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映画「白鯨との闘い」感想・評価‐巨大マッコウクジラとの死闘を描いた秀作

サマリー


映画『白鯨との闘い』予告編

本日娘と一緒に映画(3D)を観てまいりました。二時間の長さを感じさせない大作で思った以上に迫力があり、素晴らしい出来だった、お薦め映画だね。

「白鯨」と言うとハーマン・メルヴィルの小説に出てくる、「モビー=ディック」が有名だが、この映画の原作は180年前の出来事を丹念に調べ上げノンフィクションとして発表したナサニエル・フィルブリックの「復讐する海 捕鯨船エセックス号の悲劇」なんだ。

アメリカにおいては石油が見つかるまで、クジラの油はろうそくや石鹸の原料、灯油などに使われ、当時としては貴重品なんだね。特にマッコウクジラの頭部から取れる脳油(人間の精液に似ている)はもっと貴重で精密な機械油としても使われていたらしいね。

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アメリカ沿岸のクジラは取りつくされてしまったから、クジラを追って何年も航海に出ることがある。ところがこの航海は大変過酷で危険な仕事なんだ。

暴風雨で船が沈没したり座礁したり、さらに母船から小舟にのり込みクジラを追うが、暴れるクジラに引っ張られたりして命を落とす人も多かったらしい。

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この物語は14才でエセックス号にのり込んだ船員が、晩年に自分が体験したおぞましい真実を小説家に告白するところから始まる。

エセックス号のたたき上げの一等航海士は、家柄だけで船長になった男と何かにつけて対立する。暴風雨の対処方法においても意見が対立し、危うく船が難破しそうになる。

彼らはクジラを追って延々と航海を続け、立ち寄った港で、呪われた巨大マッコウクジラのうわさを耳にする。彼らはそのクジラによって痛手を負った他の船の船員の忠告も聞かず、巨大クジラがいる海域へと船を進める。

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捕鯨船エセックス号を襲う巨大マッコウクジラ

その海域はマッコウクジラの大群で埋め尽くされていた。ところが30mはあろうかと思われる巨大なクジラ(一般的には大きくても20m足らず)に遭遇する。

彼らはこの巨大クジラにモリを撃ち込む、怒り狂った巨大クジラは母船の船底を破壊する。母船は火を出し、燃えながら海底に沈んで行く。

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生き残った船員は3艘の小舟にのり込む。それでもさらに巨大クジラは襲ってくる、果たして乗組員たちはどうなるのか映画を観てのお楽しみだね。

でもこれで映画が終わるわけではないんだね、生き残った人々が90日間漂流する。本当の悲劇はここから始まる。人間が生きるためとはいえ、許すことの出来ない行為・・・・・でも誰も生存者を責めないし、真相を聞く人もいない。

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1956年に製作された映画ジョンヒューストン監督、グレゴリー・ペック主演の「白鯨」を大昔に観たが、ホラーに近いような描き方であったと記憶している。

映画は暗く、白く巨大なクジラ 「モビィー=ディック」は悪魔の化身の様に描かれ、不評であったらしい。でも今回の映画における巨大なクジラは群れを守るために人間と勇敢に戦う・・・・実際に船を沈めた史実も残っているらしい。

原題の「In the Heart of the Sea」は「海の奥深くに」とでも訳すのか? 海は広くまだまだ人間が知らないことが多い、そして巨大な生き物が生息できるほど海は豊かなのか。

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1956年製作グレゴリー・ペック主演の「白鯨」

「白鯨との闘い」2016年日本公開のアメリカ映画、監督はロン・ハワード(アポロ13、ダ・ヴィンチ・コード、天使と悪魔)、主な出演者はクリス・ヘムズワース(マイティ・ソー、アベンジャーズ、ブラックハット)、ベンジャミン・ウォーカー(リンカーン/秘密の書)、キリアン・マーフィー(インセプションレッド・ライトトランセンデンス)、ベン・ウィショー(パフューム、クラウドアトラス、007スペクター)である。

実写とCGが上手く融合され、嵐の中の船、海の中の巨大なクジラ、捕鯨船とクジラの闘いが実に素晴らしい、映像技術の格段の進歩だね。

映画館の中は貸し切り状態だったが、もっとヒットしてもいい作品だと思うね。まあ映画は好き嫌いがあるから、なかなか難しいね。

 

