ヒューマンドラマ

映画「オンリー・ザ・ブレイブ」感想・評価:アメリカ人なら誰でも知っている森林消防隊の悲劇

サマリー


★★☆☆(そこそこ面白い)

2018年6月日本公開のアメリカ製作 巨大山火事に立ち向かった消防精鋭部隊の物語
監督 ジョセフ・コシンスキー(トロン:レガシー、オブリビオンオンリー・ザ・ブレイブ
出演 ●ジョシュ・ブローリン(ミミックボーダーラインアベンジャーズ/インフィニティ・ウォー、ノーカントリー、エベレスト3D
●マイルズ・テラー(セッションファンタスティック・フォー
●ジェフ・ブリッジス(クレイジー・ハート、トロン:レガシー、キングスマン:ゴールデン・サークル、トゥルー・グリット、ギヴァー記憶を注ぐ者リトルプリンス 星の王子様
●ジェニファー・コネリー(ダークシティ、ビューティフル・マインド、地球が静止する日、ノア約束の舟)
●アンディ・マクダウェル(セックスと嘘とビデオテープ、フットルース夢に向かって、オンリー・ザ・ブレイブ

映画『オンリー・ザ・ブレイブ(原題)』日本版予告編

日本版主題歌EXILEのテーマソング

EXILEが日本版テーマソング『オンリー・ザ・ブレイブ』予告編

 

題名「only the brave」とは「勇敢な人々」と言う意味で、巨大な山火事に立ち向かった20人のホットショット(消防精鋭部隊)の活躍と悲劇が描かれる。実話をベースにしている。

俳優陣が実に渋い、ジョシュ・ブローリン、マイルズ・テラー、ジェフ・ブリッジス、ジェニファー・コネリー、アンディ・マクダウェルそれに監督はトム・クルーズ主演の映画「オブリビオン」のジョセフ・コシンスキーだ。

さらに日本語版のテーマ曲「My Star」をEXILEが歌っている。ところがこの映画はあまりに人気が無い。宣伝もほとんどしてないから「こんな映画」やってたの・・・と言う感じだ。僕はマイルズ・テラーが出ているから劇場に駆け付けたが貸切状態だった。

そんなに悪い映画ではないと思うのだが、とにかく男くさい感動のドラマだ。この系統で有名な映画と言えばロン・ハワード監督「バックドラフト」、オリバー・ストーン監督の「ワールド・トレード・センター」を思い出す。

 

話のスジを紹介すると。一般的にアメリカ農務省の特殊チームだけが森林火災現場の指揮権を持つ「ホットショット」と呼ばれる「精鋭部隊」だ。

何故なら、大自然で起こる広範囲な山火事を抑え込むためには燃料となる森林をあらかじめ燃やしておいて、火災の拡大を防止したり。場合によってはわざと山に火を放って、火と火をうまくぶつけて拡大を抑えると言う長年の経験と勘が必要だからだ。

そして住民の避難を速やかに告知しなければ多くの人命も危険にさらしてしまう、もちろん木を切ったり防火帯を作ったり険しい山に登ったりと体力的にも厳しい職業だ。

エリック・マーシュ(ジョシュ・ブローリン)率いるアリゾナ州プレスコット市のグラニット・マウンテン隊は地方自治体の消防隊だ。当然「ホットショット」の補助でしかありえない。

「ホットショット」と地方自治体の消防隊を比較すれば、給料は倍半分、現場の権限も低い・・・など多くの点で差がある。エリックは「グラニット・マウンテン隊」を「ホットショット」に昇格させようと市の消防署長スタインブリンク(ジェフ・ブリッジス)を動かし市長へ働きかけてもらう。

エリックのもとにマクドナウ(マイルズ・テラー)と言う薬中で窃盗の前科がある青年が応募にやってくる。彼は子供が出来、子供の為に真面目に働きたいと言う。エリックはとりあえずマクドナウを採用し様子を見ることとした。彼は厳しい訓練にも耐え、他の隊員たちとの絆を築いてゆく。

そんな時に朗報が届く。チリカウア山脈で火災が発生した。この本番で認定審査を受けることが決まったのだ。ところがエリックは現場で審査官と口論してしまう。彼は木々を焼いて、向かってくる火災にぶつけようと考えていた。しかし審査官はそんなことをしたら火の勢いが強くなってしまうと反対であった。

エリックは審査官の意見を無視し、自分のやり方を貫くが、結果的にはその判断は正しかった。審査に合格し、「グラニット・マウンテン隊」は「ホットショット」に昇格する・・・アメリカでもまれな出来事だった。

妻のアマンダ(ジェニファー・コネリー)は喜ぶが仕事で夫に会えない日が多くなると心の中は複雑だ。そんな彼らに予想もしない巨大な試練が襲う・・・。

その後のストーリーとネタバレ

2013年6月28日の夕方、アリゾナ州の町ヤーネル近くで落雷による森林火災が発生する。火は燃え広がり30日の早朝、ヤーネル消防署に近隣の消防隊の指揮官が集められる。

その中にはグラニット・マウンテン・ホットショットの隊長エリック・マーシュもいた。この火災は強烈な突風と木々の乾燥によって、次から次へと燃え広がる。このため近隣の住人約600人が避難した。

グラニット・マウンテン・ホットショット隊の20名が30日の8時に現場に到着する。エリックは持ち前の行動力で防火帯を作ろうと乾燥した木々に火を放つが、そこに航空機から消火剤がまかれ火が消えてしまう。

エリックは作戦を変更して炎の東端に取り付き、炎に先回りして防火帯を作ろうと動き出す。マクドナウを小高い丘に偵察に出す。彼はここで炎の位置と隊員たちとの距離を確認しながら気温・湿度・風速などの状況を逐一隊長に連絡する。

ところが午後4時ごろ彼の目前にはスーパーセルと呼ばれる「超巨大積乱雲」が発生し、こちらに向かってくる。時速64キロで進んでくる嵐によって彼の居場所は火災に囲まれる。運よく他の消防隊のバギーが現われ、それに乗ってマクドナウは下山する。隊長には連絡済だ。

エリックは防火帯の作業を中断し、安全地帯と思われる麓の牧場を目指したがそこに炎が猛烈な勢いで向かってくる。もう間に合わない、彼は18名の隊員に防火シェルターのための場所を確保させる、所要時間2分だ。

それぞれが防火シェルターを被って地面に伏せ、火災をやり過ごそうとするしか方法がなかった。ところが火災の勢いは彼らの想像をはるかに超えていた。2,000度の炎が隊員たちを一瞬に飲み込む。

6月30日午後6時35分ごろ、19名の遺体が確認された。遺体は金属金具類以外 灰さえも残っていなかった。

レビュー

亡くなった隊員たちの多くは20代だ。当時のアリゾナ州知事が哀悼の意を表明する。そしてオバマ大統領が19人の消防士を「英雄」としてたたえた。

7月9日に行われた追悼式典に副大統領が出席する。ここでただ一人の生存者ブレンダン・マクドナウが仲間に捧げるスピーチをする。

映画のエンドロールには実際の隊員の写真が次々と出て来て涙を誘う。自然とは恐ろしいものだ、僕ら人間ではコントロール出来ない。

隊員たちは、山火事を消火するだけでなく、樹齢何百年、何千年の巨木を火から守ることも地味だがやっている。日本と違って広大で乾燥した森林地帯を持つアメリカならではの出来事だ。

今までの歴史の中で9.11(同時多発テロ事件)を含めて6番目に多くの消防士を失った事件として記録に残っている。そしてアメリカの人々の心の中にも残っている。

TATSUTATSU

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