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アニメ映画「009RE:CYBORG」感想・評価‐ジョーの疾走感が忘れられない


サマリー

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2012年公開のサイボーグ アニメ映画
監督・脚本 神山健治(攻殻機動隊S.A.C.Individual ElevenSolid State Society笑い男事件、東のエデン、009RE:CYBORGCYBORG009 CALL OF JUSTICE
原作 石ノ森章太郎
音楽 川井憲次
声の出演 宮野真守(009:島村ジョー)
玉川砂記子(001:イワン・ウィスキー)
小野大輔(002:ジェット・リンク)
斉藤千和(003:フランソワーズ・アルヌール)
大川透(004:アルベルト・ハインリヒ)
丹沢晃之(005:ジェロニモ・ジュニア)
増岡太郎(006:ちゃんちゃんこ)
吉野裕行(007:グレート・ブリテン)
杉山紀彰(008:ピュンマ)
勝部演之(ギルモア博士)

【本予告編】 映画『009 RE:CYBORG』(サイボーグ009)

このアニメのキモはなんてったって009:島村ジョーの加速装置だね。もうその疾走感がたまらない。

この疾走感はアメリカ映画「シグナル」にパクられているかもしれない。

映画『シグナル』

石ノ森章太郎の原作をよくここまで昇華出来たと感心する(セルアニメ形式の3DCG作品だ)。

石ノ森章太郎の未完で終わってしまった、サイボーグ達と「神」或いは「天使」との闘い、これを引き継いだドラマになっている。神山監督の独自の解釈が語られていて面白い。

それに主人公たちはマンガから実写に近い姿にデフォルメされていて、新鮮な感じがする。川井憲次の音楽も重厚で素晴らしい。

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今回の敵は「彼の声」つまり「天使=神」との闘いだ。神は人類の横暴さに嘆き「人類は一度やり直さなければならない」と自爆テロ、ミサイル攻撃、核攻撃と人類を滅亡へ追いやろうとする。

「神」に立ち向かうためゼロゼロナンバー サイボーグ戦士達はギルモア博士のもとに再結成する。

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果たして彼らは人類を救うことが出来るのか?

結末がなんと難解だ、皆さんはどう考えるか。

ストーリー

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2013年34件もの世界超高層ビル連続爆破事件が起こる。そしてギルモア博士は9人の戦士に招集をかける。この自爆テロにはアメリカのサムエル・キャピタル社(軍産複合体)が絡んでいる。

高校生の島村ジョーは「彼の声」に動かされ、六本木ヒルズを爆破させるため、トモエを誘って出かける。

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彼はビルを爆破させようとした時、そこに現れたフランソワーズとジェロニモによって覚醒させられ、危機を救われる。彼は27年間の間3年ごとにリセットされ、同じ高校生として暮らしていた。

結局六本木ヒルズは何処からともなく放たれたアメリカ軍の巡航ミサイルによって破壊される。

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そのころアルベルトとピュンマはイスタンブールに調査に出かけていた。そこで彼らは天使の像を見つける、しかしピュンマは行方不明になってしまう。

アメリカの戦略爆撃機B2がドバイに向かっているのをキャッチしたギルモア博士はイワンのテレポーテーションを使って、ジョーを現地に送り込む。

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そこにはジェットもいて、ジョーはB2の核攻撃を阻止しようとしたが、核ミサイルは発射されブルジュ・ハリファを直撃、ドバイの市街地は核の犠牲となる。

ジョーは核の衝撃波から加速装置を使って辛うじて脱出する。

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ギルモア博士のところにアルベルトとちゃんちゃんこが合流し、イワン、フランソワーズ、ジェロニモと合わせて5人の戦士がそろう。

アルベルトはピュンマが持っていた天使の化石写真を皆に見せる。天使が実際に存在していた証拠を裏付けるものだ。

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ジェットはサムエル・キャピタル社のサムエル社長に会い、「彼の声」の存在がなんであるか問い詰める。サムエル・キャピタル社は自爆テロ、ミサイルテロなどのすべての惨劇に絡んでいた。

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サムエル社長は世界は既に「人類をやり直す方向にシフトしている」もう誰にも止められないと言う。そしてサムエルは今まで「彼の声」に従って我が社は動いていると話す・・・ジェットは呆然とする。

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アルベルトは「彼の声」は次のようであったとピュンマのメモを読み始める。

「初めに声ありき、言葉は彼にありき、人は皆彼の言葉につき従い、是を拝せ、されど地に住む者ども虚栄と傲慢、奸知と壟断により、あまたの塔の頂を天へと達することを試み、地上の冨をつぐ、人心おもてにちりて荒れすさみ、人、彼の声に耳を貸すことなし、彼、人に悔い改める折を与む、焔と煙と獅子の吠ゆる大きな声とが地に振り下り諸々の塔踏みにじらん」

ピュンマが化石を発見した後、発掘現場の労働者に「彼の声」=「神からのメッセージ」が聞こえるようになる。

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「人類の祖先が死の恐怖から逃れるため神を作った」ように、この宗教体験が「彼の声」として殉教者の心に響いたのではないか?「脳」=「神」と言う学説がある。人間だれしも脳の中に神的存在を持っている。

ジョーは何故「彼の声」を聞いて、自爆テロを起こそうとしたのか?

