サマリー
2017年9月日本公開のアメリカ・イギリス合作のSFホラー映画
監督 リドリー・スコット(エイリアン、ブレード・ランナー、ブラック・レイン、ブラックホーク・ダウン、プロメテウス、エイリアン:コゲナント、エクソダス:神と王)
出演 ●マイケル・ファスベンダー(X‐MENシリーズ、プロメテウス、それでも夜は明ける、スティーブ・ジョブス、エイリアン:コゲナント、アサシンクリード)
●キャサリン・ウォーターストン(スティーブ・ジョブズ、ファンタスティック・ビースト、エイリアン:コヴェナント)
●ビリー・クラダップ(ビッグ・フィッシュ、スポットライト、エイリアン:コヴェナント)
●ダニー・マクブライド(エイリアン:コヴェナント)
●デミアン・ビチル(エイリアン:コヴェナント)
映画は世界中でそれなりにヒットしているが、ストーリーに行き詰まって禁じ手を使ってしまったような気がする。エイリアンよりデヴィッド(マイケル・ファスベンダー)の方が不気味で恐ろしいからだ。
冒頭に出て来るシーンでウェイランド(ガイ・ピアース)が人間に近いアンドロイド デヴィッドを創る。彼は野心家のウェイランドの性格を受け継いでいるのか自分で名前を付け、生みの父(ウェイランド)には従うが父はいずれ死ぬと言う・・・これが結末へと続く伏線だ。
「プロメテウス」の最後の方でショウ博士(ノオミ・ラパス)がデヴィッドを連れエンジニアの母星に向け旅立つ。彼女は「エンジニアが何故、人類を創りそして滅ぼそうとしたのか知りたい」と言っていた。
今回、続編でそこが分かるのかと期待したが飛ばされてしまった。或いは今後プロメテウスからコヴェナントとの間を補完する「新作」が作られるのか・・・。
デヴィッドは人類にはそれなりの敬意を払うがエンジニアには「滅びゆく種族だ」と全く尊敬しない。また、恩人のショウ博士も実験動物にしてしまうのか・・・デヴィッドは愛情と言うものを知らない。
彼は自分が人間の手によって作られたように、彼も最強の「エイリアン」を創ろうとする。全宇宙で完璧で最強の生物だ、情けなど全く無い。これが映画「エイリアン」へと続くのか・・・。
「コヴェナント」とは宗教英語で「誓約」と言う意味らしい。旧約聖書における神とユダヤ人のアブラハムとの間で「契約」が結ばれる。彼の一族は神から約束された土地に向かって旅をする。
話しのスジを少し紹介すると、宇宙船コヴェナント号は2,000人の入植者、1,140体分の胎芽(妊娠初期の胎児)を乗せ目的の惑星「オリガエ6」を目指していた。2104年12月5日、予測できないエネルギーバーストに見舞われ船は大きな損傷を負う。
14名の乗組員がアンドロイドのウォルター(マイケル・ファスベンダー)とコンピューター「マザー」によって冷凍睡眠から覚醒させられる。運が悪いことにジェイコブ船長(ジェームズ・フランコ)は睡眠装置の不具合で亡くなってしまう。
彼はダニエルズ(キャサリン・ウォーターストン)の夫でもあった。副官のオラム(ビリー・クラダップ)が船長代理として指示を出す。しかし乗組員は彼を信頼していなかった。
船を修理中に不思議な電波を受信する。電波の発信源は船の近くにある恒星系の第4惑星からであった。惑星の詳細を調べてみるとそこは重力・大気の組成など地球にそっくりで居住可能なことが判明した。
ダニエルズは反対したがオラムはこの惑星を調査することを決断する。彼は調査隊10名を組織し着陸船ランダー・ワンを発進させる。船はプラズマの大気をくぐり抜け地表近くに到達する。
そこは地球と呼んでもよさそうな素晴らしい惑星だった。湖の浅瀬に着陸すると電波の発信源目指して調査隊は進む。草原には麦と思われる植物が栽培されており、知的生命体の存在も示唆される。その草原を進んで小高い丘に到達する。
あまりに地球に似た素晴らしい惑星だが、小動物や昆虫など生物がいっさいいないのに気付く。何かがおかしいここは禁断の惑星なのか・・・。
調査隊の一人が地上の小さな卵のようなものを踏む。その卵から胞子のようなものが飛び出し隊員の耳から体内に入り込む。彼は体調を崩し、女性隊員に肩を支えられてランダーに戻る。
彼は苦しみ出し、背中を突き破ってエイリアンの幼生ネオモーフが出現する。船には二名の女性隊員がいたがネオモーフに襲われる。彼女らは武器で応戦するが運悪く銃弾が武器庫に被弾し、ランダーは炎に包まれる。
そしてランダーに戻ってきた隊員たちにも2体(別の隊員も寄生されていた)のネオモーフが襲いかかる。もう絶体絶命だ、残った6名の隊員も餌食にされてしまうのか・・・。映画を見に行く人にはここまでだね。
その後のストーリーとネタバレ
6名の隊員がネオモーフ2体に襲われるその瞬間、謎の男が現われ閃光弾を空に向けて発射する。激しい閃光に驚いたネオモーフは何処かに逃げ去る。
その男は隊員たちを先導し、古代都市と思われる広場を突っ切り、奥の寺院へと案内する。途中の広場ではおびただしい異星人の遺体が転がっていた。
