サマリー
★★★★☆(見るべき名作)
2020年10月23日からNetflixで放映された全7話の海外ドラマ
監督・脚本 スコット・フランク(クイーンズ・ギャンビット)
原作 ウォルター・デヴィス「クイーンズ・ギャンビット」
出演 ●アニャ・テーラー=ジョイ(ウィッチ、モーガン プロトタイプL-9、スプリット、ミスター・ガラス、クイーンズ・ギャンビット)
●トーマス・ブロディ=サングスター(メイズ・ランナー、メイズ・ランナー2:砂漠の迷宮、メイズ・ランナー:最期の迷宮、クイーンズ・ギャンビット)
https://youtu.be/EC5EqT70Cgg
見始めたら止まらない、あっという間に最後まで見てしまった。天才女性チェス・プレイヤーの物語だ。彼女は9歳でチェスを覚え20歳で頂点を極める。しかし、「才能の裏に代償がある」「天才と狂気は紙一重」と言われるように勝負に勝ち続けるにしたがって孤独になってゆく。そして薬物とアルコールにおぼれる。題名の「クイーンズ・ギャンビット」とはチェスの戦術のことだ。
実在のチェスの天才と言えばボビー・フィッシャー(完全なるチェックメイトを参照のこと)が有名だ。彼は6歳の時チェスを知り、14歳でインターナショナル・マスター、15歳でグランド・マスター、そして1972年23才の時に世界チャンピョンとなる。しかし、彼も破滅型天才で変人だった。
「ボビー・フィッシャー」
このドラマはボビー・フィッシャーを女性に置き換えた物語と言える。天才は努力をしてもなれるものではない、だから魅力があるのだ。まず最低条件は「天才の家系に生まれること」そしてその中から真の天才が現れる。
彼女は天才ゆえに狂気に襲われる、唯一逃げる場所は64マスの世界だけだ・・・チェスは限りなく美しい。他の女の子が興味を持つものにはまるで関心が無い。別世界に生きているようだ。いつかは一人になる、そのために備えておかなければならない・・・そんな強迫観念に常に襲われる。
アニャ・テーラー=ジョイのドングリのような大きな目が演技する。目の動きによって彼女が何を考えているかが分かる。そしてこのドラマの魅力はストーリーを言葉でなく映像で見せてくれる。さらに音楽とファッションが素晴らしい。
アメリカの1960年代が舞台になっている。古き良き時代に男の中にただ一人で放り込まれた少女。でも彼女の才能は男たちの生気を吸い取ってどんどん花開いてゆく。彼女に出会った男たちは自分の限界を知らされ、チェス人生に別れを告げる。
天才とは残酷なものだ、自分は天才だと思っていた男たちに自分が凡人であることを再認識させてしまう。しかし、そんな彼女が初めて好きになった男はゲイだった。さああなたも主人公のベスに感情移入しチェスのワールドチャンピョンを味わってみたら。チェスを知らなくっても全く問題ない。
話のスジを少し紹介すると。9歳のベス・ハーモン(アニャ・テーラー=ジョイ)は交通事故で母親を失い、養護施設に引き取られる。そこでは、栄養剤と一緒に精神安定剤を毎日飲むことになっていた。ところがこの精神安定剤の過剰摂取によって依存症になってゆく。
ベスはこの環境には何故かなじめなかったが用務員のシャイベル(ビル・キャンプ)さんと仲良くなりチェスを教えてもらう。ベスは毎夜ベッドに寝転がり、天井をチェス盤にしてチェスを楽しむのが日課になっていた。
暫くして、彼女はシャイベルを負かしてしまう。そして彼の知人でチェスの名人でさえ彼女にはいちころだ。男たちはベスの能力の凄さに目を見張る。14歳になったベスはウィートリー夫妻に引き取られる。ところが養父が旅先で拘留され、生活が困窮する。
養母のアルマ(マリエル・ヘラー)はベスのチェスの才能に目をつけ、大会に出場させ賞金を得て窮地をしのぐ。そして州チャンピョンのベルテック(ハリー・メリング)を倒し、天才少女として脚光を浴びる。
彼女はラスベガスの全国大会に出場し決勝戦まで行くがベニー(トーマス・ブロディ=サングスター)に敗れる。彼女が負けたのは初めてだ。しばらくしてメキシコ大会に出場した彼女は世界最強のボルコフにも負ける。さらにこの地でアルマが突然死する。ベスは薬物と酒におぼれるようになる。果たして彼女は立ち直ることが出来るのか・・・。
TATSUTATSU
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