サマリー
2014年日本公開の中国コメディ映画、製作・脚本・監督チャウ・シンチー、主演ウェン・ジャン、スー・チーである。中国では大ヒットしており、2013年の中国国内年間興行成績№1、全世界における興行収入は200億円以上とかなり稼いでいる。
なんとも不思議な魅力を持ったドラマで、大げさな演技とカンフーアクションは中国ならではのものである。コメディなのでいかに笑えるかがこの映画の胆で、僕には笑いのツボが今一ピンとこない部分もあったが、全体としてまあまあな作品かなと思う。
物語は僕らにもなじみの深い「西遊記(サイユウキ)」で、言うなれば「孫悟空ZERO」或いは「玄奘ZERO」的な西遊記が始まるまでのオリジナルドラマである。(ドラキュラZEROのようなイメージだね)
ストーリー
ストーリーを紹介すると、玄奘=三蔵法師(ウェン・ジャン)はしがない妖怪ハンターである。ある日、川沿いの寒村が巨大な魚の様な魔物に襲われる。
この魔物は大人どころか子供も食べてしまう、カゴに入った赤ちゃんが食べられそうになるが、玄奘は必死に助ける。魔物は陸に打ち上げられ、人間の亡霊(将来、沙悟浄=サゴジョウとして玄奘のお供をする)として正体を現す。
そこに凄腕妖怪ハンターの段(スー・チー)が現れ、人間の亡霊を小さなお守りに封じ込めてしまう。玄奘は自分の妖怪を改心させる手法があまりにもチャチで情けなく感じる。
段(ダン)は玄奘(ゲンジョウ)が気に入ったのか、彼に付きまとう。旅の途中森の中に大きな食堂があった、玄奘が中に入るとそこは満員盛況であった。
ところがどうも雰囲気がおかしい、メニューは美味しそうなブタの丸焼きであったが、よく見るとそれは人間であった。玄奘は妖怪に襲われ食べられそうになる。
そこに現れた段は、食堂の主人が巨大ブタの妖怪(将来、猪八戒=チョハッカイとして玄奘のお供をすることになる)であると見抜き、しかも周りの客は全て魔物であった。
段は魔物どもをやっつけ、ブタの妖怪を捕えるが、ブタは巨大なイノシシに変身し逃げられてしまう。
玄奘は師匠から五指山のふもとの岩穴に封印されている「孫悟空(ソンゴクウ)」が、イノシシの魔物を倒すことが出来ると言う。彼はそこに向かって旅を始める。
ところが旅の途中で山賊らしき集団に捕えられる、そこには段も捕えられていた。山賊らしき集団の親玉は玄奘に段とキスをしろとか交えとか、おかしなことばかり言う。
結局この集団は、段の手下であることがバレてしまう。段はそれほど玄奘が気に入っていた。
玄奘と段の前に3人の妖怪が現れる、空虚王子、天残脚(足じい)、虎筋蟷螂(とらすじかまきり)は彼らの行く手を阻むが、そこにイノシシの魔物が現れ、みんな一目散に逃げる。
五指山にたどり着いた玄奘は、一面にハスが生い茂る岩の穴にもぐると、そこには頭のハゲかかったさえない中年のおじさんがいた。
彼は人間に会うのは500年ぶりであった、何故か玄奘に親しみを込めた、なれなれしい態度をとる。そして玄奘は彼にイノシシの魔物をやっつけてほしいと頼む。
彼は穴にイノシシを連れておいでよと言う、ほどなくイノシシの魔物が現れ穴にもぐり込んでいく。
何と、イノシシの魔物は子豚になっていた、そんなところに段が現れ、この子豚もお守りの中に封印されてしまう。
中年のおじさんは、長いこと月を見たことが無い、穴をふさいでいるハスの花をどけてくれないかと玄奘に頼む。
ハスの花をどけたところ、長い間封印されていた岩穴の中から「孫悟空」が飛び出す。中年のおじさんに化けていた孫悟空はがらりと態度を変え、玄奘の髪の毛をむしり取ってしまう。
果たして玄奘はどうなるのか、映画を観てのお楽しみである。
ネタバレ
そんなところに3人の妖怪が現れ、孫悟空に戦いを申し込む、彼らはチビの孫悟空をなめていたが、彼の力は絶大で、3人とも跡形もなくやっつけられてしまう。
孫悟空は玄奘にも襲い掛かるが、彼はお釈迦様の霊力に守られていた。そんなところに段が現れ、孫悟空に戦いを挑むが、逆に倒されてしまう。
玄奘は死にゆく段を抱きしめ涙を流す。そして彼女の腕輪を外すと、自分の指にはめる。彼は地面に落ちた大日如来(ダイニチニョライ)の経典を開き呪文を唱えると、山が崩れ如来(ニョライ)が現れる。
孫悟空は巨大な岩で出来た如来を破壊するが、天からさらに巨大な如来が現れる。彼は自分の体を巨大なゴリラへと変身させ戦いを挑む。
しかし、如来の前には全く歯が立たない、大人しくなった孫悟空の頭に玄奘は自分指から抜き取った輪を大きくしてはめる、孫悟空は偉大な如来の愛を感じ取ったようである。
玄奘は天竺(テンジク)にある仏の経典だけが世の中を救えることを悟る、そして彼は三蔵法師(サンゾウホウシ)と名を改め、三人の共(孫悟空、猪八戒、沙悟浄)とともに西に向かって旅を始める。
レビュー
「西遊記」は日本でもなじみが深く、繰り返しドラマや映画になっている。今回この映画を観て中国でも「西遊記」は人気があるんだなーと感じた。
段を演じたスー・チーはまさに男勝りの女性を演じていて面白い、逆に主人公の玄奘はひ弱な男に描かれている。映画は日本と同じように女性上位の方が中国でも受けるのかなと思うね。
最後は魔物どうしの戦いや、巨大な如来が出てきて迫力があった、またヒロインの段が死んでしまうのでほろりとさせられる場面もある、ヒットする要素をうまく詰め込んだ作品だね。
日本でも夏目雅子さんが三蔵法師を演じたテレビドラマ「西遊記」(1978年~1980年)が懐かしい、音楽をゴダイゴが担当しており、エンディングの「ガンダーラ」は大ヒットした。
最後に小さい時に観た東映動画アニメ「西遊記」(1960年)も思い出した。非常にきれいで楽しく感動的な映画だった。大昔にこれらの凄い映画が作られているなんて「西遊記」は物語としてこれからも永遠に残って行くね。
辰々
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