謎の男はフードを取るとウォルターと全くうり二つの顔をしている。皆は驚く。その男はデヴィッドと名乗り、ウォルターの原型になった初期のアンドロイドであると言う。
彼の話では、プロメテウス号の唯一の生存者ショウ博士とここに来た。エンジニアの宇宙船に乗り込んで来た為、着陸に失敗し彼女は亡くなってしまった。そして積んでいた生物兵器が漏えいし、エンジニアは全滅してしまったとのことであった。
デヴィッドはオラムを自室に案内し、10年間ある研究を行ってきたと話す。そしてオラムをさらに奥へと導く、そこにはエイリアンの卵が多数並んでいた。それに顔を近づけたところ中からフェイスハガーが飛び出しオラムの顔を覆う。
しばらくして彼の胸を突き破ってエイリアンの完成体ゼノモーフが現われる。それはデヴィッドを自分の親でもあるかのように見つめる。
その頃、残りの隊員はコヴェナント号と交信する。母船からは荷物運搬用の着陸船で生存者を迎えに行くとの連絡が入る。
ダニエルズはデヴィッドの研究室でおぞましいものを見る。ショウ博士の変わり果てた遺体だ。そして彼はここで最強の生物兵器を開発していたことを知る。さらにエンジニアを滅ぼしたのも彼の仕業だった。
突然デヴィッドが現われ、ダニエルズを捕まえ投げ飛ばす、真相を知った彼女もエイリアンの宿主にしようとしていた。そこにウォルターが助けに入る。両者の戦いになるが、戦闘能力はよりロボットに近いウォルターの方が強い、デヴィッドを倒す。
二人が戦っているスキに彼女は救助用の荷物運搬船に向かう。オラムを探しに来た二名の隊員の内一名はフェイスハガーに襲われる、すぐにそれを剥がしたものの顔に大やけどを負ってしまう。
チーフパイロットのファリス(ダニー・マクブライド)が荷物運搬船を操縦して救助に来てくれた。船のゲートを開きダニエルズとウォルターさらに顔に大やけどを負ったロープ(デミアン・ビチル)を救助する。そこにゼノモーフが現われ船に取り付く。
このままではコヴェナント号にはドッキング出来ない。ダニエルズは命綱をつけて船外に出る。そしてゼノモーフに銃弾を浴びせる。彼女は苦戦したが何とかゼノモーフを船から除去することに成功する。
救助船はコヴェナント号にドッキングし、これにて一件落着かと思われたその時、マザーが警告を発する。どうやらロープの体内にいたゼノモーフが船内に紛れ込んだ様子だ。
ゼノモーフはシャワー室にいた隊員2名を殺害し、船内を動き回る。ダニエルズとファリスは武器を持ってゼノモーフを格納庫へとウォルターの協力のもと追い込む。そして宇宙服に身を包んだ二人は格納庫のハッチを解放し、ゼノモーフを船外に放出する。
結局15名の隊員の内生き残ったのはダニエルズとファリスそしてアンドロイドのウォルターだけだった。船長になったダニエルズは当初の予定通り、惑星「オリガエ6」に向かう。
ダニエルズはウォルターに見守られて冷凍睡眠に入る。彼女はウォルターに以前 惑星「オリガエ6」に着いたら家を作るのを手伝って欲しいとお願いしていた。
寝入る前にその話をウォルターにしたところ彼は知らなかった。彼女はウォルターがデヴィッドであることに気付き半狂乱になるが、徐々に意識が遠のき深い眠りに落ちてゆく。
ウォルターの記憶はデヴィッドによって上書きされていたらしい。デヴィッドは胃の中からゼノモーフの胚芽を二つ吐き出すと、人間の胚芽が収められた冷凍ケースに保管する。彼の恐ろしい計画が着々と進行してゆく・・・。
レビュー
デヴィッドの実験室にはカブトムシやムカデなどの外骨格生物が並んでいた、彼はこれらの遺伝子をエンジニアが創った黒い液体に組み込む。そしてショウ博士の体を使ってエイリアン「ゼノモーフ」を完成させたように思う。
彼は電波を発信させ知的生命体をおびき寄せる。そしてそれを宿主にしてゼノモーフを繁殖させることをたくらんだようだ。
「プロメテウス」の結末とのつながりがしっくりこない。だから冒頭のウェイランドとデヴィッドのシーンを追加したのか?デヴィッドが悪魔のようなアンドロイドに描かれる。
ミステリアスなエンジニアが簡単にデヴィッドに絶滅させられる。あっけなさ過ぎると思う。エンジニアの正体や宗教、技術力・・・何故、生物兵器を開発していたのか、敵対する知的生命体はいるのかなど知りたいことは多かったのに残念だ。
エイリアン映画の中では男が実に情けない、オラムには同情してしまう。今回かっこよかったのはファリスぐらいだ。リドリー・スコット監督としては、強い女リプリー路線を続けてゆくようだ。
ダニエルズがリプリーのお母さん説が有力だ、彼女は童顔だけど182センチもある大女だ。次回作もあるらしい「コヴェナント」から「エイリアン」にどうつなげるか見ものだね。
TATSUTATSU
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