ホラー

映画「遊星からの物体X」感想・評価:細胞単位の地球外知的生命体に乗っ取られる人間の中身がグロい

サマリー


★★★☆☆(お薦め)

1982年日本公開のアメリカ製作SFホラー
監督 ジョン・カーペンター(ハロウィン、ニューヨーク1997遊星からの物体Xゼイリブヴァンパイア/最後の聖戦
原作 ジョン・W・キャンベル「影が行く」
出演 ●カート・ラッセル(ニューヨーク1997遊星からの物体X、バニラ・スカイ、バーニング・オーシャン
●キース・デイヴィッド(遊星からの物体Xゼイリブ、クラウドアトラス)

『遊星からの物体X』デジタル・リマスター版予告編

宇宙人がグロテスクな正体を現す。

遊星からの物体X ノリスが化ける

 

1982年に劇場で見た。あまりの気持ち悪さに背筋が寒くなった記憶がある。もう40年近く前の映画だがいまだにSFホラーの古典として輝き続けている。古い作品だけどデジタル・リマスター版が出ているので画質も問題ない。

1974年ウィリアム・フリードキン監督「エクソシスト」、1979年リドリー・スコット監督「エイリアン」とともに「夜中にトイレに行けないベスト3」と言える。また、この映画の公開後スパゲティが食べれなくなった人が続出した。

監督はホラー界の巨匠ジョン・カーペンターだ。「ハロウィン」「ニューヨーク1997」「遊星からの物体X」「ヴァンパイア/最後の聖戦」など独特のセンスを持っている。彼は1951年製作の「遊星よりの物体X」に感銘を受け、30年後にこのリメイク版を作っている。

ホラーの「怖がらせ要素」を完璧に兼ね備えた、まさにホラードラマの教科書だ。舞台は氷に閉ざされた南極基地(どこにも逃げられない閉鎖空間)。そこに細胞レベルの地球外知的生命体が侵入し、人間の体を乗っ取る。誰が「物体(The Thing)」に汚染されたか外見では分からない。そして仲間同士疑心暗鬼になる(精神的に追い詰められる)。

さらに姿を現した「物体X」が実にエグイ。タコ・イカ・カニ・クモ・ヘビ・トカゲ・・・など我々が嫌悪する生き物が合体している。これを作ったのが特殊メイクアップ・アーティストのロブ・ボッティンだ。彼はこの映画の陰の立役者と言える。

しかし、この映画のみそは、この「物体X」を人間社会に紛れ込ませてはならないと命を懸けて戦う隊員たちの姿だ。「物体X」に対する色々な知見をもとに、こいつに乗っ取られた人間をあぶりだし、焼き殺す。しかし、「物体X」も合体して猛獣と化し襲ってくる。果たして人間に勝算はあるのか・・・。音楽はエンニオ・モリコーネ、主演はアクション俳優の重鎮カート・ラッセルだ。

2012年に続編「遊星からの物体Xファーストコンタクト」が公開されている。これは1982年版の前日譚になっている。監督はマティス・ヴァン・ヘイニンゲン・ジュニア、主演メアリー・エリザベス・ウィンステッドとジョエル・エドガートンだ。前作の印象が強すぎて、同じようなシーンが多いのが残念だ。でも見る価値はあると思う。

話のスジを少し紹介すると。1982年の冬、ノルウェーのヘリが一頭の犬を追いかけ、アメリカ南極観測隊基地に現れる。彼らはヘリから降り、犬を執拗に射殺しようと追いかける。ところが弾がアメリカ隊員に当たり、慌てた隊長がノルウェー人を撃ち殺す。

ヘリ操縦士のマクレディ(カート・ラッセル)とドクター(リチャード・ダイサート)は一緒にノルウェーの基地に向かう。ところが基地は壊滅状態だ。何があったのか・・・。首を切り裂いて自殺した男が凍り付いていた。そして何かを発掘したような氷の塊があった。中はカラだ。

外には人間のような動物のような得体の知れないものが焼かれていた。これらと、資料・ビデオテープを基地に持ち帰る。グロテスクな遺体を解剖すると外見はともかく内臓は正常だった。

犬を保護するが、犬小屋の中でそれが正体を現す。犬が激しく吠え、何事かと集まった隊員が見たものは犬の中から出てきた例えようのないグロテスクな生き物だった。そいつを火炎放射器で焼き殺す。

焼け焦げた生き物を解剖すると体の中から吸収されつつある犬が出てきた。これは不思議な生物だ。他の生物そっくりに姿を変える。もっと時間が経っていれば犬の姿になっただろう。ノルウェー基地から持ち帰ったビデオを見ると彼らは何か巨大なものを発見し、その一部を持ち帰ったようだ。

次の日、ビデオに映った巨大な遺跡のところに出かけた。近寄ってみるとそれは大きな宇宙船のような円盤状の物体だった。周りの状況から推測すると10万年くらい経っている。そしてその宇宙船のハッチから抜け出したと思われる何かを掘り出し基地に運んだことが分かった。

