ホラー

映画「テリファイド」感想・評価:アルゼンチン発新感覚ホラーもしあなたのすぐそばに亡霊が現われたら?

サマリー


★★★☆☆(お薦め)

2019年日本公開のアルゼンチン製作異次元ホラー映画
監督・脚本 デミアン・ラグナ(テリファイド
出演 ●マキシ・ギオーネ(テリファイド
●エルビラ・オネット(テリファイド
●ノルベルト・アマデオ・ゴンサロ(テリファイド

テリファイド

 

アルゼンチン発の新感覚ホラーだ。世界の映画祭で話題となり、あの「シェイプ・オブ・ウォーター」のギレルモ・デル・トロ監督が惚れ込んだ。そしてハリウッドでリメイクが決定している・・・楽しみだね。

死霊館エンフィールド事件」や「パラノーマル・アクティビティ」を思わせるような展開だが、何故か一般住宅に亡霊が出まくる。あまりの怖さにちびらないように気をつけよう。

題名の「テリファイド」とは「恐れおののく」と言う意味だ。自分の寝ているベッドの下から悪霊が現われ自分を見下ろしていたらどうしよう。夜中に目を覚ましてはいけない・・・恐怖で心臓が止まってしまうからだ。

証拠を見せないと誰も信じてくれない。彼は夜、寝る時にビデオをセットする。そしてそこには恐ろしいものが映っていた。しばらくして、彼自身も暗闇の中に消えてしまう。

あの世とこの世には境目があり、普通行き来出来ない。ところがこの二つの世界の障壁にほころびが出来てしまったらどうなるのか?その境目から悪霊が現われ、異次元の世界に連れ込まれてしまうのか・・・。

話しのスジを少し紹介すると。台所の流し台の配管から何か変な声が聞こえてくる。妻のクララは「私を殺す」と聞こえたと言う。夫は夜中に壁を叩く音が聞こえ洗面所に行ってみる。

バスタブの上を彼女は浮遊しながら血だらけになって壁に激突していた。夫のブルメッティは妻殺しの罪で拘束される。彼の話を誰も信用してくれない。

彼のところに3人の研究者が現われる。アルブレック博士は「あなたは殺していない」「家を調べさせてくれ」と言う。彼は承諾する。そして最近、隣のウォルターも夜中に壁を叩くようなおかしな行動を取っていると付け加える。

ウォルターはもう何か月も不思議な現象に悩まされていた。夜中にベッドが動くのだ。そして何かがいるような気配を感じる。朝起きてみると部屋の中が家具がめちゃめちゃに移動していた。

彼はビデオカメラをセットし、夜中に何が起こっているのか調べようとした。夜中に目が覚め、ビデオを見た彼は驚いてのけぞる。そこにはベッドの下から出てきた不気味な男が自分を覗き込んでいた。そしてクローゼットに入って行く。

彼は銃を持って、クローゼットを開けてみるがそこには誰もいなかった。しかし、彼はそれ以降失踪してしまう。彼の家の前で子供が車にはねられる事故が起きる。

夜中に検死官のハノはフネス警部の電話で起こされる。彼が言うには4日前に10才の子供が車にはねられ亡くなった。ところが腐りかけた彼の遺体が自宅に現れたと言う。

ハノは現場に駆けつける。そこで信じられない光景を見る。子供はいつも通り朝食をとるように台所のテーブルのイスに座っていた。フネスは自分も巡査も彼が動くのを見たと言う。

果たして、これは現実なのか・・・・それとも誰かのいたずらか?

その後のストーリーとネタバレ

子供の死体の指を見ると数日間土を掘ったと思われる形跡が見られる。腐った死体が墓から這い出て歩いてここに来たのかそれとも母親のアリシアが連れてきたのか。遺体は墓に戻すしかない。

アルブレック博士、検死官のマリオ・ハノ、そしてローゼントック博士は付近一帯の家屋の調査を始める。間違いなく超常現象が起こっている。彼らは部屋に滞在し超常現象の証拠と原因を調べ始める。

アルブレック博士は殺人容疑で取り調べ中の夫ブルメッティの部屋に測定機器を備え付ける。ローゼントック博士はウォルターの部屋をフネスと一緒に調べる。台所の戸棚に金属のナイフやスプーンがくっ付いてぶら下がっている。その時突然ローゼントックの手を貫いてナイフが刺さる。

そしてその血を戸棚に隠れた何かが吸っている。ローゼントックはここはやっと見つけた奴らの「巣」だと言う。彼とフネスはベッド下の亡霊を見つける。視点を変えると何かが見えると彼は言う。「暗闇」と「光」、二つの現実が同じ場所と時間を共有している。

そんな時にハノが何かに襲われる。フネスは駆け付けると食器棚の中に彼が閉じ込められていた。フネスは目にガラスの破片が刺さり、顔色は真っ青だった。

フネスはアルブレックに助けを求める。彼女は今起こっている現象を次のように説明する。オレンジの房のように2つの次元は複雑にくっ付いている。ある微生物が水を媒介にして繁殖する。そして巣を作る。彼らの正体は不明だが人体に巣食う。

その時、壁の穴から大きな手が出てアルブレックの首をへし折る。フネスは恐怖で心臓発作を起こす。そして家から這い出ると車で避難する。首をへし折られたアルブレックがまだ間に合うから助けてと追いすがる。

避難したフネスは車でもう一度現場に戻る。アリシアは家の中で首をつっていた。そして積んでいる燃料を家の中にばら撒くと火をつける。隣には血だらけの目を光らせたハノがいた。

暫くして、ブルメッティのところにラゾリーニ博士と二人の人物が訪ねて来る。フネスをはじめみんな行方不明になっている。何か知らないかと言う。ブルメッティは壁を見て焼けただれたローゼントックがそこにいると空間を指さす。そしてその他の人々も一緒に来ていると・・・。

ラゾリーニ博士たちは驚いて後ろを振り返るが誰もいない。その時椅子が動きこちらに飛んでくる。

レビュー

この映画の中で警察の検死官マリオ・ハノが不思議な話をする。彼は15年の間に2件の超常現象を告白している。

●一つ目は20才の男性の遺体を解剖していたとき、その死体は私の腕をつかんで目を開けた。
●二つ目は老人の遺体で、死後二日目に目覚め、私に何かを話した。

つまりハノは「この世の者ではない何かとの接触」をしていたことになる。しかし、この超常現象は見ないふりをした方が良いと彼は言っている。証拠がなければ気違い扱いされるからだ。

世の中には不思議なことが多くあり、それを隠している人がかなりいると思う。そしてそれらの中の幾つかが都市伝説となって広がって行くのかもしれない。

この映画の監督・脚本デミアン・ラグナは独特の雰囲気を持ったホラーを完成させた。誰しも、自分のベッドの下やクローゼット、食器棚から悪霊が現われれば恐怖が倍増する・・・恐怖のツボを上手く押さえている。

主演のマキシ・ギオーネ(フネス警部)の恐怖に引きつり心臓発作を起こす演技が素晴らしい。彼を見ているだけでこちらにも恐怖が伝わってくる。

低予算であか抜けない映画だが、ホラーとして良く出来ている。この監督には今後も期待したいね。

TATSUTATSU

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