SF

「インターステラー」映画解説・評価:人類は生存可能な星に移住出来るのか?

サマリー


2014年公開のSF超大作映画、監督は僕の好きなクリストファー・ノーラン(インセプションTENETテネット)、主演はマシュー・マコノヒー(TRUE DETECTIV/二人の刑事追憶の森)、アン・ハサウェイ(パッセンジャーズマイ・インターン)である。

SF映画はある程度理論に裏打ちされたものがないと、荒唐無稽で現実味の無い作品になってしまう。この作品は、理論物理学者のキップ・ソーンが参加しており、完全とは言えないがところどころに観る人を納得させる宇宙理論が盛り込まれている。

映画『インターステラー』予告1【HD】 2014年11月22日公開

 

「インターステラー」とは惑星間の飛行、星と星の間の宇宙の旅と言う意味になると思う。

時代は近未来、地球環境の悪化によって、植物が死に絶えてゆく、これによって酸素と食料が欠乏し彼らの子供の代には人類が滅んでしまうと考えられていた。

人類を存続させるため、どうすれば良いか・・・・二つのプランが考えられ、とにかく地球を離れ宇宙空間で生きてゆくのか、それとも移住可能な惑星を探し、そこに住むのか・・・・壮大な実験が行われている。

主人公は宇宙船のパイロットとして、ワームホールを通過して、地球環境に近い惑星を探査に行くが、そこには考えられないような難問が次から次へと待っている。(ワームホールはよく空間に開いた穴のように表現されるが、この映画では穴ではなく球体になっている・・・・この方が理論的に正しいとのことである。)

ブラックホール近傍では時間の経過が遅い、ある星では1時間の滞在が地球時間の7年間に相当する、急がないと地球滅亡までに間に合わない。

そして人類を導く「何か」とは地球外生命体なのか、それとも・・・その正体は味方なのかそれとも敵なのか、さらに主人公は地球に戻ってこれるのか、169分の長編だが長さを感じさせないお薦めの映画です。

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ストーリー

ストーリーを少し紹介すると、ブランド教授(マイケル・ケイン)は秘密裡にNASAを立ち上げ、人類を救うべく二つのプラン(ラザロ計画)を実行に移していた。

(ラザロとは、ユダヤ人の男性でマリアとマルタの弟である、病気によって一旦は死んだが、イエスによって甦えさせられた。⇒つまり人類再生のことではないだろうか。)

1.プランA(宇宙ステーション構想)・・・・・・地球で巨大な宇宙ステーションを作り、重力をコントロールしてステー     ションを惑星軌道上に浮かべ人類を生存させてゆくプラン。

2.プランB(スペースコロニー構想)・・・・・・ワームホールを使って人類が住めそうな惑星を見つけ、そこに移住して生き延びるプラン。

クーパー(マシュー・マコノヒー)は昔NASAのパイロットであったが、今では農夫としてトウモロコシを栽培していた。

彼は15才の息子トム(青年期:ケイシー・アフレック)、10才の娘マーフィー(娘時代:ジェシカ・チャステイン⇒ゼロ・ダーク・サーティオデッセイ)、義父ドナルド(ジョン・リスゴー)と住んでいた。

マーフィーは自分の部屋にお化けがいると言う、しかもそのお化けは本を落とすだけで、ちっとも怖くないとのことであった。

ある日、クーパーはマーフィーの部屋の「何か」がバイナリーデータ(二進数)で自分達に何かを伝えようとしていることが分かる。

そのデーターを分析するとそれは地図上の座標であり、そこにはNASAの秘密基地があった。基地の中には昔の恩師ブランド教授(マイケル・ケイン:トゥモロー・ワールドインセプションキングスマン)がいた。

彼はクーパーにラザロ計画の事を打ち明け、パイロットして参加してほしいと懇願する。48年前に土星の近くに突然ワームホールが出来、ここを通過して12人のパイロットが新天地探索に旅立っている。

