サマリー
2016年日本公開のアメリカ サスペンス映画
監督 ブラッド・アンダーソン(マシニスト)
原作 エドガー・アラン・ポー「タール博士とフェザー教授の療法」
出演 ケイト・ベッキンセール(月下の恋、アンダーワールド、ヴァン・ヘルシング、トータル・リコール)
ジム・スタージェス(クラウドアトラス、鑑定士と顔のない依頼人)
ベン・キングズレー(ガンジー、シンドラーのリスト、エクソダス:神と王、ザ・ウォーク)
マイケル・ケイン(トゥモロー・ワールド、インセプション、インターステラー、キングスマン)
サイコパススリラーと言っているだけあって、見ている方も「いったい誰が気違いなのか」わからなくなってくる・・・実はほぼ全員気違いなんだけど。
僕は大どんでん返し映画だと予想して見ていた、やっぱり当たった、ところが更にドンデン返しが待っていたとはひどい映画だ・・・簡単に引っかかる僕も情けない。
精神が空っぽの容器のような人間(誰にでもなりきれる)って本当にいるんだろうか・・・こっちの方が怖い。
あとでネタバレしちゃうけど、この映画はバレちゃうとぜんぜん面白くない、DVD見る人は気を付けてね。
ケイト・ベッキンセールの美貌にやや陰りが出てきた、彼女ももう40代半ばなんだ「月下の恋」の時のみずみずしい笑顔が懐かしい・・・ため息。
アサイラムとは精神病の保護施設「閉鎖病棟」ともいえる。
舞台は19世紀、精神医学の治療法として部屋に閉じ込める「監禁療法」がいいのか、それとも患者に薬を投与してフリーにする「鎮静療法」が効果をあげられるのか、議論の的になっている。
オックスフォード大学の医学生エドワード(ジム・スタージェス)は雪深い山奥の丘に建つストーンハースト精神科病院を訪問する。彼の目的はこの病院で実習することだった。
彼は病院のラム院長(ベン・キングズレー)に会い、実習の許可を取る。この病院での方針は「監禁」「拘束」ではなく、患者をフリーにすることである・・・そして音楽などによって精神をリラックスさせて病気を治療する。
エドワードはここで美しいイライザ・グレーブス夫人(ケイト・ベッキンセール)を見かける。院長の話では彼女はヒステリーによって夫の目をくりぬき、耳をかじり取ったとのことであった。
イライザはエドワードに近づき、小声でここからすぐに逃げなさいと忠告する・・・彼はびっくりする。
エドワードは夜中に地下から物をたたく音が聞こえ、こっそり地下室に降りてゆくと、檻に閉じ込められている多くの人たちを見つける。
そこには病院の医院長だと言う男ベンジャミン・ソルト(マイケル・ケイン)、看護師、管理人、医務部長など異常者とは思われない人々が監禁されていた。
ソルトが言うには元軍医であったラムは5人の兵士を殺している異常者らしい。
そして我々は彼らに麻酔薬を飲まされ、ここに監禁されたと・・・本当なのかとエドワードは驚愕する。
そしてミッキー・フィン(デヴィッド・シューリス)と言う男から鍵を取ってきて解放しろと懇願する。しかしベンジャミンはここから出たら殺される、町に行って応援を呼べとエドワードに指示する。
しかしエドワードは町に行って応援を呼んだとしても、みんなラムに殺されてしまう。それより、ラムを説得してみせると返答する。
彼は地下のことをこっそりとイライザに話したところ、ベンジャミン医院長こそ野蛮だと言う。彼らは私たちを監禁・拘束、裸にし性的暴行と思えるようなことをしてきたと反論する。
確かにサイラス・ラムの治療法は効果を出していた。うつ病、ダウン症、ヒステリー患者などは快方に向かっていた。
ある日、ラムは「電気療法」と称してベンジャミンを診察台に縛り付け脳に電気ショックを与えて、廃人同様にしてしまう。
このままでは地下の人々は殺されてしまうか廃人にされてしまう。何とか急がなければ。
エドワードはサイラス・ラムが監禁されていた独房を調べる、彼の弱みを見つける為だ。彼は独房の中で1枚の写真を見つける。
新年を迎える時間が迫っていた、エドワードはイライザと一緒に逃げるため、酒に麻酔薬を注入する。
ところが乾杯の直前になって、そのことがフィンに見つかってしまい、エドワードは拘束されてしまう。そして台に縛り付けられ「電気療法」と称する最悪の状況になる。
果たしてエドワードはこのまま、全ての記憶を失ってしまうのか・・・。
ネタバレとレビュー
エドワードは台に縛り付けられていたが、ポケットから取り出した1枚の写真をラムに見せる。
その写真(ラムが頭を打ちぬいた少年兵の写真)を見たラムは兵士5人を殺害した時の記憶が鮮明によみがえり完全に正気を失ってしまう。
その時イライザがエドワードの拘束を解く、フィンが彼女を襲ったが高圧電流が流れる電極を彼に押し当て、彼は感電と同時に発火する・・・その火は建物に燃え移り病院全体がパニックになる。
そして、その後イライザとエドワードは新天地に向かって旅立つ。
しばらくしてイライザの夫が医師と一緒に病院を訪れるが、イライザは姿を消した後だった。同行してきた医師の名はエドワード・ニューゲート(ブレンダン・グリーソン)であった・・・ではあのエドワードはいったい誰なのか。
偽のエドワードはニューゲート医師の患者であり、彼の名を語っていた。その男は二か月前までロンドンで精神病の治療を受けていた。
彼はオックスフォード大学の講義でイライザを一目見て彼女の虜になっていた。彼はニューゲート医師の持ち物と名前を盗んで逃げだした虚言症患者であった。
結局偽のエドワードの身元は分からず、彼は抜け殻のようで本当の感情はない・・・治療不能の患者だとニューゲートは言う。
でも結局それは間違いで彼はイライザを見つけたことによって、自分の精神を取り戻したようだ。
暫くして彼はイタリアのサンタクリスティーナ精神科病院のラム医師として、イライザと幸せな生活をおくっていた。(サイラス・ラムの名を語って、あるいはラムに成り切ってしまっているのか?)
エドワード医師が精神病患者とは一杯食わされたね。ダブルどんでん返しだ。
でも精神病患者同士でうまく生活してゆけるのかな・・・。
結局、サイラス・ラムは戦争の犠牲者なんだね。彼は軍医として死にかけている負傷兵を楽にしようとピストルで殺してしまう。そして自分も自殺しようとする。
戦場のような地獄の中で、彼の精神はプッツリと切れてしまった。
また、同じようにイライザも横暴な夫によって精神に異常をきたしたようだ、まあ誰しも大きなショックで自分を見失うことがあるんだろう。
でも、本当の医者らしく見えた偽エドワードに一杯食わされたのには悔しい・・・最初から見抜かないとどんでん返しマニアとしては失格だネ。
「メッセージ」をアップした。
関連作品「CURE」も面白い。
TATSUTATSU
こんにちは。感想を拝見いたしました。
私も偽エドワードに騙されました。
オックスフォード大学の講義に「学生」として参加していた思っていました。
まさか同じ「被験者」と参加しているとは・・・。
藤間玄さんへ
コメント有難うございます。ややマイナーの感じがする映画ですが私も二段階どんでん返しにダマされてしまいました。良く出来た作品だと思います。こんな作品をもっと探してみたいですね。今後とも遊びに来てください。