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海外ドラマ「ウエストワールド シーズン2」感想・評価:フォードの死の真相とドロレスの目的を解説する

サマリー


★★★☆☆(お薦め)

2016年 スター・チャンネルにて日本公開のアメリカ製作テレビドラマ SFスリラー シーズン2
製作 ジョナサン・ノーラン(ウエストワールド)
脚本 LISA JOY(ウエストワールド)
原作 マイケル・クライトン「ウエストワールド」
出演 ●アンソニー・ホプキンス(羊たちの沈黙レッド・ドラゴンノア約束の舟ドラキュラマイティ・ソー バトルロイヤルウエストワールド
●エド・ハリス(アポロ13、スノーピアサージオストームウエストワールド
●エヴァン・レイチェル・ウッド(ウエストワールド)
●タンディ・ニュートン(ミッション:インポッシブルⅡ、ウエストワールド)
●ジェフリー・ライト(007慰めの報酬、ミッション:8ミニッツ、ハンガー・ゲームシリーズ、ウエストワールド)
●ジェームズ・マースデン(X-MEN、きみに読む物語、スーパーマン リターンズ、ウエストワールド)

「ウエストワールド シーズン2」予告編

 

退廃的なドラマだ。人間の本性は「暴力」と「セックス」なのか?力を持ったAI(ロボット)が凄いスピードで進化してゆく。そして「ウエストワールド」を乗っ取るだけでなく人間の社会も手に入れようとしている。まるでロボット版「猿の惑星」だ。

量子コンピューターは一般コンピューターの1億倍の処理能力を持っている。これが実用化され、人間の魂がサーバーなどにコピー出来れば人間は永遠の生命を得ることが出来る。今は夢でも現実になる日が必ず来る。しかし、永遠に死ねないとなったら、そんな世界に魅力なんてあるのだろうか・・・「トランセンデンス」の世界だ。

巨大なテーマパーク「ウエストワールド」では外見は人間と変わらないホストと呼ばれるロボットが何千体もいる。彼らはここに来るゲストと呼ばれる人間をもてなす。ゲスト達は大金を持ってここにウサバラシに来る。

この世界ではゲストは何でも出来る。ホストを撃ち殺してもレイプしてもおとがめ無しだ。人間の本性がむき出しになる或いは人間の本性をむき出しに出来る場所なのだ。シーズン1「ウエストワールド」をまず観てほしい。

シーズン1の最後では、フォード(アンソニー・ホプキンス)によって再プログラミングされた第一世代のロボットが人間を襲う。そしてそのフォードもホストのドロレス(エヴァン・レイチェル・ウッド)に撃ち殺されてしまう。そう考えると「シーズン1はロボットの叛乱」と言える。

シーズン2はロボット(ドロレス)が人間社会へ紛れ込むまでが描かれる。とすると、シーズン3はロボットが人間社会を乗っ取ろうとする行動に出るのか?

製作のジョナサン・ノーランは「シーズン1」は哲学的な要素が盛り込まれ理解するのに少々難しすぎた。「シーズン2」はもっと分かり易くしたいと言っていたが、「シーズン2」の方が余計に分かり難いじゃないかと言いたい。

幾つかのストーリーが平行したり交差したりと進む、また時間が過去と現在を行き来し複雑だ。主に4つのストーリーが軸だ。これらのストーリーの中に伏線や引っ掛けがばら撒かれている。ダマされないように。

●ドロレスとテディ(ジェームズ・マースデン)は多くのホストを扇動して人間達やホストまでも殺し、「彼方の谷」に向かう。そして外の世界に出ようとする。
●メイヴはヘクター達とともに自分の娘を探し回る。「将軍ワールド」にも足を踏み入れる。
●「ウエストワールド」の責任者シャーロット(テッサ・トンプソン)は反乱を制圧してテーマパークの秩序を取り戻そうとする。バーナード(ジェフリー・ライト)も随行する。
●ウイリアム(エド・ハリス)はフォードのゲームを始め、「彼方の谷」に向かって進む。

「将軍ワールド」は本筋ではなく、トピックス的なのでここではあまり触れない。さて物語の結末はどうなって行くのか。あっと驚くどんでん返しとなるのか。

冒頭、アーノルド(外見はバーナードと同じ)はドロレスに恐怖を感じる。あまりに学習のスピードが速いためだ。人間はもう進化しないがAIは凄いスピードで進化を続ける。そのうち人類の脅威になるのでは・・・。

ストーリー

ドロレスとテディ

ドロレスとテディ達は人間を撃ち殺し「彼方の谷」に向かう。ドロレスは自分をワイアットと名のり、殺人集団を引き連れ道を急ぐ。ドロレスが残酷な殺人者に変貌してゆくのを恋人テディは恐怖の目で見ている・・・。

メイヴとヘクター

メイヴはかつて自分の娘だった少女を探す。ヘクターが寄り添い協力をする。そしてこのテーマパークで最も血なまぐさい「将軍ワールド」に踏み込む。そこにはムサシ(真田広之)とアカネ(菊池凜子)がいた。将軍(篠塚勝)とその軍勢との戦いはいかに・・・。

シャーロットとバーナード

デロス社の本部から送り込まれたシャーロットは難を逃れる。シャーロットはバーナードと行動を共にし、彼女しか知り得ない秘密の基地に潜入する。ここでは信じられない研究が行われていた。

それはテーマパークに来たゲスト(人間)達の行動パターンとDNAを採取し、そのデーターを集積していたのだ。そしてそのデーターのアクセスキー(復号鍵)をピーター・アバナシーの脳に記憶させ、密かに園外に持ちだそうとしていた。