そして人類の生存が期待できる3つの惑星から電波が届いている。クーパーはマーフィーに必ず帰って来ると約束し、後を息子トム、義父ドナルドにまかせ宇宙へと旅立つ。

クーパー、ブランド教授の娘アメリア(アン・ハサウェイ)、ドイル、ロミリーとターズ(ロボット)は宇宙船エンデュランスに乗ってまず、ミラーが見つけた惑星に行く。

この惑星には、近くに巨大なガルガンチュア(ブラックホール)が存在し、強力な重力の影響で時間の進み具合が遅く、この星の1時間は地球時間の7年に相当する。海に被われたミラー星に不時着するが、そこにはミラーのスペースシャトルの残骸があった、しかもブラックホールの潮汐力による巨大津波に襲われ、ドイルは死亡する(とても人類の住める場所ではなかった)。

これだけ豊かな海があるのに生物が全くいない、生物の種(タネ)とも言える小惑星や彗星が全てブラックホールに飲み込まれてしまうからだと推測される。

アメリアによると時間の流れが遅かったため、ミラーは数分前まで生きていたらしい・・・遺体も探す時間が無い。

クーパーとアメリアが宇宙船エンデュランスに戻った時には地球時間で実に23年間が経過していた。そして一人残ったロミリーはすっかり年老いていた。

クーパーは地球から送られてくる23年分のビデオを見る、そこにはトムの映像があった、彼は恋人を見つけ結婚し、娘のジェシーが生まれ、そして娘が亡くなり、おじいさんも死んでいた・・・・・クーパーは胸が締め付けられる思いであった「すまない」と涙を流す。

あと2つの星に行かねばならない、アメリアは自分の恋人のいるエドマンズの星を主張する、しかしクーパーはマーフィーの法則を盾にマンの星に行くべきと主張し、多数決によってマンの星に決まる。

(マーフィーの法則:悪いことは重なるなどの例え、つまり「洗車をしたら雨が降ってしまった」とか「テーブルから落ちたトーストはバターを塗った面がじゅうたんに落ちる、高価なじゅうたん程この傾向が強い」とか ⇒この映画では、エドマンズの星の近くにはブラックホールがあり、ミラーの星と同じようになってしまう可能性が高い。)

宇宙船エンデュランスはマンの星に到着し、スペースシャトルで凍った星に着陸する、そしてマン博士(マット・デイモン:グッド・ウィル・ハンティングオデッセイ)がいると思われる建屋にはいる、その中の機械類は正常に作動していたが、ロボットのチップは壊れていた。

マン博士は冷凍睡眠ケースにはいって眠っていた、幸運にもケースを開け彼を蘇生させる事が出来た。彼の話ではこの星の重力は地球の80%で、水はアルカリ性、大気はアンモニアを含み数分しか呼吸出来ないが何とか住めそうだとのことであった。

クーパーとマン博士は探検に出かける、ところがマンはクーパーを崖から突き落とし、ヘルメットを割る・・・・呼吸に苦しむクーパーは死んでしまうのか、何故マンはこんな暴挙をするのか、そしてラザロ計画は完遂できるのか、また「何か」の正体はエイリアンなのか・・・・・是非映画を観て頂きたい。

ネタバレ

クーパーは危機一髪のところをアメリアに救われる、マンはスペースシャトルを奪い宇宙船エンデュランスにドッキングしようとしていた。

マンは嘘をついていたことが分かる、この星には地表が無く人類の移住地としては最悪である事を、マン博士はラザロ計画の若手中心人物であり、地球においてはみんなから尊敬されていた。

そんな人物が何故・・・・・・嘘の情報を地球に流し、救助を待っていたらしい、そしてどうしても地球に帰りたいと・・・。

マンの建屋には彼が壊したロボットを修理するロミリーがいた、ロミリーはマンが仕掛けたロボットの自爆によって死んでしまう。

しかし、マンも宇宙船とのドッキングに失敗し、シャトルもろとも爆死してしまう。

宇宙船エンデュランスは大きな損傷を受けるが最後の惑星エドマンズ星に向かう、燃料が不足しているためエドマンズ星近くにあるブラックホールの引力を利用する・・・・・・一か八かの作戦である。

ブラックホールの引力を利用してエドマンズ星に近づき、そしてギリギリのところでロケットを噴射しブラックホールから離脱するミッションである。

しかし宇宙船エンデュランスの質量は大きく、このままではブラックホールに飲み込まれてしまうため、ロボット・ターズが操縦するシャトルを切り離す、それでも質量が大きく、クーパーも自分シャトルを切り離し、ターズと一緒にブラックホールに飲み込まれてゆく。

