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映画「ギヴァー 記憶を注ぐ者」感想・評価‐人間は感情の無い生活に耐えられるのか

サマリー


人間は「理性」と「感情」を持った生き物だけど、この映画の近未来では、争いの元である「感情・感覚」を薬で抑えることによって平和で平等なコミュニティーが維持されている。

でも、人間から「感情・感覚」を奪ってしまえば、味気のない灰色の世界が目の前に広がるだけだ。

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「感情・感覚」の無い灰色の世界に生きるジョナス

つまり、長老を頂点とした完全な管理社会は、その代償として人々が「人を愛すること」「過去の記憶」「音楽」「色彩」「悲しみ」「怒り」等を失っている。

ある選ばれた一人の青年ジョナスが、老人(ギヴァー:記憶を注ぐ者)から記憶を受け継ぐ役割(レシーヴァー:記憶を受け継ぐ者)を与えられる。

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老人(ギヴァー:記憶を注ぐ者)から記憶を受け継ぐジョナス(レシーヴァー:記憶を受け継ぐ者)

彼は秘密裡に投薬を止め、老人から受け継ぐ記憶の中で「生き物を殺したり、人々が殺しあう戦争の記憶」にショックを受け、心の奥底から「感情」がよみがえる。そして今住んでいる理想郷の生活に疑問を持ち始める。

ジョナスは次第に感情を抑えることが出来なくなってくる。ついに彼は解放(殺される)される運命にある赤子を抱きしめ、理想郷を飛び出そうとする。果たして彼の行動は正しかったのか・・・・・。

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自分と同じ遺伝子を持つ赤子と逃げるジョナス

この映画は良く考えると、非常に恐ろしい闇が隠れている。ユートピア(理想郷)と呼ばれるコミュニティーには老人があまりにも少ない、そして病人もいない・・・・何故か。

この表面的には理想郷と呼ばれる社会は多くの犠牲者の上に成り立っていることを忘れてはいけないね。

過去の名作「ガタカ」を彷彿させるような作品だね。この映画を観ていると人間における「感情」の重要さが分かるけど、逆に「感情」は争いや戦争を引き起こす元にもなるね。

あなたは「感情」が抑制された世界をどのように感じるか、お薦め映画です是非鑑賞願いたい。


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ジョナス(ブレントン・スウェイツ)、フィオナ(オデイア・ラッシュ)、ギヴァー(ジェフ・ブリッジス)、首席長老(メリル・ストリープ)

2015年日本公開のアメリカSF映画、監督はフィリップ・ノイス(ボーン・コレクター、ソルト)、出演者はジェフ・ブリッジス(クレイジー・ハート、トゥルー・グリット、リトルプリンス)、メリル・ストリープ(クレイマー、クレイマー、プラダを着た悪魔、8月の家族たち)、ブレントン・スウェイツ(シグナル)、オデイア・ラッシュである。

原作はロイス・ローリーの児童文学「ザ・ギバー記憶を伝える者」である。

お薦めSFパニック映画ベスト20-将来人類は滅亡するかも知れない」もアップしたよ。

                  「君の名は。」の記事もあるよ。

 

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ギヴァーからレシーヴァーに記憶を伝える作業

ストーリー

荒廃した世界の中からある社会が再建された。テーブルマウンテンのような境界に守られたコミュニティーである。ここでは誰も過去の記憶を持たない(唯一ギヴァー呼ばれる長老が記憶を管理している)。

人々はルールを守り幸せに生きている。礼儀正しい言葉、決められた服、毎朝の薬の投与(感情・感覚を抑える薬)、門限を守る、嘘はつかない・・・・・・。

この世界でジョナスは生きてきた。明日の儀式で自分たちの将来が決まる。でも彼は自分は他のみんなと違う感覚を何故か持っていた。

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コミュニティーの世界

彼は友人のアッシャーとフィオナといつも一緒だ。この世界では他と違うことは許されない。長老たちが人々から個性を排除したおかげで、争い事は起きない。

この社会の形態は一般家庭の様な家族ユニットで成り立っている。父と母に当たる大人には、人工授精で代理母から生産された子供がコミュニティーから配布され育てることになっている。

父(アレクサンダー・スカルスガルド)と母(ケイティ・ホームズ)には恋愛関係は薄く、また子供に対しても親子関係と言うより尊敬できる目上の仲間として繋がっている。

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ジョナスの家族ユニット

儀式が始まった、ホログラムで首席長老(メリル・ストリープ)が現れ彼女から一人一人に役割が告知される。

まず解放の儀式で老人達は別の世界に旅立つ(安楽死と思われる)、次に新生児(遺伝学者のもとで遺伝子操作された受精卵を植え付けられた代理母から生まれた子供)の儀式では、家族ユニットに子供が配布される。

