サマリー
2015年公開のアメリカのサスペンス映画、監督はマイケル・マン(ヒート、コラテラル)、主演はクリス・ヘムズワース(マイティ・ソー、アベンジャーズ)である。
日本でもなじみのある、台湾の歌手・俳優のワン・リーホン(MOON CHILD)、そして中国出身のタン・ウェイ(捜査官X)も出演している。
マイケル・マンは僕の好きな監督の一人で、ロバート・デ・ニーロとアル・パチーノが共演した「ヒート」は素晴らしい。白熱した男同士の銃撃戦は実弾を使っていると思わせるほど、ど迫力がある。
また「コラテラル」では、トム・クルーズが非情な殺し屋を演じており、いつもの彼とは違った怖い一面を見せる。タクシードライバーが運悪く殺し屋のトムを車に乗せたことによって、殺人事件の巻き添えをくう、この映画も見応えがあった。
僕は「ブラックハット」を期待して観てみたが、残念ながら往年の監督の切れ味は無く、今一の映画になってしまっている。監督も70才を過ぎているとのことでもう、もうろくしちゃったのかなーと感じる。
香港にある原発がブラックハット(凶悪ハッカー)に襲われる。原子炉の冷却ポンプの操作機能が乗っ取られ、彼らはポンプをオーバーロードさせて破壊してしまう。そして原子炉はメルトダウン寸前にまで被害が拡大する。
さらにハッキングによって大豆先物相場の暴騰を起こし、ブラックハットはこれによって大儲けする。この資金を使って今度は何をするのか、全く足取りがつかめない。
中国は情報部の大尉に事件の調査を指示する。彼はハッキングコードが彼の親友で、現在アメリカで服役中の天才ハッカーと一緒に遊びで作ったものが使われていることを発見する。
天才ハッカーは事件解決のため、一時釈放されFBI捜査官監視のもと、親友の中国軍大尉と彼のネットワーク技術者の妹とともにブラックハットを追う。
ブラックハットは犯行声明も金の要求も出さないどころか何が目的のテロか分らない。そして調査によって次にさらに大きな災いをもたらす計画が進行していることを掴む。
彼らは、次の大参事を未然に防ぐことが出来るのであろうか・・・・。まあ、通常レベルの作品なんで、暇のある方とクリス・ヘムズワースのファンにはお薦めする。
天才ハッカー海外ドラマ「MR.ROBOT/ミスター・ロボット」も見てね。
ストーリー
ストーリーを紹介すると、香港にある原発がブラックハット(凶悪ハッカー)に攻撃される。彼らは原子炉の冷却ポンプを破壊するが、原子炉を非常停止させない様に計器類も異常がないように見せかけの操作をする。
原子炉は異常発熱しオペレーターが気が付いた時には既に遅く、水蒸気爆発により炉が破壊される。そしてメルトダウン寸前にまで被害が拡大していた。
さらにそれとは別に、大豆先物相場も同じハッカーによる仕業で高騰し、何者かが大金をせしめていた。(当初は別々のハッカーによる事件と考えられていたが、詳細分析の結果同じハッカーの仕業であることが断定される。)
中国政府は中国軍情報部のチェン・ダーワイ大尉(ワン・リーホン)に事件の調査を指示する。彼の分析によるとハッキングに使われていたコードが、彼のアメリカ留学時代の親友ニコラス・ハサウェイ(クリス・ヘムズワース)と昔一緒に遊びで作ったものと同じであると主張する。
また同時期にアメリカの原発も狙われていたことが分り、米中共同で捜査することが決まった。しかしアメリカは常に中国からのサイバー攻撃に見舞われており中国を全面的に信用することは出来無い。
アメリカの担当はFBIのキャロル(ヴィオラ・デイヴィス)捜査官で、常にチェン大尉に対する警戒を怠らない。
チェン大尉はブラックハットの遠隔操作ツール(RAT)を解析できるのはニコラス・ハサウェイ(クリス・ヘムズワース)しかいない、彼を一時釈放しこの事件の解決に協力させることを提案する。
キャロルは上司を説得し、ニコラスを檻から出し事件解決に協力させる。またチェン大尉はネットワーク技術者の妹チェン・リエン(タン・ウェイ)を同行させる。ニコラスとリエンは昔からの顔見知りであった。
ニコラスは侵入されたと思われるサーバーをチェックしたが、外部からはセキュリティーが厳しくこれを破ることは不可能だ、内部の犯行に違いないと結論付ける。やはり内部の者がUSBに入ったRATを入力していたらしい。そして次の攻撃用コードも見つける・・・・・・ブラックハットは次に何をやろうとしているのか?
