してくると言われている。全長10.4m、重量8.5トンの衛星でも一部が地表に落ちて来たら怖いのに。
やや大味なストーリーになってしまった。映画だから奇想天外も許されると考えるのはもう昔の話だ。そんな苛立ちを覚えるのは僕だけだろうか。
でもジェイク役のジェラルド・バトラーが最後、死んじゃうんじゃないかと思っていたけど、タクシーのようにスペースシャトルを使って戻ってくるところなんかやっぱりハリウッド映画だね。
TATSUTATSU
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