サマリー
★★★☆☆(お薦め)
2019年1月日本公開のアメリカ製作大ドンデン返し系SFスーパーヒーロー映画
監督・脚本・製作 M・ナイト・シャマラン(シックス・センス、ヴィジット、ウェイワード・パインズ 出口のない街、ミスター・ガラス)
出演 ●ブルース・ウィリス(ダイハードシリーズ、12モンキーズ、ミスター・ガラス)
●ジェームズ・マカヴォイ(X-MEN:シリーズ、トランス、スプリット、アトミック・ブロンド、ミスター・ガラス)
●サミュエル・L・ジャクソン(スター・ウォーズシリーズ、アベンジャーズシリーズ、キングスマン、キングコング:髑髏島の巨神、ミスター・ガラス)
●サラ・ポールソン(ペンタゴン・ペーパーズ、オーシャンズ8、ミスター・ガラス)
●アニャ・テイラー=ジョイ(ウィッチ、モーガン プロトタイプL-9、スプリット、ミスター・ガラス)
●スペンサー・トリート・クラーク(ミスター・ガラス)
まず、この映画を観る前に2001年に公開された「アンブレイカブル」と2017年に公開された「スプリット」を見ておくと分かり易い。けっこうマニアックなドラマだからだ。
「アンブレイカブル」⇒ コミックのコレクター、イライジャは骨形成不全症と言う難病を持っている。やわな体を持っている自分に対し不死身の肉体を持つスーパーヒーローがいると考える。そしてその男デヴィッドを見つける。
「スプリット」⇒ 23もの人格を持つ多重人格のケビンは3人の女子高校生を誘拐する。そして24番目の人格ビーストが現われる。このビーストは野獣であり、鉄格子を曲げ、弾丸も体を貫通しない恐ろしい人格だった。
自分はスーパーヒーローだと信じて疑わない3人の男がフィラデルフィアの精神病院に集められる。超頭脳を持ったイライジャ:ミスター・ガラス(サミュエル・L・ジャクソン)と多重人格のケビン(ジェームズ・マカヴォイ)、壊れない不死身の肉体と悪を察知する能力を持ったデヴィッド(ブルース・ウィリス)だ。
精神科医のエリー・ステイプル(サラ・ポールソン)はこの世の中にスーパーヒーローなど存在するはずがないと彼らの妄想を打ち砕こうとする。そして彼らに正常な生活を送らせるため独房に監禁する。
イライジャには鎮静剤が投与されうつろな状態だ。ケビンが鋼鉄の体を持つ野獣ビーストに変身しないようフラッシュライトが部屋に用意されている。デヴィッドは子供のころプールでおぼれそうになったことから水が弱点だ。シャワーが噴射されれば神通力を失う。
果たして、彼らは本当にスーパーヒーローなのか、それとも妄想なのか、エリー・ステイプルの研究が始まる。しかし、彼女は禁断の世界に足を踏み入れてしまう。果たしてどんな結末が待っているのか・・・・。
僕のようなマニアにとってはもの凄く面白い映画だ、しかし一般受けするかは疑問だ。僕はM・ナイト・シャマラン監督だから大ドンデン返しがあると踏んでいた。しかし、さらにダブルのドンデン返しがあるのか?
