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アニメ映画「思い出のマーニー」感想・評価:マーニーとはいったい誰なんだろーね

サマリー

2014年公開のジブリアニメ、監督は米林宏昌で「借りぐらしのアリエッティ」以来4年ぶりの監督作品だ。原作はイギリス作家ジョージ・G・ロビンソンの「When Marnie Was There」(思い出のマーニー)である。


この児童文学は宮崎駿監督が推薦している、それを鈴木敏夫が米林監督に映画化を持ちかけたとのことだ。

 

When Marnie Was There – Official Trailer

 

この作品は米林監督らしい、派手さはないが繊細でかつ叙情豊かな仕上がりになっている。作品を観ていると遠い昔の記憶が呼び覚まされるような、あるいは郷愁を誘うような気持ちになる。透明感のある幻想的で美しいアニメだ。

北海道の海辺の自然豊かな情景が心を癒してくれる。ヒロインの安奈はこの北海道で不思議な少女マーニーに出会う。彼女はマーニーに肉親のような親しみを感じる。

マーニーとはいったい何者なんであろうか・・・・生きている人なのか死んでいる人なのか、それとも杏奈の記憶の中だけに生き続ける人なのか。

また何故、杏奈にこれほど優しくしてくれるのか、最後まで映画を観れば秘密が明らかになる、お薦め映画ですじっくり観てほしい。

ストーリー

ストーリーを少し紹介すると、佐々木杏奈(アンナ)は自分の殻に閉じこもりがちで、友達も無く、無表情な少女であった。彼女は養女であり、養母の佐々木頼子を「お母さん」ではなく「おばさん」と呼んで自ら親子関係に溝を作っていた。

持病のぜんそく療養のため頼子の友人で、自然豊かな海岸に家のある大岩家にいそうろうすることになった。

この田舎町には同じ年頃の少女達がいて、杏奈に優しく接してくれたり、近くの神社の夏祭りにも誘ってくれたが彼女達とはうちとけることが出来ず、逆にケンカをしてしまう。

杏奈はしめっち屋敷と呼ばれる海岸伝いにある別荘に心を惹かれる。ある夕暮れ、ボートを漕いでその屋敷を訪れると、そこにはマーニーと呼ばれる金髪の可愛い少女が住んでいた。(確か昼間に訪れた時には無人の屋敷だったのに。)

杏奈はマーニーと不思議に気が合いすぐにお友達になる、そして夕暮れに出かけては楽しく遊ぶようになる。

夜の屋敷には、多くの人々が集まってパーティが開かれたり、時には「ばあや」と呼ばれるお手伝いさんや、双子のメイドがいることがあった。

しめっち屋敷は別荘として使用するため改装され始めた、近くに行くとそこに住む予定のマン丸メガネをかけた少女に呼び止められる。

その子は彩香(サヤカ)と言う名前で、杏奈のことをあなた「マーニー」ではないかと声をかけられる。彩香はマーニーの日記をしめっち屋敷から見つけたとのことであった。

日記の最後の方が切り取られていた。杏奈は彩香にマーニーは私の頭の中の空想の人物よと答えたが、日記は空想ではないことを物語っている。

ある日杏奈がスケッチしているところに、マーニーが現れた、杏奈は自分が養女であることを話す、そして私を一人にした両親やおばあさんを恨んでいることも話した。

マーニーはあなたは恵まれている、あなたを引き取ってくれた養父母はあなたを愛していると、そして自分の両親は仕事や海外旅行でたまにしか会えなかったことを、その間「ばあや」や双子のメイドにいじめられていたことも打ち明けた。

杏奈はマーニーを抱きしめ、今まで会った女の子の中で一番大好きよと話す、マーニーも同じ気持ちである事を杏奈に伝える。(杏奈はマーニーに会ったことによって、自分が少しずつ逞しく変わって行くのを感じた。)


杏奈は肝試しつもりでマーニーとサイロと呼ばれる古びて使われなくなった飼料倉庫に行くことにした。マーニーは昔、双子のメイドにサイロに押し込まれそうになった苦い記憶がある。

天候が急変し雷と雨に見舞われたが、勇気を出してサイロの階段を上る、サイロの中でマーニーは泣いていた、そして和彦さんと口走り、迎えに来た和彦と杏奈を置いて消えてしまう。(和彦はマーニーの夫である。)

杏奈はその晩高熱を出しうなされる、そして夢の中にマーニーが現れ、サイロに置き去りにしたことを謝る。杏奈は許すが、マーニーはもう消えなくてはならないとお別れを言う。

その後マーニーは杏奈の前に二度と姿を現すことはなかった、彼女はいったい誰なのか、何のために杏奈の前に現れたのか、是非映画を観てほしい。

ネタバレ

彩香は日記の切り取られた部分を見つける、そこにはマーニーと和彦のことが書かれてあった。マーニーは和彦とサイロに行っていたことについても書いていた。

また、湿地屋敷を描いた油絵が発見される、その油絵は久子が書いたもので、マーニーにプレゼントとして贈られたことが分かる。杏奈と彩香はいつも海辺で油絵を描いている久子を訪ね、マーニーの生い立ちを尋ねる。

マーニーと久子は小さい時から友達であった、マーニーは豪邸で優雅な生活をしていたが実は、両親は何時も不在がちでほったらかされていた。

そのあとマーニーは幼なじみの和彦と結婚する。二年後に女の子が生まれ幸せの絶頂期であったが、和彦は病死する。マーニーはそのショックから病気になり長い間療養所生活を強いられる。

娘は全寮制の学校に入れられ、親子の関係が希薄になる。そして娘は家出をして男と一緒になる、女の子が生まれたが、運悪く両親は交通事故で亡くなる。

後に残された幼い少女は年老いたマーニーが育てることになる、ところがそのマーニーも病死してしまう。幼い少女は養子に出される・・・・・・・これが全ての真相であった。

レビュー

そしてその幼い少女とは杏奈のことである。(マーニーは杏奈の祖母であった。)

杏奈は小さい時にマーニーに優しくしてもらった記憶が、同世代のマーニーを作り出したのか、あるいはマーニーが天から降りてきて杏奈を導いたのか、良く分からない。

しかし杏奈はマーニーに会うことによって、表情豊かで明るく優しい少女になったのは間違いない。最後は心にジーンと来る物語だね、僕は「風立ちぬ」よりこっちの方が好きだな・・・・・・。

関連 :「かぐや姫の物語

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