ホラー

映画「ヴィジット」感想・評価‐おじいちゃんおばあちゃんは悪魔なのか宇宙人なのか?

サマリー


映画『ヴィジット』予告編

ご存知M・ナイト・シャマラン監督と言えば、大どんでん返し系映画の巨匠だね。

彼の作品はけっこう当たり外れが大きく、今回の作品も賛否両論が出ると思う。ハンディビデオカメラを多用した低予算(約5億円)映画だ。

彼の作品を酷評する人が結構いる。確かに「なに、これ!」映画も多いが大ヒットした作品も無いことはない。奇抜なアイデアが先行して、物語に深みがないとか、物語のつじつまが合わないとか言われている。

でも彼の様な変わった監督1人ぐらいは、ハリウッド映画界にいてもいいんじゃないかな。

シャマラン監督
M・ナイト・シャマラン監督

2015年のアメリカホラー映画で、シャマランは監督・脚本・製作を担当している。低予算の理由は、この映画を彼は思い通りに作りたかったかららしいね・・・・何処からも邪魔が入らないように。

僕としてはやや不満(スジに無理がある)が残るものの、まあまあな作品かなと思う。

原題の「THE VISIT」とは「訪問する」と言う意味だね、可愛い孫二人がおじいさんとおばあさんを訪問するってことだね。

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おじいさん、孫とおばあさん

15才の姉と13才の弟が2人だけで、母の両親の家に1週間遊びに行く。おじいさんもおばあさんも大歓迎してくれる。

ところが祖父母から3つの約束をさせられる。

1.「楽しい時間を過ごす事」

2.「好きなものは遠慮なく食べること」

3.「夜の9時半以降は決して部屋から出ないこと」

2人とも約束を守っていたが、夜になると家の中が騒がしいことに気づく。

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ドアを少し開けてみると、おばあさんが壁をかきむしっていたり、包丁を持って家じゅうを歩き回っているのを見てしまう。

また、おじいさんも昼間、納屋の中で猟銃の銃口を口にくわえたり・・・不思議なふるまいをする。そして地下室には絶対に入るなと厳しく言われる。

2人は夜中に何が起こっているのか知りたくて、ビデオカメラをこそっとセットする。

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録画を再生してみるとそこには「あっと」驚く、戦慄すべき映像が写っていた。

果たして祖父母には悪霊が乗り移っているのか、あるいは宇宙人が人間の皮をかぶっているのか観てのお楽しみだね。

ヒントとして大ドン返しのさらに大ドン返しで・・・・結論を知ったらやや興ざめだね。

 

ストーリー

シングルマザーのママ(キャスリン・ハーン)は19才の時に男と家出をして15年間も実家に帰っていない。

先日両親から二人の孫、ベッカ(オリビア・デヨング)とタイラー(エド・オクセンボールド)に会いたいと連絡が来た。

子供たちは、ペンシルバニアに住む祖父母の家に行ってもいいとのことで、一週間の予定で出掛けることになった。

姉のベッカはこの旅を記録映画にしたいらしい、ハンディカメラを常に手放さない。

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ペンシルバニア州のメイソンビル駅に月曜日の朝到着した二人を、おじいちゃんとおばあちゃんが迎えに来てくれた。

今日から二人が泊まる家は、郊外の林に囲まれた場所にあり、周り一面は雪が降り積もり銀世界だ。

おじいさんは二人が今日から泊まる二階の部屋に案内してくれた。そしておじいさんから「地下室はカビだらけで汚いから入ってはいかん」と言われた。

また、夜になっておじいさんが部屋に来て「9時半には必ず寝なさい」と念押しされた。

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ベッカはお腹が空いて、部屋から出て食堂に行こうとした時、下ではおばあさんが嘔吐しながら奇声を発し部屋を歩き回っているのを見てびっくりして部屋に戻ってしまう。

火曜日の朝、昨日の出来事をおじいさんに話した。おばあさんは胃腸の調子が悪かったが一日で治った、心配するなと言われた。

地元の医師が家を訪ねてきて、先日ボランティアの相談員を無断欠勤されたが問題ないかとベッカに質問した。

両祖父母とも散歩の時間でいないけど、特に変わったことは無いと返答した。

医師は帰りがけに、病院で騒動があったと伝えてほしいと言い残して帰って行った。

おじいさんが納屋に何か隠しているのを見て、タイラーは調査に入る。

納屋の中には汚物の付いた多量の紙おむつが山積みされていた。潔癖症のタイラーは叫んで納屋を出る。

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おばあちゃんが言うにはおじいちゃんは失禁症と言う病気だと教えてくれた。恥ずかしいから納屋に隠して、後で燃やしてしまうようだと・・・おじいちゃんを理解してあげてほしいと言われた。

おじいさんはメイプル・シェイド病院のボランティア相談員をしている。ドライブの途中、おじいさんは通りを歩いて居る人に突然殴り掛かる。

自分を監視している人間と勘違いしたようだ。

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火曜日の夜、階下から変な音がした。二人とも恐る恐るドアを開けてのぞいてみると。全裸のおばあさんが壁をかきむしっていた。

