SF

映画「プロメテウス」感想・評価‐エイリアン:コヴェナントを見る前に復習しておこう


サマリー

2012年日本公開のアメリカ・イギリス合作エイリアン系スペース・ホラー映画
監督 リドリー・スコット(エイリアンブレード・ランナーブラック・レインブラックホーク・ダウンプロメテウスエクソダス:神と王
出演 ●ノオミ・ラパス(ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女プロメテウスシャーロック・ホームズシリーズ
●シャーリーズ・セロン(モンスター、イーオン・フラックス、スノーホワイトシリーズ、プロメテウスマッドマックス 怒りのデス・ロード
●マイケル・ファスベンダー(X‐MENシリーズ、プロメテウス、それでも夜は明ける、スティーブ・ジョブス、アサシンクリード
●ガイ・ピアース(L.A.コンフィデンシャル、メメント、プロメテウス、アイアンマン3)
●イドリス・エルバ(リーピングプロメテウス、パシフィック・リム、刑事ジョン・ルーサー)

映画『プロメテウス』予告編

「エイリアン:コヴェナント」の予告編だ・・・怖いねー。

映画『エイリアン コヴェナント』日本版予告編

2017年9月15日に「エイリアン:コヴェナント」が封切りになる。この映画は2012年に公開された「プロメテウス」の続編になるので、是非参考として前作品を見ておいた方がいい。

スペースホラーの金字塔を打ち立てた「エイリアン」の前日譚だ。「エイリアン」に出てきた、化石化したスペース・ジョッキーが物語のキーになっている。「プロメテウス」とは宇宙船の名前なんだけど、ギリシャ神話に出て来る男神のことだ。彼は天界の火を盗んで人類に与えたと言われ、また人間を「創造」した神としても有名だ。

この映画に出て来る「エンジニア」が人類の「創造主」となるべき存在で「プロメテウス」と言い換えてもいいのかも知れない。彼らは太古の地球に来て自分たちのDNAをまき散らし、人類が誕生するように仕向ける。

彼らは時々地球に来ては各地に壁画を残す。2089年、考古学者のエリザベス・ショウ(ノオミ・ラパス)とチャーリー・ホロウェイ(ローガン・マーシャル=グリーン)はこれらの壁画を発見し、共通の星座が描かれていることを見つける。エリザベスはこの星座は創造主からの招待状だと仮説を立てる。

この仮説を確かめる為、超巨大企業「ウェイランド・コーポレーション」は1兆ドルの資金を投じ、宇宙探査船「プロメテウス」号を建造し宇宙の旅に出る。

2093年12月に船は目的とする惑星LV-223に到着する。彼らは巨大な岩山の近くに不時着しすぐに調査を開始する。ところが岩山に見えたのは巨大建造物で、彼らはこの中を調べることになる。

高齢のウェイランド社長(ガイ・ピアース)はホログラム映像(社長は既に亡くなっていると考えられていた)で今回の探査計画の目的と隊員への激励を述べる。

今回の探査責任者は社長の娘メレディス(シャーリーズ・セロン)で冷酷な指揮官だ。巨大建造物を調査しているアンドロイドのデイヴィッド(マイケル・ファスベンダー)は記録映像装置を発見し起動させてみる。と「エンジニア」と思しき巨人たちが走り去り、そのうちの一名が扉に首を挟まれ倒れていた。

扉を開けてみると「エンジニア」の頭部が現われ、さらに石で出来たと思われる巨大な頭部のオブジェと円筒形の容器が無数に置かれた部屋を発見する。デイヴィッドは円筒形の容器を一個持ち帰る。

「エンジニア」の頭部の分析からDNAが人間と一致し、年代も2000年前のものであることが分かった。デイヴィッドは円筒容器の中の黒い物体をシャンパンに混ぜてホロウェイに飲ます。その後彼はエリザベスと性交渉をする。

次の日の調査でデイヴィッドは単独で行動し、「エンジニア」達の操縦室を発見する。ホログラム映像を起動させ宇宙船の操縦方法を習得する。そして冷凍睡眠装置の中で一体のエンジニアが生存していることも発見する。