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「彼の声」がきけるのは、修行僧や殉教者など厳しい修行を積んだ一部の人だけなのかもしれない。ジョーの脳は定期的にチューンナップされたことによって「彼の声」が聞こえるようになったのか、或いは、自分の声を「彼の声」と認識してしまったのか。

そんな時ギルモア財団のビルが多数のアメリカ軍兵士ラザロ(戦死した兵士を利用したサイボーグ兵士)に急襲される。後少しで財団のビルに侵入されるところに、イワンのテレポーテーションによってギルモア財団に呼び戻されたジョーが危機を救う。

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恐ろしいことに、ギルモア財団がドバイへの核攻撃の容疑者にされてしまっていた。アメリカのCIAが裏で暗躍したようだ。

ジェットも無意識のうちに「彼の声」を聞き、ペンタゴンを破壊する。そして彼からの恐ろしい情報がもたらされる。

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アメリカの核を搭載した原子力潜水艦が「彼の声」を聞き「人類をやり直す」と言って、単独行動を取るように通信を遮断し消息を絶ってしまう。

もう人類の滅亡は時間の問題だ、さてゼロゼロナンバー サイボーグ戦士達はこの惨劇を阻止することが出来るのであろうか。

ネタバレとレビュー

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イワンはテレポーテーションを使って、ジョー、フランソワーズ、アルベルトをアメリカのイージス艦に送り込む。

彼らはアメリカのイージス艦を乗っ取ると、潜水艦から発射された核ミサイルを迎撃用ミサイルで撃ち落とそうとする。ところがミサイル一基を撃ち漏らしてしまう。

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ジョーはこの時の為に自分を犠牲にして、核ミサイルの落下を阻止しようとする。イワンの最後のテレポーテーションで核ミサイルの座標に向かう・・・フランソワーズとももう逢うことはないだろう。

ジョーはミサイルにしがみつき、爆弾を仕掛けるも失敗してしまう。そんな時ジェットが現われ、ジョーを支援してミサイルに再度とりつかせる。

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ジェットは力尽き大気圏へと落下してゆく、ジョーは「彼の声」にあらがうことが重要だと考えている。このミサイルと心中しても、次の攻撃が止む保証はない。

ジョーは「彼の声」にあらがうものをさらに滅ぼしてしまうのか、「神よ!問いかけに答えてもらいたい」と叫び核とともに消滅してゆく。

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ジョーは気が付くと失われた古代都市の中にいた。そこにフランソワーズがパンをもって建物の中に入ってくる。彼女は水面を歩いてジョーのもとにやってくる。

フランソワーズのセーフハウスの中にジョーはいた。そしてジェット、ピュンマ、グレートもこの海に囲まれた港町に来る。

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海岸ではギルモア博士、アルベルト、ちゃんちゃんこ、イワン、ジェロニモが待っていてくれた。この世界は我々が望んだ世界ではないのか。

フランソワーズは「神は我々に越えられない試練は与えないはずだ」と言う。そして天使の化石は「彼の声を聴き、自らを犠牲にすることで正義をなそうとした、名もなき者たちのモニュメントだったんだ」と・・・。

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結末がよく分からなかったね。フランソワーズが水の上を歩いていることから、ひょっとしたら「神=天使」の世界かもしれない・・・と言うことは彼らはみんな死んで天使になってしまったのか?

あるいは煉獄(天国と地獄の間にあって、死者の霊が天国に行く前に浄化される場所)なのか?

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それにフランソワーズのセーフハウスの中だと言うことは、フランソワーズの記憶の中の世界なのかも知れないね。

ジョーを優しく包み込んでいる女子高校生のトモエはフランソワーズが作り出したAR(彼女がジョーの脳にプログラミングした拡張現実)だと言うことからも考えられる。

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まあこれは見る人がかってに考えればいいことかな。

しかし、しっくりこないファンも多いみたいだ、もう少し分かり易くしてもよかったのかな。

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今、フル3DCG最新作の「CYBORG009 CALL OF JUSTICE」「第一章」「第二章」「第三章」が封切られている。全くの新しいストーリーだ、今度は「ブレスドと呼ばれる超能力者」との闘いが描かれる。

果たして新しい作品の出来はどうなのかな・・・?(まあまあでした)

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