サマリー
1963年のアルフレッド・ヒッチコック監督の作品です。彼の作品の中でも傑作の1つといわれている。僕は昔、この作品をテレビで観たのか、ビデオでみたのか忘れてしまったが強烈に記憶に残っている。
動物パニック映画として、身近にいる鳥が人間を襲う物語のアイデアは斬新であったと感じる。しかも観終わった後、背筋がぞくっとするなんとも言えない恐怖感が残った。
現実に起こり得るとまで錯覚させる臨場感はさすが、サスペンスの巨匠と言われるヒッチコックならではである。
ストーリー
物語はサンフランシスコと近くの小さな漁港ボデガ・ベイでの出来事である。
ヒロインのメラニー(ティッピ・ヘドレン)はシスコのペットショップでミッチ(ロッド・テイラー)と出会う。ミッチは妹の誕生祝いに小鳥を買いに来ていた。メラニーは色々な行き違いの末に、ミッチの家まで小鳥を届けるはめになってしまう。
メラニーはミッチと仲良くなり、ミッチの家に食事に招待される。そして、偶然にもミッチの元カノ アニー(スザンヌ・プレシェット)の家に泊まることになった。
翌日にミッチの妹のキャシーの誕生パーティーで子供たちがカモメに襲われる。そして鳥の大群が町全体を襲う
ようになる。
レビュー
このパニック映画をパニックだけに終わらせないで、色々な人間模様を織り込んだ点がこの映画の成功の1つの理由だと思う。
メラニーは小さい時に母親に捨てられ、母親を憎んでいる。かたやミッチの母親リディアは4年前に夫を亡くし、息子のミッチにべったり、他の女(結婚相手であったとしても)に取られることを非常に恐れている。
この二人が初対面から静かに火花をちらす。しかし、映画の最後の方で鳥に襲われ正気を失ったメラニーをリディアが真剣に介抱して行くうちに心が通うようになる。
当初はメラニーの役はグレース・ケリーを想定していたがスケジュールが合わずテレビCMに出演していたティッピが抜擢された。
彼女は一躍スターとなる。物語の中でティッピは勝気な箱入り娘を演じている。ティッピの顔が映る場面では、顔が輝いてい見えるように撮影されている。
共演のアニー役のスザンヌ・プレシェットも相当の美人だが、ティッピの引き立て役にされてかわいそうである。
鳥が何故人間を襲うのか最後まで謎である。原作では大寒波に襲われた鳥が飢餓に苦しみ人間を襲うことになっている。
現実の世界では、濃霧にさえぎられた渡り鳥が港町の明かりにさそわれて大襲来し、町中が鳥だらけなった記録がある。
また、おびただしい数の鳥の死骸がしばしば発見されたりしている。自然界ではまだわからないことが多い。
僕の最も印象に残っているシーンは、結末シーンである。家の中に立てこもったミッチ一家が鳥に襲われ、ボロボロになる。鳥の大群は時間を置いて波のように攻撃してくる。
鳥に襲われ、正気を失ったメラニーを病院に運ぶため一家は車で鳥に埋め尽くされた街を静かに後にする。
鳥の鳴き声を背景に不気味な出来事がこれから更に大きくなる余韻を残して終わる。現代においては鳥よりも、鳥インフルの方がもっと怖い。時代も変わったものである。
TATSUTATSU
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