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ストーリー

1850年のある日捕鯨船エセックス号の最後の生存者トマス(ブレンダン・グリーソン)を訪ねて小説家ハーマン・メルヴィル(ベン・ウィッショー)が現れる。

彼は手持ちの全財産をトマスに渡し、捕鯨船エセックス号の遭難に関する真実を聞き出そうとする。最初は嫌がるトマスだったが、メルヴィルの熱意に負け真実を話し始める。(一年後この記録は小説「白鯨」となって世の中に出版される。)

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小説家ハーマン・メルヴィル(ベン・ウィッショー)

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晩年のトマス(ブレンダン・グリーソン)

トマス(トム・ホランド)は14才の時、見習い船員として捕鯨船エセックス号に乗船する。

船はたたき上げで強靭な体力と統率力を持つ一等航海士オーウェン・チェイス(クリス・ヘムズワース)、家柄だけで船長となったジョージ・ポラード・Jr(ベンジャミン・ウォーカー)、二等航海士マシュー・ジョイ(キリアン・マーフィー)、ポラード船長の従弟の航海士ヘンリー・コフィン(フランク・ディレイン)他多くの船員たちで構成されていた。

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14才の見習い船員トマス(トム・ホランド)

1819年捕鯨船エセックス号はアメリカの捕鯨基地ナンタケット島を出港する。

一等航海士のチェイスは何かにつけ、経験不足の船長ポラードと意見を異にしぶつかる。嵐が近づいて来た、チェイスは帆を降ろすように指示するが、船旅を急ぐ船長は帆を降ろさせない。

暴風雨の中エセックス号は横殴りの強風と大波にあおられ沈没しそうになるが、チェイスの機転でなんとか切り抜ける。

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二等航海士マシュー・ジョイ(キリアン・マーフィー)、船長ジョージ・ポラード・Jr(ベンジャミン・ウォーカー)、一等航海士オーウェン・チェイス(クリス・ヘムズワース)

見張りがマッコウクジラを見つける。捕鯨船から小舟にのり込んだチェイス達は必死にオールをこぎクジラに近づく。そしてチェイスはモリをクジラの胴体に打ち込む、苦しむクジラは深海に急降下する。

しばらくして浮き上がってくるクジラめがけて何本もモリを打ち込む・・・・・・この繰り返しが延々と続く、弱ったクジラは最後に吸気孔から血しぶきを吹上、絶命する。

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クジラを急いで捕鯨船の甲板に上げ、解体しないと血の匂いに誘われて集まるおびただしいサメの餌食となる。これは大変な作業だ、クジラから脂身を切り出し、煮込み、油を分離する。

そしてもっとも厄介なのは、マッコウクジラの脳油を採取する作業だ。クジラの頭に人が通れるくらいの穴を開け、気絶しそうなくらい生臭い脳油を人が潜り込んでバケツでかき出す。

新米のトマスが体が小さいと言う理由で、クジラの頭の中に送り込まれる・・・・・彼は生まれて初めてクジラの体内に入り、吐き気を抑えながら作業をする。

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それから一年以上経過するが、クジラがなかなか見つからず焦る乗組員たちは、途中立ち寄った港で巨大クジラの話を聞く。彼らはそのクジラに手痛い目にあわされ、2名の死者を出していた、そしてそいつには近づくなと忠告する。

チェイス達は忠告を無視し、未知の海域に乗り出す。その海域に到達したところおびただしいマッコウクジラの群れを発見する。

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その群れの中には今まで見たことの無いような巨大クジラが群れを守っていた。30mはあろうかと思われるクジラめがけてチェイス達はボートをこぐ、そして巨体にモリを打ち込んだところ、クジラは巨体をくねらせ応戦する。

そして巨大クジラはエセックス号の船底に繰り返し体当たりする。船の底に穴が開き海水が流れ込む、船は傾き誰の目にも沈没は免れない状況であった。

エセックス号から三隻のボートに荷物を積みかえ、乗り組み員も全員分乗し避難する。船員たちの目の前でエセックス号は火種から鯨油に火が燃え移り、船全体が炎に包まれたまま海の底に沈んで行く。

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さらに巨大クジラはボートにまでも攻撃を仕掛ける。海に投げ出された多くの船員たちは暗い海の底に消えてゆく。

そのクジラはまるで長い間クジラを殺してきた連中に復讐しているかのようにみえる。あるいはこれは「海の意思」なのか。

しかし船にしがみ付き生き残った人々も「海の意思」で生かされたのかも知れない。だが生き残った人々にはさらに過酷な試練が待っていることを今は誰も知らない。

ネタバレ

<ここから先はネタバレするから映画を観てから読んでね>

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3艘のボートに乗り込んだ船員たちは、長い間漂流し無人島に流れ着く。