クーパーは気付くと5次元の世界にいた、そして5次元と3次元が繋がっているのは唯一、マーフィーの部屋だけである、マーフィーの部屋の幽霊とは実は5次元に存在するクーパーのことであった。

5次元の世界では時間を自由に操作することが出来る、過去に戻ったり、未来に行くことも出来る、クーパーは近くにいるターズにブラックホールの特異点(重力が無限大となるような場所)における量子データーを測定するよう指示をする。

そして、今は理論物理学者になったマーフィーに、彼女の昔の部屋にある時計の秒針を動かしバイナリーデーターでブラックホールの量子データーを送ることに成功する。

マーフィーは重力方程式を解くのに成功し、プランAを遂行してゆく。

クーパーは土星近くで発見され生存が確認される、見た目は若いが地球年齢では124才であった。

マーフィーは人類において、プランAを成功させた功労者として、世界中から尊敬されていた、巨大な宇宙ステーションにはクーパーの名前が付けられていた。(マーフィーの成功は父に助けられて出来たことを彼女しか知らない。)

クーパーと別れた時に10才だったマーフィーは高齢で死ぬ間際にあった。そんなマーフィーにクーパーは面会する、「必ず帰って来ると約束した通り、帰ってきたよ」と涙を流す、マーフィーも「分っていた」と答える。

そしてマーフィーは「娘の死に顔を見たって面白く無いでしょ」と「それよりもエドマンズ星で待っているアメリアの所に行ってあげて」とクーパーを促す。

エドマンズ星ではアメリアの恋人エドマンズは既に亡くなっていた、クーパーは修理して治ったターズと一緒にアメリアのもとに向かう。

レビュー

この映画を作るにあたってクリストファー・ノーラン監督は、映画の世界観は「2001年宇宙の旅」、「ブレードランナー」に影響を受けている、またデザインは「スター・ウォーズ」「エイリアン」、さらにアンドレイ・タルコフスキーの「鏡」にも影響を受けていると言っている。

しかし、難解で哲学的な「2001年宇宙の旅」のような作品ではなく、分かり易いヒューマンドラマに仕立てあげたことが大ヒットにつながった要因ではないだろうか。

クーパーはマーフィーの法則を持ち出し、マンの惑星に行ったわけだが、アメリアの言うことを聞いてエドマンズの惑星に行っていたら違った展開になったかもしれない。

しかし、クーパーとターズがブラックホールに飲み込まれたことによって、量子データーが得られプランAの成功につながったわけだし、ワームホールもクーパーが過去にさかのぼって作ったのかも知れない、そう考えるとマンの惑星に行くことは必然と考えられる。

さらに疑問点として、何故マン博士は宇宙船を乗っ取ろうとしたのであろうか・・・・・・・彼はラザロ計画の中心人物であり、誰からも尊敬される人格を兼ね備えている。

しかしクーパーがマンの惑星に到着したのは約30年程たっていたと思われる、仮にマン博士が20年間冷凍睡眠をしていたとしても10年間は孤独と戦わなければならない、どれほど強靭な精神を持っていたとしても、狂ってもおかしくない。

彼は人間が死ぬときには何を思い浮かべるのかとクーパーに問いを出す、結論は「自分の子供の顔を思い浮かべる」と言っている、つまり人類には子孫を残そうとする遺伝子が組み込まれていると。

12名のパイロットが未知の惑星に派遣されたが、結局生き残っていたのはマン博士だけなのかも知れない、彼の生存本能の強さと、子孫を残そうとする遺伝子がおかしな行動をとらせたのかも知れない・・・・・・それにしてもマット・デイモンはもっといい役をもらわなかったのか、これでは悪役にしか見えない。

この映画に出てくるロボットが実にユニークで面白い、弁当箱のような直方体である、手足が付いているわけでもないのだが、面白い動きをして乗り組み員を助ける。

最後にハンス・ジマーの音楽が実に映画にマッチして素晴らしい、そしてハッピーエンドに向かう結末も余韻を残して、また観たくなる欲求をかきたてる。

クーパーはアメリアを愛しているのだろうか、5次元の世界からアメリアの手に触れている・・・・・これはクーパーのアメリアに対する愛としか考えられない。

ディラン・トマスの詩「穏やかな夜に身を任せてはいけない、老いても怒りを燃やせ終わりゆく日に、怒れ、怒れ、消えゆく光に」が郷愁を誘う。

辰々

TENETテネット

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