水曜日の朝、昨日のことをおじいさんに話をした。おじいさんが言うにはおばあさんは「日没症候群」と言う「認知症」で夜に症状が出るとのことであった。

夜の9時半以降は部屋から絶対に出るなと厳しく言われた。

その夜、また階下から部屋を走り回る足跡が聞こえてきた。ドアを少し開いてみると、おばあちゃんが床をはいずり回ったり、走り回ったりしているのが見えて思わずぞっとした。

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木曜日の朝、祖父母と散歩に出かけた、途中おばあさんは井戸を見てじぃーとしている。後で井戸を調べたが何もなかった。

おばあさんが壁を見て大笑いしている。話しを聞いたら「暗闇さん」がいると言う。「暗闇さん」を洞窟に閉じ込めるためには笑わなきゃダメだと言う。

おじいさんを家畜小屋で見つけた時、おじいさんはライフルの銃口を口に当てていた・・・銃の掃除だとごまかす。

おじいさんもおばあさんも完全にいかれている。居間に隠しカメラをセットする・・・夜には何が起こっているのか見るためだ。

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夜になると、おばあさんの奇行が始まった。

今度は台所から包丁を持って階段を上がってくる。二人の部屋をたたく。

金曜日の朝、カメラを再生した結果だ・・・もうここにはいられない。

おじいさんから不思議な話を聞く。それは工場の夜勤の時、「目が黄色く、白い物が走り回るのを見た」と言う。誰に話しても信じようとしなかった。それが原因で会社をクビになった。

ベッカはおじいさんの病気を「遅発性統合失調症(精神分裂病)」だとネットで調べる。

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ステイシーと言う女性が祖父母を訪ねてきた、彼女は祖父母と言い争いをしているようだ。彼女は帰った形跡は見当たらなかったがいなくなっていた。

あばあさんもベッカに不思議な話をする。あるところに池があって生き物が住んでいた。その生き物は宇宙から来たらしい。

生き物たちは一日中水に唾を吐く、唾は人を眠らせる。池にもぐった人々は深い眠りにつく。生き物たちは大勢の人を池の底に蓄えている。

故郷のシンモフィテリア星連れてゆくために・・・・創作話よ、実話じゃないと付け加える。

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祖父母にママの話を聞こうとしたが、二人とも何故か話したがらない・・・おかしい。

二人はママとスカイプで話す、そしてママにすぐに車で迎えに来てほしいと頼む。

祖父母達の様子がおかしい、パソコン経由で祖父母の動画を送ったところ、それを見たママは「私の両親とは違う人物だ」とびっくりする。
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そして地元の警察に電話するが、出払っていて警官は誰もいない。

ママは子供たちに、車ですぐに駆け付けるから「その家をすぐに出て、近所の家に助けを求めなさい」と不安な顔で話す。

果たして祖父母と思っていた人物は何者なのか、そして二人は無事に家から逃げれるのか、後は映画を観てね。

映画「オールド」感想・評価:急速に年を取ってゆく謎のプライベート・ビーチ

ネタバレ

<ここから先はネタバレするから映画を観てから読んでね>

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おじいさんが家に入ってきて、今日は最後の夜だからボードゲームをやろうと言う。

ついに夜が来てしまった。

二人は台所のドアから外に出ようとしたところ、首をくくられて木からぶら下がっているステイシーらしい女性を家の外で見かけ腰を抜かしそうになる・・・そこにおじいさんが突然現れる。

二人はしょうがなく得体のしれない老人たちとボードゲームをやるはめになってしまった。

ベッカはカメラの電池が残り少なくなったと言って、ゲームから一人抜け出す。

おじいさんは突然失禁したらしく、立ち上がってその場を立ち去る。おばあさんはクッキーをむさぼるように食い始める・・・いやな雰囲気が流れる。

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ベッカは地下室に本当の祖父母が捕らわれているのではないかと、地下の階段を下りてゆく。

そこには血の付いた金づちと本当の祖父母の死体が地下室の隅に隠されていた・・・ベッカは悲鳴を上げそうになる。

そこにおじいさんが現れ、シンモフィテリア星へは井戸を通ってしか行けない。お前も井戸に沈める、一緒に死のうとベッカを捕まえおばあさんの部屋に監禁する。

おばあさんは唸り声を上げてベッカに襲い掛かってくる。

リビングにいるタイラーは腰が抜けて動けない。おじいさんはズボンを脱いで失禁した紙おむつを取り外し、うんこをタイラーの顔に塗りつける。

もう絶体絶命だ。

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ベッカはおばあさんによって鏡に頭を打ち付けられる。ベッカはとっさに鏡の破片で襲ってくるおばあさんを何度も突き刺す。

おばあさんは倒れて動かなくなる。

ベッカはおばあさんの部屋を抜け出し、タイラーのいるリビングに駆け付ける。そしてタイラーを救おうとおじいさんの後ろから飛びかかる。

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ベッカはおじいさんに跳ね飛ばされる。それを見ていたタイラーはおじいさんに飛びかかり倒れたところを冷蔵庫のドアで頭を何度もはさむ・・・おじいさんも動かなくなる。

