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アニメ映画「リメンバー・ミー」感想・評価:死者の世界に紛れ込んだミゲルが知る真実とは

サマリー


2013年3月日本公開のアメリカ製作ファンタジーアニメ映画
監督 リー・アンクリッチ(トイ・ストーリー2、トイ・ストーリー3、ファインディング・ニモ、リメンバー・ミー
エイドリアン・モリーナ(レミーのおいしいレストラン、トイ・ストーリー3、リメンバー・ミー
声の出演 ●石橋陽彩(ミゲル・リビエラ)
●藤木直人(ヘクター)
●橋本さとし(エルネスト・デラクルス)
●松雪泰子(イメルダひいひいおばあちゃん)
●磯辺万沙子(エレナおばあちゃん)
●横山だいすけ(エンリケ・リヴエラ)
●大方斐紗子(ココひいおばあちゃん)

https://youtu.be/6Zn1bCMdepc

主題歌「リメンバー・ミー」だ・・・心に染み入る。

「リメンバー・ミー」MovieNEX ひいおばあちゃんに捧げる♪リメンバー・ミー

 

僕はあんまりガキんちょアニメは見ないんだけど、この映画が第90回アカデミー賞で「長編アニメ映画賞」「主題歌賞」を取ったことと、主題歌の「リメンバー・ミー(忘れないで)」が気になり、ふらふらと出かけた。

劇場内はやはりガキんちょと女性が多く、じじいは僕一人だった。実は珍しいことに、2本立てなんだね。最初は「アナと雪の女王 家族の思い出」が始まり、22分の短編だけどなかなか面白かった。この短編を最初にやっとかないと「リメンバー・ミー」が終わったら帰る人が出ちゃうからかな。

「アナと雪の女王 家族の思い出」のユーチューブだ。

アナ雪新曲「あなたといるだけで」を神田沙也加と松たか子が歌う!新作短編『アナと雪の女王/家族の思い出』本編映像

 

本編の「リメンバー・ミー」の舞台はメキシコ、サンタ・セシリアの田舎町だ。「死者の日」が題材になっている。日本で言えば「お盆」のことだ、でもメキシコではこの日の祝い方がもの凄く派手だ、ガイコツのかっこうでパーティをしたりバンドの演奏があったりとハロウィンのように楽しい。

このアニメの魅力はなんたって、12才の、もの凄く可愛い主人公ミゲルだ。彼はギターの天才だ、彼が奏でるギターの指先の動き、演奏と歌の素晴らしさ。直ぐに感情移入出来てしまう。それもそのはず、実際のギターの指の動きを撮影し、アニメに置きなおしている・・・もう名人芸としか言い表せない。

映画にはガイコツがいっぱい出て来るけど全然怖くない。ミゲルはミュージシャンを目指している。ところが何故か彼の一族は音楽を忌み嫌い、代々音楽を禁止にしてきた。それはひいひいおじいちゃんが家族を捨ててミュージシャンに走ったからだ。

後に残されたのが妻のイメルダと幼い娘ココだ。原題の「ココ」とは今では100才近くになるひいおばあちゃんのことだ。彼女は日々、記憶が薄れてゆくがミゲルが歌う「リメンバー・ミー」を聞いて、昔の記憶が甦ったのか口ずさむ。

この感動的な場面では涙が溢れる。幼いココはひいひいおじいちゃんが自分の為に作ってくれた歌「リメンバー・ミー」をいつも聞かされていたんだ。

ミゲルは不思議な体験をする。生きたまま死者の世界に紛れ込んでしまうのだ、そしてもう一人の主役ガイコツのヘクターと一緒に死者の世界を旅し、ある真実を知ることになる。でも日が昇ってしまうとミゲルは生者の世界に戻れない、果たして彼は戻ることが出来るのか?

「死者の日」と「わすれないで」がこの映画のテーマだ。良く練られたストーリー、豪華で美しい色彩、死者と生者の交流、死者の国のスペクタクル、さらに大どんでん返し・・・・すべての要素が備わっている。大人も充分楽しめるアニメだ、もちろん僕としては大推薦する。

ああ、そうそうハンカチは必需品だ。それにギターを奏でて歌われる「リメンバー・ミー」が心に響く。久々に魂が洗われる素晴らしい映画だ、見逃さないように。

「リメンバー・ミー」の作詞・作曲は「アナと雪の女王」の「レット・イット・ゴー」を作ったロペス夫妻。監督はトイ・ストーリー2と3を手掛けたリー・アンクリッチとエイドリアン・モリーナ・・・この組み合わせでアニメ映画が当たらないはずはない。

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ストーリー

12才のミゲル・リヴェラはお父さん(エンリケ)とお母さん(ルイサ)、エレナおばあちゃんとココひいおばあちゃんフランコおじいちゃんの大家族とメキシコ、サンタ・セシリアの田舎町に住んでいる。

ミゲルはギターの天才で将来ミュージシャンになる夢を持っていた。しかし一族には「音楽禁止」の家訓が代々続いていた。ひいひいおじいちゃんが妻のイメルダと幼いココを捨ててミュージシャンに走ってしまったからだ。