9才の儀式では自転車が一人一人に配られる(ジョナスの妹リリーにも配られる)。そして任命の儀式では青年たちの一生の仕事が決められる。

アッシャーはドローンのパイロット、フィオナは赤ちゃんの養育係に決まった。そしてジョナスは唯一のレシーバー(記憶を受け継ぐ者)として10年ぶりに選ばれた、全員の中で最も重要な役割である。

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自転車に乗るジョナスの妹リリー

彼はコミュニティーのエッジ(外れ)にある建物に向かう。そこには年老いたギヴァー(記憶を注ぐ者)が待っていた。ギヴァーは「君に何世代にもわたる全世界の記憶を与える」と、ジョナスの腕を握る。

その時ギヴァーの右手首にはジョナスと同じアザがあった・・・・彼も自分と同じ遺伝子を持っているのか。

ギヴァーはテレパシーに似た映像を、ジョナスの腕を通して与え続ける。まず雪の風景を、ジョナスはそこでソリを見つけ、山を滑り降りた先には見知らぬ家があった・・・・これは記憶なのか頭の中に映像が浮かぶ。

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ギヴァーが住んでいる本に囲まれた建物。

ゲイブと言う赤子をジョナスの家で預かることになった。ゲイブにも右の手首にアザがあるのを見たジョナスは驚いた。彼も将来レシーヴァーになるのか?

ギヴァーからの記憶の伝達は続いた、そのうちジョナスは色を感じるようになってくる。世の中は灰色ではなく赤・黄・緑・・・・・鮮やかな色で満ち溢れていた。そしてコミュニティーの外は遠くではなく、直ぐ近くにあることも知った。

ギヴァーとジョナスは偶然本から地図を見つける。地図からは境界線が記憶を封印しているらしいことが書かれてあった。誰かがこの記憶の境界線を突破すれば、人々の記憶が戻るかもしれないことをジョナスは感じ取る。

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フィオナに恋心を抱き始めたジョナス

ギヴァーはジョナスにピアノを弾きながら音楽を教えてくれた。そして毎日の投薬は健康管理のためでなく、感情を抑えるための薬である事も知った。

老人は「感覚は表面的で一時的なものだが、感情とは考えるものでは無くて心で感じるものだ」とジョナスに教える。そして彼はどんどんギヴァーの記憶を受け継いでゆく。

ジョナスは毎朝の投薬もリンゴ(注射器の針が腕ではなくリンゴを突き刺す)を使ってうまく逃れるようになってきた。

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老人から初めての音楽を聴くジョナス

記憶の中でも命の誕生は最もジョナスにとって劇的なものだった。彼は色彩・音楽・様々な人々の肌の色、そして光り輝く人々の表情を記憶の中から感じ取って行く。

彼は老人から記憶を受け取ることに夢中になってゆく。かつて世界には人間のほかに多くの生き物がいた。生きるものは全て喜びと苦痛を知っていた。

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新しい命の誕生

老人は苦痛の記憶をジョナスに伝える。それは生き物をお金のために平気で殺す人々・・・・・ジョナスはあまりの苦痛に叫び、涙を流す。

その夜ジョナスは初めて夢を見る。夢の中に現れたフィオナは微笑んでいた。

老人は君の感情が夢に現れたと答える・・・・・つまり誰かを思う気持ち「愛」が夢となって出てくるのだと。

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ジョナスはフィオナを愛し始める

さらに記憶の伝達が続くが、老人はまだ見せてはいけない記憶をジョナスに見せてしまう。それは人々がお互いに殺しあう戦争の記憶だ、記憶の中で彼は仲間を殺され、そして自分が敵を殺している光景を見た。

ジョナスはあまりのショックで部屋を飛び出してしまう。彼はレシーバーを辞めるとフィオナに話す・・・・とても続けるのが耐えられない。そして彼女に毎日の投薬を止めろと言う・・・・リンゴに血をぬって腕の身代わりにしろと。

フィオナはジョナスにレシーバーを辞めればここから追放されるから辞めないでと懇願する。

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ジョナスの前任者ローズマリー(テイラー・スウィフト)

老人はジョナスの10年前の前任者ローズマリーの話をする。老人は彼女に苦痛の記憶を伝えたところ、彼女は耐えられなくなって解放(安楽死)を選択してしまった、彼女はもうこの世界にはいない。(後でローズマリーが老人の娘であることが分かる)

コミュニティーの人々は解放の意味を知らない、解放とは人殺しの事で未熟児や老人たちが何も知らずに解放されてゆく。(解放の意味を知っているのは首席長老とレシーバーたちだけか?)