家から出たところ、警察のパトカーが到着し、車からママが飛び出してくる。そして二人を抱きしめる。

 

レビュー

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ベッカとタイラーの孫二人は祖父母を精神病の殺人鬼とは知らずに本当のおじいちゃん、おばあちゃんだと思って一週間過ごす。

でもママの実家を訪問するのに、本当のおじいちゃんとおばあちゃんの顔を知らないなんておかしいよね。それにママもついてこないなんて、スジに難がある・・・まあ、しょうがないか。

夜中に悪魔が乗り移ったかのようにおばあさんが奇怪な行動をする・・・ここは確かに怖いね。おじいさんも白い生き物が見えるとか、訳の分からないことを口走る。

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最初は祖父母が何(悪霊とか宇宙人とか)かに取り付かれているのかと思った・・・・ここはまんまとシャマラン監督に引っ掛かったね。

それに二人とも本当の祖父母ではなかった、精神病院から脱走してきた精神病老夫婦だ・・・・最初からシャマラン監督にいっぱいくわされていたわけだ。

結局大どんでん返しを二回食らったことになる・・・・こりゃまいったね。

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家の基礎部分の狭い空間で孫二人の鬼ごっこが始まる。ここでおばあさんが突然現れ、獣の様に狭い空間をはいずり回る・・・異常な行動を見せる。

また、おばあさんは孫娘に、オーブンの掃除をしろと中に閉じ込めるそぶりを見せる。これなんかはある意味肩すかしだね・・・・結末を盛り上げるための細工だ。

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ネットで調べるとおばあさんが病んでいる「日没症候群」と言う認知症の病気があるようだね。また、おじいさんの「遅発性統合失調症(精神分裂病)」と言う深刻な病気もある。

でも精神病患者が他人を殺害するような行動をとることが本当にあるのかな・・・かなり大げさだね。確かに外見を見ただけでは精神病とは判断つかない場合があるね。

今回の映画は結末を観たらややがっかりだが、大どんでん返し映画と分かっていながら、シャマラン監督に引っ掛けられるとは悔しいね。

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ナイト・シャマラン監督の作品紹介

特に有名なのが「シックス・センス」(1999年)だね、ブルース・ウィリス(ダイ・ハードシリーズ)が主役で幽霊が見える少年の悲劇を描いている。

この作品が大ヒットし、アカデミー賞にもノミネートされたことから、シャマラン監督は世界的に知られるようになった。

この映画はさすがに面白いね、シャマラン監督の出世作だから是非観ることをお薦めするね。

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次に「アンブレイカブル」(2000年)だね、これもブルース・ウィリスが主役だ、不死身の体と危険予知能力を持った人間が描かれる。

サミュエル・L・ジャクソン(キングスマン)が狂信的な悪役を演じる。彼はコミックに出てくるようなスーパーヒーローが必ず実在すると考え、恐ろしい方法で不死身の人間を探してゆく。

この映画も大ヒットし、大変面白い。

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更に、「サイン」(2002年)はメル・ギブソン(マッドマックスシリーズ)とホアキン・フェニックスが出演している。これも大ヒットした。

一家を襲ってくる宇宙人との闘いが描かれている。ある「サイン」によって宇宙人による地球侵略を予知した主人公たちが、一家で協力し凶暴な宇宙人を撃退する。

監督はヒッチ・コック「」へのオマージュ作品と白状している。

この作品を僕は十数年前に映画館に観に行った、なかなか面白かったと記憶している。

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2004年の「ヴィレッジ」は興行的には大ヒットしたが、批評家の評価は賛否両論で二つに割れた。深い森によって外界と全く遮断された小さな村の出来事が描かれる。

深い森には魔物が住んでいて、入ることは許されない。

僕にとってはまあまあな映画かなと思うよ・・・。

村人たちは、文明の進歩から何百年も取り残された自給自足の生活だ、しかし彼らの世界から少し離れたところは、飛行機が空を飛び、車が走る現代社会だった。

主な俳優は、ブライス・ダラス・ハワード(ジュラシック・ワールド)、ホアキン・フェニックス(her/世界でひとつの彼女)、エイドリアン・ブロディ(戦場のピアニスト、プレデターズ)である。

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シャマラン監督はこの後の作品からやや低迷するね。「レディ・イン・ザ・ウォーター」「ハプニング」「エアベンダー」では酷評されている。

特に「レディ・イン・ザ・ウォーター」では第27回ゴールデンラズベリー賞で最低監督賞と最低助演男優賞を受賞している。

最近ではテレビドラマ「ウェイワード・パインズ出口のない街」の製作総指揮をしている。なかなか面白い作品だと思う(突飛な内容ではあるが)。

マット・ディロン主演で、外界から電気柵で隔離されたオールドファッションタイプの街だが、現代から2000年の時が経過している、何故なのか、そしてこの街には大きな秘密が隠されている。

このブログに詳しく記事が載っているので観てね。

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