果たしてそれは何だったのか、宇宙人なのか・・・。

その後のストーリーとネタバレ

何万年も前にUFOが南極に墜落し、中の生物が冷凍された。それをノルウェーの観測隊が掘り出し、感染してしまった可能性がある。

主任生物学者のブレア(A・ウィルフォード・ブリムリー)は物体Xと犬の細胞を顕微鏡で観察した。その結果物体Xの細胞は短時間で犬の細胞を同化させてしまう。外見は犬の細胞だが中身は物体Xだ。この生き物が人間社会に到達した場合2万7千時間後には全世界が同化されてしまう。この同化は暗がりで対象生物に接近して行われるようだ・・・と。

そんな時にベニングスが物体Xに同化させられた。同化の途中段階であり、両手は怪物のようだ。隊員たちはベニングスや持ち帰った異物を焼却する。ところがさらに厄介なことが起こる。ブレアがヘリ、雪上車、無線装置を破壊し、犬まで皆殺しにしてしまう。彼は物体Xが人間社会に接触しないようにしたのだ。

しかし、これは許される行為ではない、ブレアは離れた部屋に監禁される。彼はマクレディに犬の飼育係クラークに気をつけろと言う。マクレディは隊員の一人か二人、既に奴に同化されている、そして来年の春までに全員同化させられると・・・。

何とか今いる隊員の中の偽物を見つけなければならない。そしてあと6時間で嵐がやってくる、それまでに決着を・・・。マクレディは事の詳細をテープに録音し、誰も分からないところに隠す。ところがマクレディの破れた服が見つかり、同化が疑われる。

彼は仲間に殺されるのを防ぐためにダイナマイトと火を持つ。ところがノールスたちがダイナマイトを奪おうとした拍子にノリスが突き飛ばされ、心臓が停止する。ドクターが除細動器を使った時、ノリスの胸が割れドクターの両腕を切断する。胸の中から現れたのは物体Xの本体だ。天井に取りつき逃げようとする。

マクレディが火炎放射器でそいつを焼き殺す。今度はノリスの首がちぎれ床に落ちた頭は足を出して逃げようとする。こいつも焼き殺す。

マクレディは皆を一堂に集め偽物さがしを行う。各隊員から血液を採り、過熱した針金を接触させる。物体Xであれば異常な反応を示すはずだ。この実験で正体を現したパーマーがウィンドウズを襲う。マクレディは二人とも焼き殺す。

生き残ったのはマクレディ、ノールス、チャイルズ、ギャリーの4人だけだった。あとは自殺したり撃たれたりと死んでしまった。最後は監禁してあるブレアのテストだ。マクレディ、ノールス、ギャリーの3人でブレアの小屋に行くが彼はいない。

小屋の下に地下トンネルがあるのを見つける。その奥には小型の宇宙船らしきものが作りかけで置いてあった。これをダイナマイトで破壊する。建物に残ったチャイルズが外に出てゆく。そして発電機が何者かに破壊される。6時間後には極寒の世界で我々は全員死ぬ。しかし、物体Xは冬眠して生き残るだろう。

どうせ我々は死ぬなら奴を道連れにしよう。建物をすべて破壊し燃やすのだ。発電機室などにダイナマイトを仕掛けるが突如現れたブレアにギャリーとノールスは同化させられてしまう。そしてそれらは合体・巨大化しマクレディを襲う。彼はダイナマイトを投げつけそいつを破壊、焼き殺す。

南極基地は炎に包まれる。この炎がおさまれば極寒の世界が自分を凍死させるとマクレディはウイスキーをラッパ飲みする。そこにチャイルズが現れた。彼はブレアを追いかけているうちに見失ったと言う。もうこうなってはチャイルズがあの生き物かどうかなんてどうでもいい、ただ見守るだけだとマクレディはつぶやく。チャイルズもウイスキーを飲みながら微笑む・・・。

レビュー

結末が印象的だ。マクレディもチャイルズも人間なのか、或いはどちらかが「物体X」に乗っ取られているのか。映像をよく見るとマクレディは息が白いのにチャイルズはほとんど息が見えない。これから、「チャイルズは物体X説」が出てくるが僕としては二人とも人間の方がしっくりくる。

この映画のもとになった1951年の「遊星よりの物体X」、氷の中から現れた怪物は植物組織生物で動物の血を吸って成長する。この生物は人間より知力・腕力ともに優れる。人類の脅威となりうる「物体」に対し人間たちはどう立ち向かうのか・・・。これも参考に見てはどうかと思う。

「遊星からの物体X」は非常にインパクトの強い映画だ。これに影響されたホラー映画は多い。一つ例を挙げれば「IT/イット THE END」がある。この映画の何処かに見たようなシーンが出てくる、分かったかな?

TATSUTATSU

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