製作費2,000万ドルは監督が自費で賄ったそうだ。自分の思い通りの映画が撮りたかったようだ。全米の興行予想は4日間で7,000万ドルを超すと考えられている。
この映画は結末がキモだ。ネタバレを見てしまうと面白さが半減する。映画館に行く人は以下は見ないように・・・。
その後のストーリーとネタバレ
イライジャは厳重な独房のドアを簡単に開けることが出来る。一見、鎮静剤が効いているように見えるが彼は薬を飲むふりをしていただけだ。
彼はケビンの独房に入り込み「チームを組もう」と呼びかける。そして新たに建った高層ビルの屋上でデヴィッドと闘ってその力を世界に示してやれと言う。
次の日、二人とも独房を抜け出し、地下通路を通って施設から出ようとする。出る前にイライジャはデヴィッドに向かって「新しく建った高層ビルに来い」「もし来なければビルに毒ガスを流す」とマイクで伝える。さらに、「お前ならそのドアを破ることが出来るはずだ」と。
地下通路を逃げようとするイライジャとケビンを監視カメラで見つけたエリー・ステイプルは特殊部隊を呼ぶ。二人を止めようとデヴィッドが立ちふさがる。武装した特殊部隊が到着し、三つ巴の戦いだ。
「ビースト」に変身したケビンとデヴィッドとの闘いは互角だ。両者譲らない。その時ステイプルが「お父さんを殺したのはイライジャだ」と「ビースト」に告げる。列車の大事故はイライジャがデヴィッドを見つける為に仕組んだ事故だ。この事故の唯一の生存者が不死身のデヴィッドであり、ケビンの父親は巻き込まれて亡くなっていた。
その事実を知った「ビースト」はイライジャを攻撃し致命傷を負わせる。そして「ビースト」はデヴィッドを給水タンクに引きずり込み彼の弱点である水中で戦う。デヴィッドは壁を叩き壊して、辛うじて外へと逃げる。
弱ったデヴィッドを特殊部隊は水たまりに顔を押さえつけ溺死させる。イライジャも口から血を吐き絶命する。「ビースト」は駆け寄ってきたケイシー(アニャ・テイラー=ジョイ)に抱きつかれ、ケビンへと戻る。その時、特殊部隊に射殺される。
デヴィッドが溺死する直前に近づいて来たステイプルの手首に四つ葉のクローバーの刺青を見る。そして彼女の手に触れた瞬間、彼女の正体を知る。
エリー・ステイプルは秘密組織のメンバーだった。彼女たちは世界中に現れるスーパーヒーローやダークヒーロー達を矯正する使命を帯びていた。独房に閉じ込め、矯正できなければ殺害し、世の中から秘密裏に排除するのが役目だ。
エリー・ステイプルは全ての情報を削除し、これで終了かと思った瞬間。監視カメラに写ったスーパーヒーロー達の戦いがネットを通じて世界中に送信されているのに気が付いた。万事休すだ、エリーは大声で「ちくしょー」と叫ぶ。
イライジャ:ミスター・ガラスが自分の命を懸けて仕組んだ最後の反撃だったのだ。ミスター・ガラスはすべてを知り尽くしていた・・・。
レビュー
残念ながら主役3人が全員死んでしまう。バッドエンドだ。この結末は予想がつかなかった。そしてスーパーヒーロー達を抹殺する組織があるとは・・・いっぱい食わされたね。
M・ナイト・シャマランの脚本は視聴者を予想もつかない結末へと持ってゆく。発想の豊かさに脱帽するが駄作も多い。上がり下がりの大きな監督だ。しかし、最近では「ヴィジット」「スプリット」「ミスター・ガラス」と復調してきている。
超能力者と一般人との線引きはどこにあるのかあいまいだ。世の中には「霊感の強い人」「感が働く人」「相手の考えを読める人」「近未来をピタリと当てる人」「博打に強い人」・・・・などいろいろある。
エリーが「デヴィッド、あなたはメンタリストで超能力者ではない」と指摘した。しかし、デヴィッドは相手に触れることによって相手の素性を見抜くことの出来るエスパーだった。
また、ケビンは人格が変わることによって肉体も変わる。糖尿病の人格が出た場合、インシュリン注射が必要な肉体に変わってしまう・・・これは実例があるらしい。精神は肉体をも変えてしまう、昔からよく言われる「病は気から」に一致する。
最期に、超能力者たちのバトルが映像としてネットに流されるがCG全盛の今、何人の人間が信じるか不明だ。やはり目の前で実物を見ないと信じられないね。
TATSUTATSU
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