ホロウェイは建造物の調査に赴いていたが体調を崩し、顔が変化してくる。さらにエリザベスも腹部に違和感を感じる。急いで船に帰還するも、変わり果てたホロウェイはメレディスによって焼き殺されてしまう。

エリザベスもショック状態だ、デイヴィッドによって腹部をスキャンされ、妊娠3か月の状態であることを告げられる。10時間ほど前の性交渉によって正体不明の胎児を身ごもっていたのだ。

果たしてエリザベスはどうなってしまうのか、そしてデイヴィッドが見つけたエンジニアは地球人たちの生みの親なのかそれとも恐るべき殺戮者なのか・・・。

とにかく、スペース・ホラーなので、次から次へと隊員たちを恐怖が襲ってくる。ストーリー的には少し大味な感じはするけど異形生物がグロくてちびりそうだ。「エイリアン」の雰囲気(怖い、汚い、エロい、エグい、グロい)を踏襲している・・・さすがリドリー・スコットと言いたいところだがストーリー展開等にやや不満が残る。

「エイリアン:コヴェナント」はアメリカでは今年の5月に公開されてしまっている。日本では4か月遅れの9月だ、このギャップはいったいなんかいね。新鮮味が薄れてパサパサになった刺身を連想する・・・もっと早めに食べたかった。

その後のストーリーとネタバレ

エリザベスは意を決して全自動手術装置のカプセルに入り、帝王切開にて腹部の異物を取り除こうとする。気を失いかける苦痛に襲われながらも体内からタコのような幼体を取り除くことに成功する。手術による切開跡を縫合し、カプセルに幼体を閉じ込め、船内をさまよう。

エリザベスは船内の一室に死んだものとばかり思っていたウェイランド社長がいるのを見つける。社長の命はあと数時間しか持たない、彼はエンジニアに会い自分の寿命を延ばしてもらうことを考えていた。そして社長はエンジニアにデイヴィッドと今すぐ会いに行こうと行動する。メレディスも現れ社長を父と呼ぶ。

エリザベスは宇宙船パイロットのヤネック船長(イドリス・エルバ)と話し合う。この星はエンジニアの星ではなくて彼らの生物兵器 開発・試験の場ではないかと、そしてその生物兵器の暴走によって彼らは全滅させられたと・・・。

エリザベスはこの星に来るべきではなかった、もし一体残されたエンジニアが地球を襲い人類を滅亡させるような行動を取った場合、彼らの船を破壊してくれとヤネック船長に頼む。船長は分かった、奴らにそんなことはさせないと答える。

デイヴィッドはエンジニアを冷凍睡眠から目覚めさせ、ウェイランド社長を引き合わせる。そして社長はエンジニアに向かって命乞いをする。ところが彼はデイヴィッドの首を引きちぎり、周りの人間を殺しまくる。彼は創造主なんかではなく殺戮者だったのだ・・・ウェイランド社長は命尽きる。

エリザベスはこの惨劇を見届けるとプロメテウス号へと急ぐ。エンジニアは操縦席に座ると地球の座標を入力し、船をとびたたせようとする。エリザベスはヤネック船長に船が飛び立つのを阻止してほしいと連絡する。船が飛び立つのを防ぐにはプロメテウス号の体当たりしかない。

メレディスは船から脱出するがヤネック船長と部下の操縦士二人は自滅覚悟でエンジニアの船に突っ込む、両者とも破壊し、地上に落下してくる。エリザベスとメレディスは落下物から逃げ惑うがメレディスは船に押しつぶされて死んでしまう。

落下した船からエンジニアがプロメテウス号への残骸へと向かう、そこにはエリザベスがいた。全自動手術装置の置かれた部屋をのぞくとタコのような生物が巨大化していた。エンジニアはエリザベスを殺そうと迫ってくる。その時、手術室の扉が開き巨大なタコがエンジニアを襲う。

エリザベスの宇宙服にデイヴィッドから連絡が入る。彼女はエンジニアの母星に行って「何故、人類を殺戮しようとしたのか理由が知りたい」と言う。デイヴィッドは頭だけになってしまったが、エンジニアによる船の操縦方法を眺めることが出来たため、船を操縦できると言う、それに船はほかにもたくさんあるらしい。