でもミゲルはこっそりと屋根裏部屋でギターを練習していた。手本は1940年代のサンタ・セシリアが生んだ国民的ミュージシャン エルネスト・デラクルスだ。

ミゲルは一年に一度の「死者の日」に開催される音楽コンテストに出場しようとしていた。ところがエレナおばあちゃんにギターが見つかり壊されてしまう。その時「死者の日」を祝う祭壇に飾られた、ひいひいおばあちゃんイメルダと幼いココひいおばあちゃん、顔の部分が破かれたひいひいおじいちゃんの写真を見る。

そこにはエルネスト・デラクルスが持っていたギターが写っていた。ミゲルはひよっとしたらひいひいおじいちゃんは彼ではないかと思い始める。エルネスト・デラクルスの記念に建てられた廟の中に彼のギターが飾ってある。ミゲルはそのギターでコンテストに出ようと考える。

こっそり忍び込みそのギターを手に取って音を響かせたとたん体が幽霊のように透明になってしまった。そして死者たちが見えるようになる。ミゲルは生きたままの姿で死者の国にノラ犬のダンテと紛れ込む。そこで既に亡くなっているガイコツのイメルダを始めその一族と遭遇する。

イメルダはミゲルを生者の世界に戻そうとマリーゴールの花びらを持って呪文を唱え「音楽禁止」を彼に約束させようとする。ところがミゲルは「音楽禁止」を約束してしまってはたまったものではないと逃げる。彼はデラクルスに会って事情を説明し「音楽禁止」の約束を抜きに呪文を唱えてもらい家に帰ろうと考えたのだ。

逃げる途中にミゲルはヘクターと言う冴えないガイコツと仲良くなり昔、縁の有ったデラクルスに会わせてあげようと骨を折る。ヘクターは自分を思っていてくれる人がいなくなりそうだとため息をつく。この世界では生きている一族から忘れ去られてしまえば死者の世界からも消えてしまう。つまり二度目の死だ。

ヘクターはミゲルに一族の元に戻り、祭壇に自分の写真を飾って欲しいと頼む。そうすれば死者の世界から消えなくて済むからだ。彼とデラクルスとは本当に大昔にコンビを組んで歌を歌っていた間柄だった。

ミゲルはデラクルスに会うことが出来たが、思いもかけない真実が明るみに出る・・・その真実とは。そのころイメルダは羽の生えたネコ科の巨大な生き物にミゲルを探させていた、早くしないと日が昇る、そうしたらミゲルは生者の世界に帰ることが出来なくなってしまうのだ・・・。

ネタバレ

デラクルスはヘクターに会う、最初は分からなかったが、昔コンビを組んでいた男であったことを思い出す。色々な話の中でヘクターは著名な作曲家であった。彼は食べ物をのどに詰まらせ亡くなったと思っていたが、実はデラクルスに毒をもられたことによる毒殺であった。しかもコンビを解消して家族のもとに帰ろうとしていた矢先の出来事だった。

この時ヘクターが作曲していた「リメンバー・ミー」などが書かれたノートが奪われていた。「リメンバー・ミー」はヘクターの曲だったのだ。ところがヘクターとミゲルはデラクルスの部下たちによって洞窟に閉じ込められてしまった。

そこにネコ科の巨大な生き物に乗ったイメルダが助けに来てくれた。日の出直前に、イメルダは今度は約束なしにミゲルを生者の世界へと帰す。そして記憶が薄れてきた、ひいおばあさんココの前でミゲルは「リメンバー・ミー」を歌い始める。

その時奇跡が起こる、今まで無表情だったココが「リメンバー・ミー」を口ずさみ始めたのだ。そして引き出しの中から破った写真の顔の部分を取り出した。それはヘクターの写真だった。結局デラクルスの人気は地に落ち、ヘクターの株が上がる。

ヘクターはココのお父さん、ミゲルのひいひいおじいさんだったのだ。暫くしてココは亡くなる。死者の国ではイメルダ、ヘクター、ココの三人家族が楽しそうに踊り、歌っていた。

それ以来ミゲルがミュージシャンになることを誰も反対しなくなった。家族の前でミゲルは楽しそうに歌を歌う。

レビュー

一年に一度の「死者の日」11月1月~2日に行われる。道にはマリーゴールドの花を撒いて死者の道を作る。祭壇を設けて飾り付け、亡くなった先祖の写真を飾って、お祝いする。死者は花の道をたどって祭壇でくつろぎお供え物を食べたり飲んだり(実際には食べることは無いが)してまた死者の国に戻る。

日本では「お盆」だ。8月15日を中心として何日間か行われる行事だ。お墓で提灯の火をともし、その提灯でご先祖の魂を導きお仏壇に迎え入れる。お仏壇のお供え物を食べゆっくりと何日か過ごし、また提灯の明かりに導かれてお墓に入る。

メキシコも日本も良く似ている。どちらもご先祖さんを「忘れないで」と言う事だ。この映画の死者の世界は広く、垂直に向かって建物が積みあがって行く。ここにはガイコツの他、精霊や動物たちの魂もいる。

ミゲルはひいひいおじいちゃんヘクターの血を引いていてミュージシャンの才能を持っている。日本には少ない歌って踊るアニメだ。2017年に公開された湯浅政明監督の「夜明け告げるルーのうた」なんかがこの部類に入るのかな。

アナと雪の女王」や「リメンバー・ミー」が今や王道アニメと言えるのかも・・・。さて次回、ディズニー・ピクサーは何を見せてくれるのか楽しみだ。

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