ウィリアムとローレンス

ウィリアム(エド・ハリス)は無法者ローレンスとともに旅を続ける。彼はアーノルドのゲームを達成させ、今度はフォードのゲームを始める。フォードから「彼方の谷」に向かうよう指示される。

ウィリアムはこのパークのオーナーだ。彼は30年以上このパークに通い詰め、自分が「殺人鬼」であることに目覚めてゆく。

ネタバレ


ドロレスとテディは邪魔する警備兵やホスト達を撃ち殺し、「彼方の谷」に向かって進む。途中、中央制御室に捕えられているドロレスの父ピーター・アバナシーの脳からキーを手に入れる。ところが、あと一歩と言うところでテディは自殺してしまう。自分が殺人鬼になってしまったことに耐えられなくなったようだ(しかし、ドロレスが彼の脳データーを持っていることから、将来甦るのか?)。

メイヴとヘクター達は最も血なまぐさい「将軍ワールド」を脱出する。メイヴは他のホストを操る能力を得ていた。彼女の目的はかつて自分の娘だった少女に会い、彼女を守ることだった。彼女も「彼方の谷」を目指す。

シャーロットはバーナードと行動を共にし、ピーター・アバナシーを探し出し、彼の脳からキーを取り出そうとしたとき、突如現れたドロレスにキーを奪われる。

シャーロット・ヘイルが最も最優先させたのは、パークが開業し30年間の間に来場したゲスト400万人の脳のコピー・データーと遺伝子情報を本土に送ることだった。パークの所有者デロス社はこれらのデーターを使って人間を永遠に生かすことを研究していた。バーナードは単独で「彼方の谷」を目指す。

ウィリアムもフォードのゲームに導かれ、「彼方の谷」を目指す。途中、自分を救出しにきた娘エミリーをホストと勘違いして撃ち殺してしまう。そしてドロレスと合流するも彼女を撃ち殺そうとし、逆に大けがを負ってしまう。

ドロレスと合流したバーナードは「彼方の谷」の近くにある巨大な「鍛冶場」と呼ばれる所に到達する。この「鍛冶場」には膨大なサーバー群が設置されており、ゲスト400万人分のデーターが保管されていた。ドロレスはキーを使ってこのサーバーにアクセスし、データーを全て消去しようとする。

バーナードはドロレスのこの行動を阻止するため彼女を撃ち殺す。「彼方の谷」を目指したホスト達は自由を求め谷から身を投げる。彼らの体は無くなってしまうが魂だけは「鍛冶場」に保存される。そのデーターは人間たちに見つからないところに転送される。

バーナードはドロレスを撃ち殺したのは間違いと気付き、彼女を再生させる。しかし、その外見はシャーロット・ヘイルだった。ドロレスの魂を持ったシャーロットは本物のシャーロットや警備兵、バーナードを撃ち殺し、本土から救助に来た飛行機で人間社会へと紛れ込む。

彼女はアーノルドの邸宅に現れ、そこに備え付けられてある設備によって、ドロレスとバーナードを再生させる。シャーロットは「ウエストワールド」を離れる時に数人のホストデーターをカバンにこっそりと持って出たのだ。

ドロレスは人間社会を焦土にしようと行動してゆくだろう。しかし、アーノルドやフォードの精神を受け継いだバーナードは彼女の行動を阻止しようとするのか・・・。

レビュー

「ウエストワールド シーズン2」も面白いけど複雑で難解だ。僕の予想を裏切って何回もどんでん返しがあり先が読めない。バーナードの視点で見るストーリーは過去・現在が入り交じっていて頭を悩ます。何故なら彼の記憶はバラバラに分断され、人間たちに彼の行動や意志を掴めないようにしているからだ。

フォードは何故ドロレスに殺されたのか。フォードの盟友アーノルドはドロレスに拳銃を持たせホストを皆殺しにし、自分も打ち殺すようプログラミングしていた。ドロレスを作ったのはアーノルドだ。彼は彼女の成長の速さに恐怖を感じていた。

フォードは第一世代のロボットたちを使ってゲスト(人間)を襲わせる。その時、ドロレスに後ろから撃たれ死んでしまう。しかし彼の魂はホストたちのデーターベース「揺りかご」の中で生き続ける。フォードは自分が撃ち殺されるかも知れないと予想していたがドロレスの自由意思に任せたと言っている。

バーナード(アーノルドの脳データーを基盤にしている)はフォードが創り、ドロレスに何回もテストされる。したがってバーナードはドロレスによって育てられたと言ってもいいかもしれない。

ドロレスの目的は「ウエストワールド」を自分たちのものにするだけではなく、人間社会も支配しようと企む。人間社会を焦土化し復讐しようと考えるがバーナードはこれを阻止する方にまわる。ロボット同士だがシーズン3では敵対してゆく関係になるのか。

人間も負けてはいない、自分たちの脳データーをロボットに移植して永遠に生きようとする。しかし現状では、人間のデーターをロボットに移植した場合、周囲の環境になじめず失敗を繰り返している。

シーズン3ではロボット(AI)と人間の戦いだけでなく、両者のハイブリッドが絡んでくるのか見ものだ。シーズン2の最後にウィリアムと彼の娘エミリーが出て来る。かなりの時間が経過しているようだ、ウィリアムもデロスと同じようにエミリーにテストされている。

ウィリアムは死んだのか、そして彼を甦えさせようとしているのか、死んだと思われたエミリーはロボットなのか?(ドロレスがウィリアムの監視役として作ったのか?)ますます頭が混乱してくる。この人騒がせなドラマに目が離せない。

TATSUTATSU

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