彼女は壊れた船からデイヴィッドの頭を回収し、新たな船でエンジニアの星を目指して旅立つ。地上ではしばらくして、エンジニアの体内から「エイリアン」が誕生する。

レビュー

人類の創造主だったエンジニア(「エイリアン」に出てきた、化石化したスペース・ジョッキー)が人類を抹殺しようとした殺戮者だったとは。エリザベスは「何故、人類を殺戮しようとしたのか理由が知りたい」と言って旅立つが僕も知りたい。

結局ウェイランド社長のプロジェクトの目的は自分の命を延ばす事だったんだ。なんて欲深いじじいだ、自分一人の為に100兆円のお金と多くの人命を犠牲にするなんて。

この「プロメテウス」は全世界で大ヒットしているけど、「エイリアン」マニアの僕としてはやや不満だ。僕が考えるガッカリ点を示すと。

1.エリザベスが帝王切開したのにキズ跡をホッチキスで止め、何にもなかったように飛んだり跳ねたりしている。
2.エンジニアが2000年の時を経て甦ったのに、これまた直ぐに周りの人間を殺しまくり、飛び跳ねまくる。創造主であればもう少し知的であって欲しかった・・・プロレスラーかと思っちゃった。
3.洞窟でヘルメットを脱いだり、危険生物に近寄ったりと研究者とは思えない行動をとる。指揮官の言うことも聞かない。

4.メレディスが船が落下する方へ逃げちゃう・・・少しは考えて逃げたら。
5.エリザベスから生まれたタコが急激になんであんなに大きくなるの?
6.剛力彩芽さんの吹き替えが酷過ぎる・・・眠くなりそうだ。(これはリドリー・スコット監督の責任ではない)

ところで、メレディスが人間かアンドロイドか迷うところだけど、僕は人間だと思う。1兆ドルかけたプロジェクトをアンドロイドに任せるとは思えない。彼女はウェイランド社長を父と呼んでたけど、歳の差が80才くらいありそうだ。苗字も違うし、ひょっとしたら若い愛人かな?

しかし、ニューハーフ説も浮上している。彼女の部屋に設置されているもの凄く高価な全自動手術装置は男性用だ。長旅で万一の緊急手術が必要になった場合、男性用では役に立たない。そう考えるとこの推測は当たっているかも。

まあ、スペース・ホラーだから、奇抜なストーリーで視聴者を怖がらせてくれればいいのかな。でも「エイリアン」が最後にちょろっとしか出てこないのが少しさびしかったね。

エイリアンとプレデターの全てが分かるお薦め映画ベストテン:本当の宇宙人の姿はこんな奴らかもしれない

映画「エイリアン:コヴェナント」‐エイリアンよりデヴィッドの方が薄気味悪い

映画「エイリアン」感想・評価‐ちびるほど怖いスペースホラーの古典だ

映画「ブレードランナー2049」感想・解説:デッカードがレプリカントかどうか徹底解説する

TATSUTATSU

 

映画「哭声/コクソン」感想・評価-得体の知れない背筋の寒くなるドラマだ前のページ

映画「エイリアン」感想・評価‐ちびるほど怖いスペースホラーの古典だ次のページ

関連記事

  1. SF

    映画「マイノリティ・リポート」感想・評価‐2054年モデルのレクサスが凄い

    サマリー2002年公開のアメリカSF映画で、監督はスティー…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

最近の記事

人気記事

2024年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  
  1. 歴史映画

    映画「黒衣の刺客」感想・評価:妻夫木聡、忽那汐里が出演したホウ・シャオシェン監督…
  2. ラブラドール

    老犬ラブラドールキジバトに会う(近くで見ると羽模様がきれいだね)
  3. ホラー

    映画「死霊館 エンフィールド事件」感想・評価‐ちびりそうなくらい怖いドラマだね
  4. SF

    映画「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル」感想・評価:世界中で大ヒットRP…
  5. ホラー

    映画「イット・フォローズ」感想・評価‐他人に移せば生きられるプロットは何かリング…
PAGE TOP