そしてその島でボートを修理し、乏しい食料や水を積み込み、大海原に再度立ち向かう。チェイス達は無人島の洞窟で、干からびた死体を何体も見た、この島に居ても死体と同じ運命をたどることが予想できたからだ。

でも疲れ切った二等航海士のジョイは他の仲間二人とこの島に残る決心をする。

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大海原で、巨大クジラと遭遇する、チェイスをモリを持って構えるが体が動かない。巨大クジラは嘲り笑うようにチェイスをちらりと見て、ゆうゆうと二隻のボートの間を泳いでゆく。

もはや彼らは巨大クジラの敵ではないと思われたようだ。

3隻のボートは長い間大海原をさまよう、何日たっても陸は見えない、そのうち水も食料も底をつく・・・・・餓死寸前だ。

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船の中で一人の船員が亡くなる。ボートの外に死体を捨てようとしたところ、チェイスが止める。亡骸は神からの授かりものだと彼は死んだ船員の体を解体し食料とする。

漂流が90日目を迎えてやっと、ある港に漂着する。生き残ったのは、船長とチェイス、トマス他数人であった。

しばらくたって彼らはナンタケット島に戻ってきたが、彼らがどのよう方法で生還したのかボートの中で何があったのか、誰も聞かないし、彼らも口を閉ざしたままだった。

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チェイスは捕鯨船に乗るのを辞め、商船の船長になった。船長のポラードは捕鯨船に乗るのを続けたが運悪く船が座礁してしまったようだ。トマスは船乗りを辞め、家内と宿屋を営んでいる。

トマスは最後にメルヴィルに「土の中から石油が出たのは本当か」と尋ねる。

噂は真実らしい、もうクジラを殺すこともなくなるだろう・・・・・・。

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レビュー

現在のナンタケット島は観光地であり、有名なリゾート地となっている。かつては世界有数の捕鯨港であったことは忘れられてしまったのかも知れない。

クジラによって大繁栄を謳歌したこの地も南北戦争までには衰退してゆく。この地でこんな真実のドラマがあったなんて面白いよね・・・・でも記憶はどんどん薄れてゆくのはしょうがない。

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ナンタケット島

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観光地になっているナンタケット島

日本もかつては捕鯨大国だったね、僕も小さいころはクジラの肉で育ったようなものだ。牛肉や豚肉なんてなかなか食べられなかったね。

アメリカでは脂臭いクジラの肉はあまり食用にされなかったようだが、日本では食用の為に捕獲して来たんだね。今ではクジラは捕るものでは無くて、見るものになったね。

ところで今この時期に何故、このような映画が撮られたのかな・・・・真意が知りたい。アメリカはかつてはクジラを捕りつくした国だけど、そんな反省を込めているのかな。

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マッコウクジラ

海にはまだ分らないことが多い、クジラとくにシロナガスクジラは恐竜を含めても史上最大の生き物で全長34mの記録があるようだ、従って全長30mのマッコウクジラが本当にいたのかはちょっと大げさすぎるかも知れないね。

この映画のクリス・ヘムズワースは実に逞しくて適役だね。少し前の天才ハッカー役「ブラックハット」は似合わない、頭脳派よりやはり肉体派の方が合うね。

彼が生還してきて妻に会う場面が感動を呼ぶ、出港するときには身重だった妻の横には2~3才になる娘がいたんだね。彼は自分を生かしてここに連れてきてくれたことを天に感謝する、この場面は淡々と進むが涙が出るね。

また、船長役のベンジャミン・ウォーカーもなかなかいいね、海で鍛えられて最後には一等航海士の気持ちが分かるようになってくる。そして彼も神に選ばれた一人で、無事生還する。

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マッコウクジラとダイオウイカの闘い

トマスはつらい出来事(人肉を食べて生きぬいたこと)を誰にも話せず酒に溺れていた、でも真実をメルヴィルに告白したことによって救われたんじゃないだろーか。

このテーマは日本でも武田泰淳の小説「ひかりごけ」になっている。日本陸軍の徴用船が真冬の知床で難破し、極限状態におかれた船長が仲間の遺体を食べて生き延びた事件で、日本の刑法が適用された唯一の事件といわれている。

それにしてもロン・ハワードはいい映画作るねー、今後が期待出来るね。

現代ではクジラは少しずつ増え始めているようだ、貴重な動物は大切に見守っていきたいね。

辰々

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