さらに詳細を調査してゆくと、大豆先物取引によって7,400万ドルの大金をせしめた人物は香港の3つの口座に絞られる。しかし3つの口座の名義人は隠れ蓑で、3人を束ねるカサールと言う仲介屋の存在が浮かぶが、本物の実行犯は依然謎である。
ニコラスらは香港に飛ぶ、泳がせていたカサールを監視し黒幕を見つけようとするが、彼に逃げられてしまう。
そんな時に水素爆発した原子炉の状態が落ち着く、ニコラスらは危険を承知で原子炉制御室サーバーを回収する。ところがファイル情報は既に削除されており、痕跡しか残っていなかった。
ニコラスはキャロルからNSAの「ブラック・ウィドー」と言うスーパーコンピューターを使えば断片化されたデーターを再構築出来ることを知る。キャロルはNSAに解析を依頼するが、中国との関係上極秘の技術は使えないと却下される。
ニコラスは自分の責任のもと、得意のハッキング技術を応用して「ブラック・ウィドー」にアクセスを試みる。これは違法行為であってバレれば重大犯罪として更に重い罪が科せられることを覚悟する。そして彼はブラックハットの本物のIPアドレスを入手する。
驚くことにIPアドレスはインドネシアの首都ジャカルタにあった。またブラックハットが衛星写真を使っていることも分かった・・・・・・写真の場所(マレーシア)は次の標的か、しかしその場所は原野で何も無い。
中国政府もアメリカ政府もニコラスを連行しろと、チェン大尉とFBIのキャロルに連絡が入る、NSAへのハッキングがバレたようだ。
ダーワイ大尉はニコラスを逃がそうとする、ところが彼が乗った車がカサール達の報復によって破壊される。またFBIのキャロル捜査官達もカサール達によって殺害される。
残ったニコラスとリエンは、マレーシア ペラに向かって逃げる。果たして、ニコラスは黒幕を見つけダーワイの仇を取ることが出来るのか、またブラックハットの次の標的は何なのか・・・・・映画を観て頂きたい。
ネタバレ
ニコラスとリエンは偽のパスポートを使い、小型機でマレーシアに向かう。ペラは原野で何が行われようとしているのか、始めは理解できなかったが、ニコラスはここが錫鉱山であることを知る。
しかも河床の採掘場所であり、水をポンプによって汲み上げている。ポンプを調べると、香港の原子炉で使われていたものと同型のスタシク社製のポンプであった。
彼はすぐに理解する、ブラックハットはポンプを破壊し、錫鉱山を水の底に沈めてしまうことによって錫先物相場を吊り上げ膨大な利益を得ようとたくらんでいることを。つまり香港の原発テロは単なるポンプの制御実験にすぎない。
ニコラスとリエンはさらにインドネシアの首都ジャカルタへと飛ぶ。彼らはダーワイ大尉達の仇を取る決心をする。
ニコラス達はまず、錫採掘場のポンプに仕掛けられたウィルスを確認する。さらにブラックハットのIPアドレスを使い銀行のサーバーに侵入し、現金7,360万ドルをジャカルタ銀行からスイス銀行に移す。
そして彼は自分のスマホに連絡をよこすよう、ブラックハット当てにメールを流す。しばらくして、カサールから電話が入る。
ニコラスはボスを出せ、お金は全てもらったと言って電話を切る。すぐにブラックハットの黒幕サダック(ヨリック・ヴァン・ヴァーヘニンゲン:ドラゴン・タトゥーの女)から電話が入る。ニコラスはサダックにカサールと二人だけで、あとで連絡する場所に来い言って電話を切る。
彼は雑誌を防弾チョッキ代わりに体に巻き付け、先を削って武器にしたドライバーを体に潜ませる。殺すか、殺されるかの勝負だ。
彼は、待ち合わせの場所に相手の護衛が多いことから、急遽場所を変更する。待ち合わせのパプア広場ではお祭りの行列で一杯であった。
彼は群衆に混じり、サダックとカサールに近づく。そしてカサールを隠し持ったドライバーで刺し殺す。さらに気付いたサダックに「俺は自分で仇を討つ」とカサールから奪った拳銃を構えるが、護衛からの発砲で彼は被弾する。護衛二人を撃ち殺したが、サダックはナイフを片手に後ろから襲ってくる。
サダックの攻撃をかわし、彼の胸を何回も刺しそのまま逃走する。サダックは出血多量で死んでゆく。
ニコラスとリエンはジャカルタを後にする・・・・・二人は何処に行くのだろうか。
レビユー
ニコラス役のクリス・ヘムズワースはとても天才ハッカーには見えない(体がデカくて肉体派だ)、しかも特殊工作員みたいに敵をバタバタとやっつけてしまう・・・・・・あまりに非現実な設定にあきれる。
また、機関銃を持ったテロリストにドライバー一本で戦いを仕掛ける、そして防弾チョッキ代わりに雑誌を体に巻き付ける・・・・・まるで「マイティ・ソー」かとあきれてしまう。
国際的なテロリストのサダックとカサールもブラックハット(凶悪ハッカー)には見えない。ドンパチと銀行強盗する方が向いているような連中達である・・・・・・どこが知能犯なのか。
香港とアメリカの原発がテロリストに狙われるが、被害が出たのが香港だけ、また香港警察の機動部隊がテロリストに簡単にやられてしまう、しかもバズーカ砲まで出てくる、まるで無法地帯か・・・・・中国の偉い人が見たら怒るかも知んないね。
テロリストの真の目的が、錫鉱山の水没化とは、そしてその予行演習に香港の原発を狙うのか。話しが逆じゃないのかと思ってしまう。こんな目立つことをしなくても金儲けの方法はいくらでもあると思う。
映画の中で東芝のパソコンとかトヨタの車が出てくるのが微笑ましいが、CM料を払っているのかな。
まあ、さんざん悪口言ったが、銃撃シーンはさすがにマイケル・マンらしく迫力があったね、ここは合格点だ。
映画はアメリカ⇒香港⇒マレーシア⇒インドネシアと舞台が変わるので、旅行に行った気分で観ればいいのかもしんない。次回作に期待するしかないよね。
辰々
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