ジョナスが家に戻ったところ赤子のゲイブがいない。ゲイブは発育不良と診断され解放されることに決まったらしい。果たしてゲイブは殺されてしまうのか、ジョナスとフィオナの運命はどうなるのか、是非映画を観てね。

ネタバレ

<ここから先はネタバレするから映画を観てから読んでね。>

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ジョナスが記憶の境界線を突破することを願う老人(ギヴァー)

ジョナスは狼狽する、直ぐに家を飛び出し老人(ギヴァー)のもとに向かう。途中友人のアッシャーに止められるが彼を殴り倒して自転車をこぐ。

ジョナスは老人から地図を受け取り「記憶の境界を突破」する思いを告げる。老人は三角岩を目指して進めとアドバイスする。そして老人はジョナスに最後の記憶を伝える、それは勇気と強さの記憶だ。

ジョナスは養育センターに急ぎ、フィオナの力を借りゲイブを救出する、そして彼を抱きかかえてセンターを後にする。

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ゲイブの居所をフィオナに尋ねるジョナス

ジョナスはバイクを奪ってエッジに急ぐ、そして老人(ギヴァー)の建物の横からジャンプしコミュニティーの外に飛び出す。

ジョナスはゲイブと一緒に三角岩を目指す。荒野を超え、岩山を超える、ところがアッシャーが操縦するドローンに見つかり捕捉されてしまう。

しかし、アッシャーはジョナスを川に落とす。これが彼のジョナスに対する精一杯の友情だ。

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ドローンに捕まるジョナスとゲイブ

老人(ギヴァー)もアッシャーもフィオナも、ジョナスを逃がす手助けをしたことによって罰を受けるだろう。これを回避するためには道は一つしかない・・・・記憶の境界線を超えることだ。

ジョナスは砂漠を超え、雪山に差し掛かり先を急ぐ。

コミュニティーではフィオナの解放(安楽死)の儀式が始まる、もう少しの猶予も無い。

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フィオナの解放(安楽死)儀式に立ち会う長老たち。

ジョナスはもう一歩も歩けないと雪の中に倒れたところ、記憶の中で見たソリを見つける。彼とゲイブはソリに乗り最後の力を振り絞って雪の斜面を下る。そしてついに記憶の境界線を突破する。

この記憶の波は衝撃波のようにコミュニティーに伝播する。人々は記憶を取り戻し涙を流す。フィオナの儀式は中止された。

ジョナスは「記憶は真実だ、僕は間違っていなかったと」つぶやく。

そしてギヴァーがこの場所に連れてきてくれたと・・・・。

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レビュー

この映画を観ていると、メリル・ストリープ演じる首席長老の意見と、ジェフ・ブリッジス演じるギヴァーの意見とどちらが正しいのか迷ってくる。

メリル・ストリープは「人間は弱くてずるい生き物だから自由を与えれば間違った答えを出す」と言う。つまり領土を取り合って戦争する人々と、その陰で餓死する子供たちが多く出る。だから徹底的な管理社会でなければならないと。

ジェフ・ブリッジスは「色彩や音楽、人々が愛し愛される、喜び怒りの無い世界は、果たして生きる価値があるのか」と言う、そして「愛の可能性を感じたから、未来はいい方向に変えられる」と確信を持っている。

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ジョナスの育ての父と母

今世界中で戦争やテロが起こっている現状をみると、メリル・ストリープの意見も間違っているとは言えない、でも灰色の世界は味気ないのも事実だね。

コミュニティーは平和で公平な世界が続いている、でも徹底的に管理されているから、老人や未熟児は解放と言う名のもとに安楽死させられてゆく・・・・・多くの犠牲の上に理想郷が成り立っている。良く考えてみればおかしいような気もするね。

結局ジョナスが閉じた扉を開けてしまった・・・・・今後コミュニティーどうなるのだろーね。

コミュニティーのような隔離された世界は、ナイト・シャマラン監督の「ヴィレッジ」や「ウェイワード・パインズ」に見られるね、でもこの映画の世界は薬によって「感情」が抑えられていることと「人々に過去の記憶が無い」と言う点で斬新さを感じるね。

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「感情」を持たないころのアッシャーとフィオナそしてジョナス

でも長老達は記憶の重要さを認識しているからギヴァーから記憶を受け継ぐレシーヴァーを一人だけわざわざ置いている・・・・・・つまり記憶が完全に失われてしまう恐怖も持っているんだね。

ところでジョナスを演じるブレントン・スウェイツは哀愁漂う近未来SF映画が良く似合うね、映画「シグナル」でも好演している。

そしてこの映画ではジェフ・ブリッジスとメリル・ストリープがしっかり脇をおさえている、だから見応えがあるんだなー、感心するね。

まあ、色々考えさせてくれる映画だが、映像がきれいで音楽も素晴らしいから、彼氏や彼女と一緒に観ることをお薦めしたいな。残念ながら僕は1人で観るしかないけどね・・・・。

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